京都府京都市伏見区在住 Y.Kさん 36歳 男性 管理職
主訴:潰瘍性大腸炎
既往歴:パニック障害
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【御依頼文】
2010年7月くらいから便に血がつくようになったので8
月に病院で内視鏡検査を受けて潰瘍性大腸炎と診断。
一般的に言われているほど深刻ではないのですが、
薬(アサコール)を飲んでいても未だに血がつく事がある。
(本文ママ。)
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御依頼文にあるように、2010年の7月に潰瘍性大腸炎の症状を発症。
その年の暮れには一時症状が落ち着いたようだが、2ヶ月すると今まで以上の
出血と腹痛があったようで、それからは改善がみられない。
2011年11/9、初診ご来院。
潰瘍性大腸炎の症状は、下痢、出血(鮮血色)、腹痛。
便回数は3行/日で毎食後に出る。
また元々下痢をしやすい体質で、特に乳製品を摂ると確実に下すとのこと。
望診:動きは機敏。肌の色はやや黄色味がかっている。
舌診:紅舌で少白苔。右の舌尖から舌辺に歯痕あり。
脈診:浮緩滑。
腹診:胃土から臍周にかけ団子のような邪で、表在に冷えを感じる。
切経:合谷(左右)実、手三里(左)やや実、霊道(左右)やや実で自汗、
後谿(左<右)虚中ノ実、内関(右)実、足三里(左)実、上廉(左<右)実、
公孫(右)虚中ノ実、陰陵泉(左)やや虚、照海(右)やや虚、背部全体自汗、神道実、肝兪(左<右)実、筋縮実、胃兪(左)実、大腸兪(右)実。
考察:肝鬱気滞。
取穴:足厥陰肝経、督脈の経穴。
施術後:脈の滑脈緩み、腹部胃土の邪、表在の冷え消失。
養生指導:香辛料が好きなようだが、控えて頂くように指導。
11/12、2診目。
初診後、下痢は落ち着きやや軟便に。また便回数も朝・昼の2回になり、出血は今までより少なくなる。
舌診:紅舌で薄白苔。歯痕はなし。
脈診;浮位に細脈。
脈診:胃土の邪、表在の冷えはないが、臍周に邪あり。
方針:初診同様。
取穴:足厥陰肝経、足太陽膀胱経の経穴。
11/16、3診目。
2診目以降、1度だけ下痢があり、その他は軟便。便回数は前回同様だが、出血はなし。
舌診:紅舌やや暗く、薄白苔。
脈診:滑脈。
腹診:胃土から臍にかけ棒状の邪。
方針:同様。
取穴:手太陽小腸経、足太陽膀胱経の経穴。
養生指導:肝気が昂ぶりやすい為、趣味などを気分転換をして頂く。
11/21、4診目。
3診目後、下痢はなくやや軟便。便回数は2回で、出血はなし。
舌診:紅舌だが紅さマシ、薄白苔。
脈診:滑脈。
腹診:胃土の表在にうっすらと邪。
方針:同様。
取穴:3診目同様。
12/12、5診目。
久しぶりのご来院となったが、下痢、出血、腹痛はなし。
ただ依然として軟便が続き、便回数も2回。
舌診:紅舌で白苔。
脈診:滑脈。
腹診:臍周に邪。
方針:脾胃を補う。
取穴:足厥陰肝経、足太陰脾経、足太陽膀胱経の経穴。
12/21、6診目。
続いていた軟便は少し硬さが出てき、回数も日によっては1回のみの時もある。
舌診:紅舌で舌尖赤く、薄白苔。
脈診:緩脈。
腹診:臍周に邪。前回より小さくなる。
方針:前回同様。
取穴:前回同様。
12/26、7診目。
施術3日後頃に1日だけ軟便が出る。
舌診:淡紅舌で薄白苔。
脈診:やや緩脈。
腹診:臍周に邪はほぼ消失。
方針:5診目同様。
取穴:足厥陰肝経、足太陰脾経、督脈の経穴。
2012年1/10、8診目。
年末年始は全く問題なく過ごせていたが、1/6頃から下痢をするようになる。
詳しく問診を進めていくと、カレーを2日連続で食べられたようで、
尚且つ2日とも昼・晩の2食がカレーであった。
舌診:紅舌きつくで白苔。
脈診:一息5至の数滑脈。
腹診:臍周の邪きつい。
方針:湿熱証。
取穴:足陽明胃経、足太陽膀胱経、督脈の経穴。
1/17、9診目。
施術終了2時間後に下痢あり。ただご本人曰く、溜まっていたものがスッと
出ていく感覚があったようで、その後の便の状態は良いとのこと。
舌診:淡紅舌で薄白苔。
脈診:緩脈。
腹診:臍周の表在にうっすらと邪を診る。
方針:脾胃を補う処方に戻す。
取穴:足陽明胃経、足太陽膀胱経の経穴。
1/27、10診目。
ご本人曰く、全てにおいて良好。便は下痢もなく回数も1回/日となる。
舌診:淡紅舌で薄白苔。
脈診:やや浮いて緩脈。
腹診:臍周の表在にうっすらと邪を診る。
方針:前回同様。
取穴:足陽明胃経、督脈の経穴。
3/6、11診目。
体調、便共に宜し。体も非常に軽くなってきた。
舌診:淡紅舌で薄白苔。
脈診:緩やや滑脈。
腹診:天枢穴付近にうっすらと邪を診る。
方針:前回同様。
取穴:足太陰脾経、督脈の経穴。
1ヶ月以上間隔があいても、体調良く過ごされておりましたので、検査のある
5月までは様子をみて頂くようにお伝えしております。
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【担当鍼灸師(下野)より】
幼少の頃から胃腸が弱く、よく何かあるとお腹を下していたようで、
社会人になり、責任ある役職に就いたあたりから
頻繁に便を下すようになったとのことです。
施術としては、先ずは肝気の滞りを捌き、その後に根本の脾胃を補うように
致しました。途中、食生活が乱れたことから証状の悪化がありましたが、
その後はその経験を糧に、食生活を変えて頂きました。
ご本人曰く、季節の変わり目に症状が悪化するとのことでしたが、
今年の4月は、何事もなく、無事に過ごせたようです。 |