一鍼堂(いっしんどう) 大阪心斎橋本院

疾患別解説

頭痛の東洋医学解説



〜東洋医学における頭痛〜

頭痛の原因として大きく分けて2つに分けられる。
(体が弱っている時、或いは、外邪の力が強くて生気が負けるがゆえ)
外邪の侵入によるものを外感という。
体が弱って起こるものを内傷という。
インフルエンザなどは外感に、体の調子が悪く、抵抗力が落ち、
頭痛がなかなか抜けないものなどは内傷に該当する。
詳しくは「虚実という概念」参照
それでは、もう少し突っ込んで見てみましょう。



)外感頭痛
外とは外邪。
自然界の 風 寒 暑 湿 燥 火 の6つの働きが、
生気の弱りに乗じて侵入するものを言います。
(例)寒い場所にいてカゼをひいた=寒邪
湿気のつよいジメジメしたところで体調を壊した=湿邪
冷たい風にあたってカゼをひいた場合=風邪+寒邪
などと考える。

頭痛は上部の症状で、風との関係が強いとされています。
「風に傷られると、先ずこれを上に受く」と古来から言われているように。
風に侵入されると頭痛だけでなく、上部の症状が出るためです。
また、風は他の外邪とくっついて人を侵すので、
その性質によって、次のように分類出来る。

〇風寒による頭痛
寒は凝縮する作用があり、気血がこれにより滞ると痛みが出る。
凝縮するような痛みで、寒邪が強いほど、その痛みは強い。

〇風熱による頭痛
熱は上昇する性質があるため、
風熱はすぐさま上部の頭を侵し、熱感を伴った頭痛を起こす。
頭痛とともに発熱、咽の痛み、咳、痰などの外感風熱の症状が出る。

〇風湿による頭痛
湿はモチモチした邪気で、粘りが強く、陰に属す。
これが上部に侵すことで頭が重く締め付けられるような痛みを発する。


2)内傷による頭痛


内傷とは、臓腑が弱って生気が弱った状態。
五臓のうち肝、脾、腎との関わりが強いとされる。
内傷による分類は以下の通り。

〇肝から起こるもの、ストレス、イライラから起こるもの
肝は気がのびやかに流れていないとダメージを受ける、変わった臓腑。
ストレスにより気が滞ると、まず第一に肝に負担がかかる。
やがて詰まった肝の気は、肝火となり上昇するので頭痛が起こる。
怒りやイライラで痛くなるものがこれである。
目の使いすぎでも同様に起こる。

〇胃腸の弱りから起こるもの(脾虚失運)
脾は、みなさんの漠然と描く胃腸の力と考えて下さい。
飲食物から気血を生成して、全身に供給します。
もちろん頭にも届けられるので、この脾の力が弱ると、
飲食物から気血を生成する能力が落ちるので、
頭に栄養(気血)が、回らずに頭痛が生じます。
また、脾は五臓六腑のうちで湿という邪気を処理する役割を担うので、
脾が弱ると必然的に湿邪が体に溢れ、
それによっても異なる種類の頭痛を起こさせます。

●気虚頭痛
気がうまく生成されず、頭に栄養を送れないと、起こるもの。
生気が弱っているので、疲労時に悪化する。

●血虚頭痛
血がうまく生成されないため、頭部を栄養出来ずに頭痛が起こる。

●湿痰頭痛
脾の弱りがために、体に有害な邪気のうち、
湿痰という邪気が体内に溜まった状態。
五臓のうち、脾がこの湿痰を捌く(さばく)役割を担うため、
脾が弱ると、この湿痰が必然的に溜まってしまう。
湿痰の邪は粘っていて なかなか頑固で治しにくい。

〇体の下半身、臓腑でいうと腎が弱るために起こるもの(腎虚)
五臓のうち、腎が弱るために起こる。
腎が弱ると体に諸々の症状が出るので、それらを伴う。

〇瘀血による頭痛
前述の外感にせよ、内傷病にせよ、気の流れが悪くなり、
長引くと、結果、瘀血が生じる。
瘀血とは、血の滞ったもので、川の流れに岩が邪魔をするように、
気血の流れに頑と居座り邪魔をする。
気血は滞ると即ち痛みを生じるので、オ血により痛みが出る。
また、その痛みは独特なもので刺すような痛みから「刺痛」と呼ばれる。

次に、それぞれの症状を紹介します


〇風寒頭痛
風寒邪は体表を守る浅い所を
流れる気を阻害するので、カゼひきの症状が出る。
その場合は首から肩にかけて凝りが出たり、関節が痛む。
くしゃみ、鼻水、などの症状。

治療:疏風散寒 発散させて寒を散らすことに重点を置く。
温法は用いない。

〇風熱頭痛
風熱の邪が上部を侵すので、
熱っぽく脹ったような頭痛がする。
熱の要素が強いので、発熱、口渇、咽痛、赤ら顔、目の充血、などの症状が出る。

治療:去風清熱を行う。

〇風湿頭痛
湿が侵入するのが特徴的。
湿の性質により、頭が重く包みこまれたような感じがする。
湿邪と同時に脾の弱りがあると、四肢(手足)がだるい。
食欲不振などを伴う。

治療は去風勝湿を行う。

〇気虚頭痛
頭痛は疲労時に悪化する。
生気の弱りがあるので、息切れや倦怠感、食欲不振などを伴う。

治療は益気昇清

〇血虚頭痛
頭が血で滋養されないので眩暈(めまい)がして頭がフラつく事が多い。
面蒼白、動悸、不眠を伴いやすい。
治療は滋陰補血(陰血を高める方法)を用いる。

〇痰湿頭痛
しつこく放っておいても治りずらい。
雨の日になると悪化する。
眩暈(めまい)をともないやすい。
根底に脾虚(胃腸の弱り)があることが多い。

〇腎虚頭痛
痛みは強くないが、慢性化する(なかなか治らない)。
腎が弱るために眩暈(めまい)耳鳴り、
腰がだるいといった症状を伴いやすい。
治療は補腎填精(腎を高める)

〇肝火頭痛
頭痛の種類は、頭頂部痛(頭のてっぺんの痛み)が
出るものもあるが、慢性的に痛みのあるものは、
コメカミ辺りが痛くなる偏頭痛が多い。
赤ら顔や目の充血、熱感、口の苦み、
口の渇き、耳鳴り(比較的高い音)便秘などを伴いやすい。
治療は清肝降火(肝火を冷ます)を行う。


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