大昔の頭のいい人達が、
痛みのある箇所や病気になったときには
それに比例して、関連のある場所
に気の歪みがあり、
その気の歪みを正すと
自然と痛みや病が治り、
また、逆にその気の歪みを体の表面から読み取ることで
病の盛衰を判断できることに気付きました。
その気を動かす道具として鍼(針)は使われて来ました。
鍼灸(針灸)治療で使用する
鍼(針)というものは金属で出来ています。
鍼灸(針灸)治療というのは
このようなステンレスや金、銀といった金属を
接触、或いは翳(かざ)したり刺入したりすることで
病を治していく一風変わった治療法です。
ぞれでは何故そのようにして病が治るのでしょうか。
ふと考えてみれば気付くことですが、
日常において、金属が体内に入るということは
基本的には起こり得ないことです。
その非日常的な刺激を術者は
故意に
起こすことで生体の反応を
施術に応用していくものです。
さて、そこで体内ではいったい
なにが起こっているのでしょうか。
まず金属や異物が体に侵入すると
体は緊急事態と認識します。
生体側では金属の刺入に対して、
「何か異物が侵入したぞ!」と判断し
防衛反応として
体中の気血がその場所に動こうとします。
西洋医学でも血中の白血球の異物に対する
遊走作用をを認めていますね。
先人達はそういった人の体の特性を
熟知していたのでしょう。
彼等はこのようなと非日常的な刺激を
与えて、防衛反応という生体の習性を利用して
気の流れを自由自在に操りました。
普段流れていない場所を刺激して、
びっくりさせてやることによって
そこに気血を巡らせてやります。
これを東洋医学の世界では”補法”と呼びます。
気の空虚な状態を補うと考えるのですね。
簡単に例えると 普段から人通りの少ない
さびれた道にサイレンを鳴らしてやり
人を集合させるようなものです。
そのように集合させることによって
気血を通すと、開通した場所というのは
持ち前の自己修復能力(自然治癒力)で
綺麗に掃除されて ゴミ(邪気)がなくなり
それに伴う症状がなくなるという訳です。
また、今度は、気の集まりすぎた穴所には
独特の刺激を患者に与えて
周りに散らしてやるように工夫いたしました。
これを東洋医学では”瀉法(シャホウ)”と呼びます。
”補に対する瀉”です。
そういった補寫などの作業を
繰り返し行うことによりをりようしてやり
体の気のバランスを整えることによって、
自分の力で日常的にその場所に流れるように
体を変えていき、
病やあらゆる症状を取り去って参ります。