疾患別解説
リウマチの東洋医学解説
【疾患】 リウマチや腱鞘炎、指の痺れ、関節の痛み、強ばりについて 指の痺れ、腱鞘炎、関節の強ばりや、リウマチなどの膠原病、 四肢(手足)の筋肉や関節などに痛みやしびれを起こす病症のことを 東洋医学では、「痺証」といいます。 生気の弱りがあり、それに乗じて外邪(風、寒、湿、熱など)が 侵入すると関節部や筋肉に痺れや痛み、強ばりを発し、 古来ではこれを「痺証」と呼んできたのである。 『黄帝内経素問』痺論篇では 「風寒湿の三気まじわり至り、合して痺となる」と述べられている。 現代医学で治せないとされているリウマチに対して、 凡そ2000前の医学書にかかれているのだから驚きである。 それどこれか、大いにに教えられる思いが、 答えが、 そこには書いてあるような気がするのである。 ここで先人の智慧を借り、この病を改めて考えてみよう。 痺証にはリウマチのほか、指の痺れ、 リウマチ様の関節炎、慢性関節炎、腱鞘炎、座骨神経痛、 頚椎症、五十肩、痛風、神経痛、筋肉痛などの症状を包括している。 また、侵入する邪の種類により 風=風痺(行痺) 寒=寒痺(痛痺) 湿=湿痺(着痺) 熱=熱痺 などと呼ぶ。 勘の良い人は気付くでしょうが、 いわゆる「カゼ」をひくときの病因病理である。 つまり、リウマチなどや上記の症状は、体の弱りに乗じて、 常にカゼをひいている状態であると言える。 痺証の人は、「カゼ」が入ったときに、正気の弱りがあるので、 健康人のように発熱や悪寒などの派手な症状は出ないかわりに、 弱々しく「カゼ」がいつまでも居座り、気穴の流れを阻害するので、 関節の強ばりや痺れなどのリウマチ様症状を現すのである。 これらリウマチなどをはじめとする痺証は、 西洋医学では治らない病気とされているが、私は不治の病どころか、 病因病理をきちんと把握して治療に臨むことで、 充分治すことが出来るものだと感じている。 リウマチは今では私の得意な病気のひとつになった。 以下に、それぞれの痺証の特徴を記す。 1)風痺(行痺) 古典には「その風気、勝れる者は行痺となす。」とある。 風は動きやすく痛みや症状の場所が一定していないので 行痺と呼んだのであろう。 症状 〇遊走性の関節や筋肉の痛み 風は陽性の邪気でよく動くので、 痛みの箇所はところどころ移動する。 他の痺証に比べ、痛みはさほど強くない。 〇上半身に痛みが出やすい 風は動きやすいだけでなく 上部を犯すので(まるで上昇気流のように)、上半身に症状が出やすい。 治療:疏風通絡、散寒除湿 2)寒痺(痛痺) 古典に「それ寒気の勝れる者は痛痺となす」とある。 寒痺の特徴は痛みが強いため古来より痛痺と呼ばれてきた。 症状 〇痛みの部位は固定し動かず、 痛みは刺すようにするどい 寒邪は凝滞を主り、 血流を著しく滞らすために強い痛みが出る。 〇冷やすと悪化 温めるとマシになる。 〇関節が曲げにくくなる 寒邪は凝滞を主るので関節が引きつり、 曲げ難くなるのである。 〇局所や体が冷える 寒邪が存在するので、当然冷える 治療:散寒止痛 3)湿痺(著痺、着痺) 古典に「その湿気の勝れる者は著痺となす」とある。 または、着痺と言われる。 湿邪は粘っこい邪気であり、 すべての痺証に少なからず存在するとは言え、 湿邪の多いものは、しつこく、長期化しやすい。 それゆえ着痺と呼んだのであろう。 治療もあまり間をおかず、間髪入れず湿を叩く必要がある。 症状 〇関節が腫れて、重く感じ、 痛みの場所は固定している 湿邪がため 〇体が重い 湿邪がため 〇皮膚にしびれが出る 湿邪が気血をの流れ塞ぎ、 しびれ感が出る(皮膚麻木) 治療:除湿通絡 4)熱痺 熱は陽邪であるため、病勢急速に変化する。 寒湿の痺証が慢性化すると、 熱をはらみ、寒と熱が同時に存在する寒熱挟雑の状態となるので、 このような複雑な痺証には慎重に治療しなければならない。 (ここは専門的で少し難しいです。ごめんなさい。) 症状 〇関節、筋肉が赤く腫れ、熱感をもつ 〇発熱、口渇を伴いやすく、 冷たいものを欲しがる 体に熱がこもっているので 上記の症状が出る。 熱を消そうと体が冷たいものを欲する、 冷たい飲み物、アイスクリームなどである。 治療:清熱通絡 | ||
体験談・症例集・疾患別解説 一覧へ