疾患別解説
喘息の東洋医学解説
『景岳全書』(けいがくぜんしょ)
著:張景岳(ちょうけいがく)1640年
喘促・論証
”気喘之病、最爲危候。
治失其要、鮮不悞人、
欲辯之者、弁之者亦二証而已。
所謂二証者、一曰実喘、一曰虚喘也。”
和訓:
気喘の病は、最も危険たり、治はその要を失し、
人を誤らさざること鮮し、これを弁ぜんと欲すれば、
またただ二証にて已む。
いわゆる二証は、一は実喘といい、一は虚喘というなり。
古典でも喘息は最も危険は病の一つに挙げられており、
中医学では、喘息を「哮証」と「喘証」に分けるが、
習慣的に両者を合わせて「哮喘」と呼び、
喘息を表わすので、ここでは置いておく。
また、哮喘(喘息)はその原因によって虚喘と実喘に 分けることが出来る。
体が弱って出る哮喘を虚喘、 体の邪気が引き起こすものを実喘と呼ぶ。
虚喘は、喘息の音が弱く、 実喘は、比較的激しいという特徴がある。
東洋医学的見解
寒喘(実喘)
『医林縄墨』(いりんじょうぼく)
著:方隅(ほうぐう) 1584年
“風寒閉肺、無汗氣逆而生喘也。”
和訓:
風寒肺を閉じ、無汗気逆して喘を生むなり
風邪の侵入によって起こるタイプ
○喘息、咳嗽がきつく、寒冷刺激にて悪化。
○痰があっても白色、あるいは透明。口渇はあまりなし。
○外感風寒の症状(カゼひき症状)を伴う。
治法:
辛温散寒(しんおんさんかん)
寒さの邪気による風邪の場合に体表にある寒邪を追い出す
宣肺平喘(せんぱいへいぜん)
肺の宣発作用を扶け、呼吸困難、喘息を改善する
湯液:
麻黄湯(まおうとう)
表証がない場合は、変法として桂枝を除き三拗湯(さんようとう)を用いる。
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
温肺化飲に優れ、痰が透明や白色で、
量の多い喘息に適するが、止咳作用は弱い。
射干麻黄湯(しゃがまおうとう)
射干は化痰作用が強く、痰の量が多いため、
咽がゴロゴロと鳴る喘息に適する。
小竜湯より止咳作用は強いが、解表作用が弱いので、
表証がみられないものに、より適している。
神秘湯(しんぴとう)
理気作用(気を流す作用)が優れているので、
胸悶(きょうもん)の強い喘息、ストレスによるものに効果的である。
熱喘(実喘)
『症因脈治』(しょういんみゃくち)
著:秦昌遇(しんしょうぐう) 1706年
外感喘(がいかんぜん)
“煩悶口渴、喘息気粗、多言身重、
汗出身乃熱、此暑湿之喘症也。”
和訓:
煩悶口渇し、喘息し気粗く、多言し身重く、
汗出で身はすなわち熱す、これ暑熱の喘症なり。
喘息、咳嗽に加え、呼吸が荒くなる。(気急)
○痰が黄色く粘っこい
熱で蒸されるため、
熱が強ければ強いほど
痰は黄色くなり、粘着質になる。
○胸部に不快感がありもだえる(胸悶)、胸痛
痰熱が胸を塞ぐため
○口渇、冷たいものを欲する、発熱、尿色が濃くなる、
便秘する
体が熱に偏るため
治法:
清熱化痰(せいねつけたん)
熱痰に対する治療法。
宣肺平喘(せんぱいへいぜん)
肺の宣発作用を扶け、呼吸困難、喘息を改善する
湯液:
麻杏甘石湯
(まきょうかんせきとう)
五虎湯(ごことう)
麻杏甘石湯に桑白皮を加えることによって
痰熱を下降させ取り除く。
清肺湯(せいはいとう)
清肺、つまり肺熱をよく冷ます。平喘作用はやや弱い。
定喘湯(ていぜんとう)
平喘作用が強い。
痰喘 (実喘)
『万病回春』(まんびょうかいしゅん)著:搜廷賢(きょうていけん) 1587年
"専主于痰。宜用吐法。亦有虚而不可吐者。
治吼必使薄滋味。不可純用凉薬。必兼発散。
哮吼者、肺竅中有痰気也。"
和訓:
専ら痰を主る。宜しく吐法を用うべし。
また虚して吐すべからざる者なり。
吼を治するに、必ず滋味を薄くせしむ。
純ら凉薬を用うべからず。必ず発散を兼ぬ。
哮吼は、肺竅の中に痰気あり。
※父・搜龔信(きょうきょうしん)による
『古今医鑑』哮吼(1368-1644年)にも類似の記載あり
"夫哮吼専主于痰,宜用吐法。亦有虚而不可吐者,此疾寒包熱也。
治法必用薄滋味,不可純用寒凉,須常带表散。"
和訓:
専ら痰を主とす、吐法を用うべし、
また虚ありて吐すべからざる者は、
これ寒包熱の疾なり。治法は必ず滋味を用い、
寒凉を純用すべからず、すべからく常に表散を帯すべし。
『証治匯補』(しょうちかいほ)
著:李用粹(りようすい) 1687年
哮病
"哮即痰喘之久而常発者、因内有壅塞之気、
外有非時之感、膈有膠固之痰、
三者相合、閉拒気道、搏撃有声、発為哮病"
和訓:
哮は痰喘の久にして常発するものたり、
内は壅塞の気あり、外は非時の感あり、膈は膠固の痰あるにより、
三者は相い合し、気道を閉拒し、搏撃して声あり、発して哮病をなす。
熱痰は熱が原因で、副産物として湿痰を形成したが、
この痰喘は、湿痰が主な原因であるケースである。
○喘息、咳嗽とともに痰鳴がある。また痰の量も多くなる。
痰が胸部に存在するため、ゴロゴロと痰の音がする。
○胸がもだえ苦しい(胸悶) 胸部の痰のため
○吐き気があって気持ち悪い(悪心)、食欲が出ない
湿痰は強く脾胃に負担をかける邪気につき、脾胃が正常に 働かなくなり、
胃気が上逆すると悪心、脾を侵すと食欲が 低下すると考えられる。
○舌苔が分厚くなる 湿痰を示す舌状である。
治法:
燥湿化痰(そうしつけたん)
薄い白色の温痰が多いときの治療法
降気平喘(こうきへいぜん)
気を降ろし、喘息を治める治療法
湯液
二陳湯(にちんとう)
理気和胃(りきわい)し、湿痰をよくさばく。
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
二陳湯よりも理気に優れ、痰阻気滞(たんそきたい)の症状に効あり、
梅核気(ばいかくき)にも用いるもので、
肝気の関与の強いものにも 用いる事が出来る。
紫朴湯(さいぼくとう)
小紫胡湯(しょうさいことう)が基本となっているので、
ストレスなどによる肝鬱気滞による喘息に適している。
三子養親湯(さんしようしんとう)
からしの種、紫蘇の種、大根の種から成り、 痰の多いものに適する。
気虚喘(虚喘)
『医貫』(いかん)
著:趙献可(ちょうけんか) 1617年
喘論(ぜんろん)
“真気損耗、喘出于腎気之上奔”
和訓:
真気損耗し、腎気奔り上り喘出ず。
一身に生気の弱りがあるために呼吸が弱って、
哮喘(喘息)
をなすものである。
○息切れ(気短)、喘息。
肺気不足によるため。
○痰がうすく、量が多い。
気虚のため脾の運化作用が落ち、痰が内盛する。
また、陽気が
不足するため、
痰も蒸されることなく、うすく、多量なのである。
○疲、食欲不振、軟便
脾気不足の症状である。
○舌色は淡くなり、水湿があふれると
舌がひだひだになる。(胖嫩舌)
脉:
中医書には脉弱とあるが、
私個人的には濡や緩を
呈することが多いのではと感じている。
湯液:
六君子湯(りっくんしとう)(四君子湯、半夏、陳皮)
健脾益気の四君子湯と、燥湿化痰の二陳湯を使用したもので、
気虚湿痰に用いる。但し、止咳平喘作用は弱い。
生脉散(しょうみゃくさん)(人参、五味子、麦門冬)
気と同時に、津液もある程度損傷されたものに用いる。
陰虚喘(虚喘)
『景岳全書』(けいがくぜんしょ)
著:張景岳(ちょうけいがく) 1640年
喘促・論証(ぜんそく・ろんしょう)
"若真陰虧損、精不化気、
則下不上交而爲促。促者断之基也。"
和訓:
もし真陰虧損し、精、気と化さざれば、
すなわち下、上と交わざるして促となす。
促はこれを絶つの基なり。
一身の内、陽気を失ったものが気虚、陽虚であり、
逆に陰分を損傷して起こるものが、この陰虚喘である。
陰分不足なので、体はよく干き、肺・気管支を潤すことが
出来ずに
出る乾燥タイプの哮喘といえる。
しかし、あくまで陰虚の症状であり、
熱症状を伴うので、
外感燥邪による実証とは、
よく区別しなければならない。
○喘息、咳嗽(夜間にひどくなる)、痰が少なくきれにくい。
体内の津液が不足し、乾いているため。
○ほてり、寝汗(盗汗)、咽干(咽がイガイガする)。
陰虚のため内熱が生じるため。
○腰痛、耳鳴りを伴いやすい。
脉:
中医の教科書には細・数とあるが、
私はよく臨床で浮・緩脉を
確認している。
陰が虚すれば理論的には細・数を呈してもよいが、
同時に陽が昂ぶるので緩脉になるのであろう。
また裏虚に多く、脉が浮いておさまり難いことがあり、
これがよく浮にして緩を帯びるのであろう。
湯液:
麦門冬湯(ばくもんどうとう)
(麦門冬、人参、粳米、甘草、大棗、半夏)
滋陰降火湯(じいんこうかとう)
(当帰、芍菜、地黄、天門冬、麦門冬、知母、黄柏、陳皮、白朮)
麦味地黄丸(八仙丸)
(六味黄丸+麦門冬、五味子)
いずれも滋陰するが、
各々に細かな工夫がこらしてある。
陽虚喘 (虚喘)
一身の陽気不足。虚喘の進んだものが、この陽虚喘である。
陽虚ともなると、生気の弱りがかなり目立ち、
喘息(哮喘)が
あるといえども、
一身の弱りに伴う症状の1つに過ぎないので、
臓腑を整えよく扶正しなければならない。
○喘息、動くとすぐにゼーゼーする。
陽虚のため、腎が虚すと息は吐けるが吸いにくい
という症状が出る。
腎が納気を主っているからである。
○腰冷、腰痛、夜間の頻尿を伴いやすい。
腎気が落ちると出る症状である。
○痰の色が薄く量が多い、むくみやすい。
陽気不足で、水湿をさばくことが出来ないので、
むくみ、痰がたまる。
津液がのこり吸収されると、即ち湿痰になるからである。
○舌色は淡く、正気の弱りを示す。
○脉は弱や細を表し、特に尺位が弱る。
湯液:
八味地黄丸(はちみじおうがん)(六味丸+附子、桂枝)、
海馬地黄丸(かいばじおうがん)、
麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)(麻黄、細辛、附子)
西洋医学的見解
1)気管支喘息の定義・概念
喘息予防・管理ガイドラインでは、
気管支喘息の定義を次のように示している。
1.自然にあるいは治療により可逆性を示す種々の程度の気道の狭窄。
2.気道の過敏性が亢進。
3.Tリンパ球、マスト細胞、
好酸球などの炎症細胞、気道上皮細胞、線維芽細胞をはじめとする
気道構成細胞、及び種々の液性因子が関与する気道の慢性の炎症性疾患。
4.持続する気道炎症は、気道傷害とそれに引き続く
気道構造の変化(リモデリング)を惹起する。
小児と成人喘息は同一の疾患(群)ではあるが、
多くの相違点がみられる。
すなわち小児に比して成人では慢性化し気流制限が非可逆性になり、
気道組織の質的変化・改築(リモデリング)を伴い易く、
臨床的には慢性重症例が多いことが知られている。
免疫反応としては、小児が吸入性アレルゲン(ダニ、ペット、カビ等)を
主とするアレルゲンに対するアトピー(IgE抗体)反応によるのに比し、
成人は非アトピー(IgE非依存・リンパ球依存型)による
アレルギー反応の割合が高くなる。
2)気管支喘息の診断
典型的な喘息発作を繰り返す場合には診断は容易であるが、
発症初期で咳程度の軽い症状を自覚 する場合には、
診断困難なことが少なくない。
診断の目安としては、
1.喘息に基づく特徴的な症状
2.可逆性の気流制限
3.気道の過敏性亢進
4.アトピー素因の存在(成人喘息では参考程度に)
5.喀痰中の好酸球等の気道炎症の存在
6.喘息に類似した症状を示す疾患の除外
などを参考にして 総合的に判断する。
3)気管支喘息の予防・治療
(1)一次予防、二次予防、三次予防
気管支喘息の予防は、
一次予防、二次予防、三次予防に分けて考えることができる。
一次予防とは、喘息発症への関与がわかっている
危険因子への暴露前に実施すべき予防であり、
小児喘息においては、主として出産前後に実施すべき予防である。
非アトピー型喘息の多い成人発症喘息においては、
発症要因が未知の部分が多く、
一次予防の可能性については、今後の研究の成果が待たれる。
二次予防とは、アレルゲン暴露により感作された後の
喘息発症前における発症予防であり、
また危険因子を有する者に対しての早期診断法の確立も有用である。
三次予防とは、喘息発症後の増悪予防であり、
アレルゲンや非特異的増悪因子を回避することである。
治療・三次予防としては、薬物 療法(長期管理時と急性増悪時)、
抗原(アレルゲン)からの回避・除去としての環境調整が重要である。
(2)危険因子
喘息の発症・増悪に関わる因子としては、
個体因子と環境因子がある。
個体因子としては、
1.遺伝子素因
2.アレルギー素因
3.気道過敏性
4.性差
があり、環境因子としては、大別すると
(1)発病因子と(2)増悪因子がある。
発病因子には、
1.アレルゲン
2.ウイルス性呼吸器疾患
3.その他の因子(大気汚染[屋外・屋内]、喫煙[能動・受動]、
食品・食品添加物、寄生虫感染、 薬物)があり、
増悪因子には、
1.アレルゲン
2.大気汚染[屋外・屋内]
3.呼吸器感染症
4.運動ならびに過換気
5.喫煙
6.気象
7.食品・食品添加物
8.薬物
9.激しい感情表現とストレス
10.刺激物質[煙、臭気、水蒸気など]
11.二酸化硫黄
12.月経
13.妊娠
14.肥満
15.アルコール
16.過労
などがあげられている。
遺伝子素因については、これまでにも
多くの候補遺伝子が挙げられているが、まだ確定的なものはない。
成人喘息の疫学
診断治療と保健指導、患者教育
(3)環境調整
アレルゲンの回避はきわめて重要であるが、
最近の日本での室内環境汚染は顕著で、
現実には実施困難な場合が多いことが問題である。
また、成人喘息では小児喘息と異なり、
明確、かつ単一の原因アレルゲンが確定できる
アトピー型喘息の頻度は決して多くないため、
アレルゲン回避の効果が小児喘息ほど明確でない。
しかしながら、環境整備によって
使用薬剤を減らすことが可能になる場合も少なくないため、
薬物療法の前にまず環境調整を考慮すべきであることは論を待たない。
主なアレルゲンについての環境調整のポイントを以下に示す。
1.ハウスダスト、ダニ
最近のI型アレルギー疾患の多発の原因としては
室内のチリダニの増加が重要視されている。
増加した理由は、室内の密閉化(アルミサッシ、木造から鉄筋、モルタルへ)、
冷暖房化、室内家具の増加、カーペットの多用、大掃除がないこと、
窓の開閉が少ないこと、などによると言われている。
したがって、ポイントはこれらの原因を除くことであるが、
実際的にはエアクリーナー、セントラルエアコンディショナー設置、
換気・掃除の励行、カーペットの撤去と板張り化、
室内家具の収納などであり、労力と経済力が必要となる。
カビの場合もほぼ同様である。
2.室内飼育動物
アレルゲンとなるものは主に
イヌ、ネコ、ハムスター等であるが、
特にネコに感作されている患者が多い。
室内では絶対に飼わないこと、週に1~2回は洗うこと、
できれば手放すこと、などに注意が必要である。
4)薬物療法
1.喘息症状がわずか(できれば消失)、夜間症状がわずか(できれば消失)
2.喘息増悪の少ないこ と(できれば稀に)
3.喘息発作による死亡のないこと
4.経口ステロイド薬使用がわずか(できるだけ不使用)
5.運動を含む活動の制約のないこと
6.呼吸機能がほぼ正常であること
7.PEF値の日内変動が20%未満(できれば10%未満)
8.PEF値がほとんど正常
9.薬剤の副作用が少ないかあるいはない
10.短時間作用性β2刺激薬の吸入をほとんど使用しない
以上が治療目標であるが、
これらを達成するために的確な薬物療法が必要となる。
(1)長期管理時の薬物療法
アレルギー性炎症を抑える効果のある薬剤を継続し、
発作や気道過敏性、非可逆的気道閉塞を予防することが目的である。
日常生活に支障がないと、
治療を自己判断で中断してしまう患者が多いため、
自覚症状のみで判断しないようにしなければならない。
長期管理薬としては、
1.ステロイド薬(吸入・経口)
2.テオフィリン徐放製剤(経口)
3.長時間作用性β2刺激薬(吸入・貼付・経口)
4.抗アレルギ ー薬(ロイコトリエン受容体拮抗薬、
メディエーター遊離抑制薬、ヒスタミンH1拮抗薬、
トロンボキサ ン阻害薬、Th2サイトカイン阻害薬)等があるが、
成人喘息においては、
吸入ステロイド薬が第1選択薬と考えられている。
平成19年には、新たな吸入ステロイド薬として、
1日1回吸入かつプロドラッグとしての
シクレソニド及び吸入ステロイド薬と
長時間作用性β2刺激薬の合剤が発売された。
喘息治療のガイドラインでは、
重症度に応じて長期管理時の薬物治療を
成人喘息では4つの段階
(ステップ1. 軽症間欠型、ステップ2. 軽症持続型、
ステップ3. 中等症持続型、ステップ4. 重症持 続型)、
に分類して治療薬剤を決定することを原則としている。
症状が改善し3か月安定したら
薬剤を段階的に減量(ステップダウン)する。
また、長期的に症状が悪化したり現状の症状安定が
望めないときは、治療を段階的に増量(ステップアップ)する。
(2)発作時(急性増悪時)の薬物療法
発作治療薬としては、
1.短時間作用性β2刺激薬(吸入・経口)
2.短時間作用性テオフィリン薬 (経口・注射)
3.ステロイド薬(経口・注射)
4.エピネフィリン皮下注射薬
5.抗コリン薬(吸入)
等がある。
小児・成人喘息とも吸入β2刺激薬が第1選択薬と考えられている。
ほとんど自覚症状のないわずかな発作から、
歩行、会話不能となる高度な発作まで発作には広範な重症度の違いがある。
ガイドラインでは、発作に対して家庭で適切に対処するために、
ピークフロー測定値を指標としたゾーンシステムの導入により
交通信号に模して治療の指針を示している。
急性発作時の家庭での治療において重要な点は、
吸入β2刺激薬の治療に反応しない場合は、
次の点滴治療が遅れないようにできるだけ
速やかに喘息救急外来を受診することである。
厚生労働省H.Pより
[記事:為沢]
参考文献:
『基礎中医学』
『中医診断と治療』 燎原書店
『いかに弁証論治するか・続編』
『中医弁証論治』
『中医病因病機学』東洋学術出版社
『景岳全書 傷寒典―現代語訳』たにぐち書店