大阪府豊中寺市在住 A.Oさま 30代女性 会社員
主訴:うつ病(鬱病)、腰痛
その他の症状:微熱
既往歴:うつ
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【来院時の依頼文】
『一ヶ月ほど前から、 長時間寝ているとだんだん腰が痛くなってくるという症状が出始めました。
(寝具等は特に変更などしておりません)
最初は長時間寝ている時だけだったのが、
最近は5~6時間寝ているだけで朝方腰が痛くなるようになりました。
背骨を中心として、腰全体が重く響くように痛くなります。
寝返りをうって体制を変えても痛みます。
痛みは時間と共にだんだんひどくなっていき、
終いには我慢できなくなり起き上がってしまいます。
起き上がってしばらくはかがんだりすると痛みます。
その内痛みは収まっていきます。
起き上がってすぐにまた横になると痛みが来ます。
しばらく起き上がっていると再び寝ても痛くなりません。
整形外科でレントゲンを撮ってもらいましたが、骨に異常は無いようです。
痛み止めの薬とシップをもらいましたが、それでもやや鈍痛が残ります。
これでは根本的な解決にはならないと思うので、
鍼治療で何とかならないかと思ってメールいたしました。
かれこれ三年ほどうつ病の治療中で、
抗うつ薬、抗精神病薬、精神安定剤、睡眠薬等を服用しています。
また、週に2,3日原因不明の微熱が出ます。
腰の治療が最優先ですが、うつにも鍼治療が効果ありとの事だったので、
そちらも出来れば治して頂きたいです。』
(本文ママ)
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上記の御依頼文を受け、
【2009年6月15日、鍼灸治療を求め 一鍼堂来院。】
腰痛の場所は腎兪、命門付近。
ここ1ヵ月半ほど腰が重く酸い痛み、
微熱が夕方から夜にかけて37,2℃ほど出てくる。
また、平素より雨天時の体の倦怠感アリ。
月経周期が38~40日周期で経血量が少なめ。月経時痛はなし。
うつ病は3年前に発症。
以来、抗うつ藥、抗精神病薬、精神安定剤、睡眠薬など服用中。
薬を服用し始めてから朝が起きれなくなってきたとのこと。
IT関連の仕事を10年ほど勤務していたが、うつ病のため退職。
1年前に現在の事務職に転職。
舌診:胖嫩舌、舌辺部の歯痕、白膩苔
脈診:沈濡にして右尺が弱い
腹診:胃土の邪気がきつし
切経:合谷(虚中ノ実)・曲沢(実)・後谿(実)
足三里(虚中ノ実)・陰陵泉(虚中ノ実)・照海(虚・枯レキツシ)
肺兪(虚)・胆兪(実)・胃兪(虚中ノ実)・腎兪(虚深シ)
考察:腎陰虚証
治療後:腰の痛みが⑩→④まで軽減。
6月18日(2診目)
前回施術後、腰の痛みが違和感になるなど
症状に波が出るようになり、微熱も夕方以降出るが
一旦落ちついたり、再び上がったり波が出るようになる。
症状が安定するまで週2回ペースで診させて頂く。
6月22日(3診目)
前回施術後、腰痛が消失したり④ほど出たり
微熱も上がったり、下がったり波が出ている。
また、月経が28日でくる。いつも38日周期なので驚かれる。
体調が調ってきている証なので、引続き経過観察して頂く。
6月25日(4診目)
腰の痛みは落ちついてるが、朝食後の倦怠感がきつい。
脾胃の湿邪が停滞しているので、去湿を試みる。
6月29日(5診目)
前回施した、去湿にて倦怠感と腰痛がラクに。
微熱は変わらず波アリ。去湿と補腎陰を続けて施術する。
その後も週2回ペースで施術。
7月13日(9診目)
微熱の波は変わらず。腰痛は安定してくる。
また、聞診にて声量がはっきり出ているのを確認。
8月6日(19診目)
微熱の波が変わらずアリ。
ステンレス製のディスポーザブル鍼(使い捨ての鍼)を使用していたが
銀鍼での施術で陰分を補ってみる。
8月13日(20診目)
前回施術後、微熱の症状が落ち着き、1週間平熱で過ごせるようになる。
滅菌処理した銀鍼を使用し経過観察して頂く。
8月27日(22診目)
全体的な体調は良いが、
週始めの月曜日に倦怠感を訴えるようになる。
肝鬱気滞があるので、仕事始めの月曜日に体調不良がでるものと考察し
疏肝理気を主とした処方に切り替える。
9月3日(23診目)
月曜日の倦怠感はあるが、③ほどで落ちついていた。
9月7日(24診目)
心療内科で処方されている薬の量が減り、軽い薬に変わったことを伺う。
その後、調子が安定。
10月1日(28診目)
少量の飲酒のため、やや微熱と不眠の症状が出る。
体調が良いので、A.Oさまの中で「飲酒してみよう」と
心の余裕が出てきたことは評価できるが、
まだ完全に調っていないので建脾を施す。
11月19日(35診目)
体調調ってきてはいるが、
木曜日に倦怠感を感じることが出てくる。
精神的な負担は軽減され月曜日の倦怠感はマシになるが
木曜日は身体的に疲れが溜まってくるので
倦怠感があるとのこと。
補腎陰を継続して施していたが、やや置鍼時間を長めに置き
経過観察して頂く。
12月7日(37診目)
木曜日の身体的な倦怠感は未だアリ。
よくよく問診すると、寒くなってきたのでホットカーペットの上で
寝ようになってきたとのこと。
ホットカーペットなどの暖房器具を使って睡眠すると
陰分が枯渇してしまうので、養生指導として ホットカーペットの使用を禁止して頂く。
12月17日(39診目)
倦怠感なく過ごせていると報告頂く。
2010年1月21日(42診目)
年末年始、調子良く過ごせていたとのこと。
次回より2週間に1回のペースで診療していく。
2月4日(43診目)
倦怠感は最近はなし。
間食が最近多いとのこと。 脾胃への負担があるが倦怠感が出ていないので
大分、脾胃が調ってきていることを確認する。
3月25日(46診目)
様々な負荷をかけても体調良く過ごされているので
今回を以て、御卒業して頂く。
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【担当鍼灸師の為沢より】
初診は腰痛と微熱を主訴に診させて頂き、
途中よりうつ病からくる倦怠感に切り替え御体を診させて頂きました。
出勤前に御予約されることが多く、
最初の方は倦怠感から、朝が起きれず、 遅刻または予約キャンセルされることが
多々ございましたが、施術を重ねる毎にそういった連絡はなくなり
順調に診させて頂いておりました。
コツコツ頑張って通院して頂きましたね。
元気になったとは言え、過度の間食や飲酒には気を付けて下さい。 |