【癌の治療方法】◉西洋医学の治療方法現在、癌の治療方法としては、
①手術療法
②化学治療(薬物治療とも言います。)
③放射線治療
が基本的で三大療法と呼ばれています。
治療方法は
検査で病気の起こっている場所(病巣)の状況を見極めるのは勿論、
年齢、性別、患者さんの希望も
考慮して決められ、
状況によっては
上記①②③の治療方法を組み合わせる(集学的治療)こともあるようです。
・各治療方法の紹介①手術療法癌の起こっている場所(病巣)を
切除するのは勿論、
その臓器の周辺組織やリンパ節に癌の転移があれば、
一緒に切除する。
○メリット・癌の塊を一気に取り切ることが出来る。
・癌の転移がなければ、根治する可能性が高い。
●デメリット・メスを入れるので、体にキズが出来る。
・臓器を切除するため、体の機能が失われる。
・他に小さな転移があった場合、治療が出来ない。
・手術不可能な場所に癌があった場合、適応できない。
近年ではこれらの問題を解決するために、
小型カメラ(内視鏡)を使った、
*腹腔鏡(ふくくうきょう)下手術、
*胸腔鏡(きょうくうきょう)下手術の普及が進んでいる。
*内視鏡をお腹や胸に入れるので腹腔鏡、胸腔鏡と言います。②化学療法(薬物療法)字の如く、
薬(主に抗がん剤)を投与し、
がん細胞を死滅させたり、
増殖を抑えたりする治療方法。
薬は点滴や注射、内服(飲み薬)で、
薬の成分が血液を通して全身を巡り、
癌の部位は勿論、
小さな転移があった場合にも効果がみられる。
ホルモン治療はこちらに分類される。
○メリット・手術で不可能な、小さな転移も治療できる。
●デメリット・副作用がきつい。(脱毛、吐き気、倦怠感など)
・肝臓や腎臓、血液を造る臓器への障害がみられる。
③放射線治療癌の起こっている場所(病巣)に放射線を当て(照射)、
がん細胞を死滅させる治療方法。
治療を行う前の検査技術、
また放射線の照射方法も向上したことにより、
癌の大きさ・位置を正確に判断でき、
その場所のみを照射できるようになった。
放射線治療は、
基本的には体の外から照射(外部照射)するのだが、
近年では放射線を出す物質を
密封した針やカプセルを
癌の起こっている場所(病巣部)に挿入する方法や、
放射線物質を注射や内服(薬)で投与する方法もあるようです。
○メリット・治療技術の向上で、病巣のみを集中的に治療できる。
・臓器の働きを発症前と同じ状態に出来る。
・骨に転移した癌にも対処でき、痛みを和らげることが出来る。
●デメリット・放射線を集中的に照射することで、炎症症状が起こる。
・めまい等の症状が現れる。
癌患者の病の進行度合いや、
年齢、体力等を考慮して治療方法は決められるものの、
やはりデメリットの部分というのがついて回るようです。
そこで、負担の少ない新薬の開発や、
治療方法といったものが、日々研究されています。
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◉東洋医学の治療方法一方、東洋医学では
「癥瘕(ちょうか)」や
「積聚(しゃくじゅ、せきしゅう)」が
現在の癌に当たると考えられており、
古来より病の成り立ち(病因病機(びょういんびょうき))と
その治療方法(弁証論治(べんしょうろんち))が確立されていました。
以下に弁証論治を挙げていきます。
①肝気鬱滞(かんきうったい)ストレス・イライラ・過度な気分の高揚などで
肝の気を流す働き(疏泄(そせつ)機能)が失調し、
気が滞ってしまう。
その結果、腹内で気の聚(塊)を形成する。
主症状:腹部の痛み・鳩尾(みぞおち)に気持ち悪さを感じる など。治法:肝の気を散らす(疎肝解鬱)
②食滞痰阻(しょくたいたんそ)食物が胃腸で停滞し、
消化が十分に出来ないために
脾の働き(運化機能)を失調させてしまう。
その結果 湿痰(しったん)という病理産物が生じ、
食滞と湿痰が互いに気の動きを妨害し、
気の聚(塊)を形成する。
主症状:腹部の脹り、痛み・食欲低下・下痢 など。治法:食滞と湿痰を取り除く(導滞通便・理気化痰)③気滞血瘀(きたいけつお)気の滞りから、
血の運行(推動作用)が出来なくなり、
その結果 積(塊)を成したもの。
この病態は、
まだ初期段階にあるとされ、
治療を的確に行えば、
比較的早期に塊を散らすことができる。
主症状:塊は軟らかく、一ヶ所で固定・脹った痛み など。治法:気・血を散らす(理気活血・通絡消積)④瘀血内結(おけつないけつ)③の状態から長時間経過し、
状態としては悪化したものであり、
塊は大きくなり、硬くなる。
主症状:硬く、大きな積塊・顔色が黒い・体が痩せる など。治法:瘀血を下しながら、脾胃を調える(活血化瘀・調理脾胃)⑤正虚瘀結(せいきょおけつ)④の状況から更に長期化して悪化し、
人の生命力や抵抗力を指す
正気(せいき)が損傷したことで起こった状態を指す。
主症状:塊は硬く、痛みが増強・顔色は黄、黒色・痩せる など。治法:気血を補い、時に瘀血を下す(大補気血・活血化瘀)①②に関しては
病が気分(きぶん)に属し、
発病して間もないものであるとされ
聚証と分類している。
比較的病は軽いと考えられています。
③④⑤は
聚証から病が進んだものとされ
気だけでなく、
血も阻滞されて塊をなしたものであり、
積証とされる。
正気の盛衰と邪(瘀血や湿痰)の
関係をしっかりと把握し、
攻める治療なのか、
攻めることと補うことを同時にするのか、
補うことを優先するのかを
的確に判断しなければなりません。
積聚は、
すぐに解消されるというよりも、
根気よく治療を行うように、
術者と患者が意識しておく必要があるとされています。
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◉最後に1981年以降 我が国の死因の第1位で、
ここ最近では1年間に亡くなられた方の3割を占めています。
更には2人に1人が癌になるとまで言われるようになり
他人事では済まされない病気となりました。
また癌は再発の可能性があり、
その度に患者は辛い治療や
癌特有の症状に苦しめられる日々を
送らなくてはなりません。
この現状に国も動き、
・癌の予防・早期発見・早期治療・癌患者の生活の質の向上・癌治療の専門医師・医療従事者の育成などを目的とした法律
「がん対策基本法」を成立させ、
国をあげての対策を始めました。
ただ国がこのように動いても、
国民一人一人の意識が低ければ、
今後も癌患者は増加する可能性もあるのではないでしょうか。
東洋・西洋の医学を問わず、
生活習慣の乱れが
病を引き起こす要因になると考えられていますので、
私たちが日頃から節度ある生活習慣を
送る様に心掛けなくてはいけません。
[記事]下野
[参考文献]
・万病回春解説 創元社
・難経解説
・中医弁証学
・中医学の基礎
・中医病因病機学
・中医基本用語辞典
・[標準]中医内科学 東洋学術出版社
・病気がみえる vol.① 消化器
・病気がみえる vol.⑤ 血液
・病気がみえる vol.⑨ 婦人科・乳腺外科 メディックメディア
・臨床 医学各論
・最新 医学大事典 医歯薬出版株式会社
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