鍼医として大事な事。
江戸時代の名医岡本一抱が著書『医学切要指南』で次のように残しています。
医ハ惟利得ヲ捨 仁義ヲ以テ情ノ主トセハ自 天神コレニ應護ヲ加テ
治療ノ神秘アル事ヲ得ヘキ成
つまりは我々の行動も鍼を持つ時の心持ちも
天には常に通じることであり、
鍼医者として正しい事を貫く者を天は常に観ている、
そういう者を天は決して見放さない。
また、そういう者の治療は神秘的な力が潜んでいるものであるということです。
僕も開業当初このように感じていて、
貧乏でしてが、
良い治療さえすれば天は見放さないと信じて
がんばってこれました。
そしてそれは真実であると確信しています。
よく鍼灸師が悩む問題。
”鍼灸で飯が食えるか”という問題。
鍼に命を捧げるものが食えないわけない。
食えないばかりか、そういう者の元にそれ以上の多くのものが集まるでしょう。
昨今ではいろいろな宣伝をするものが増えました。
人はだませても天には筒抜けです。
患者を前にしますが、
自分に嘘をつかない事、
そして天に嘘をつかない事を自分の命に誓います。
これが何よりも鍼医として大事な事であり、
ここに掲げました。
鍼を持つ事は自分自身に対する修行であり、
また、その鍼が一人でも多くの悩める者の元へと届くようにと
そのように願います。
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京都大学の富士川文庫として公開されている医学切要指南の該当箇所です。
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