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【古医書】霊枢:厥病 第二十四⑥
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こんにちは盧です。
急に暖かさが増してきて
春を通り越して夏を
感じる日々です。
大人になって仕事以外で
新しい友人ができるのは
なかなかなかったのですが
先日そんな日がありました。
また学生の頃と違って
また新しい付き合い方が
あるように感じます。
それでは霊枢の続きを見てみましょう。
耳聾無聞、取耳中。 耳鳴、取耳前動脈。
耳痛不可刺者、耳中有膿、若有乾耵聹、耳無聞也。
耳聾、取手小指次指爪甲上与肉交者。先取手、後取足。
耳鳴、取手中指爪甲上。左取右、右取左。先取手、後取足。
足髀不可挙、側而取之在枢合中。以員利鍼、大鍼不可刺。
病注下血、取曲泉。
耳聾聞く所なくば、その耳中を取る。
耳鳴は、耳前の動脈を取る。
耳痛みて刺すべからざるは耳中に膿あり、もし乾耵聹あれば、耳聞こえること無すなり。
耳聾は手小指次指爪甲上と肉の交わるところを取る。左は右を取り、右は左を取る。
まず手を取りて、後に足を取る。 足髀挙げるべからずは、側してこれを枢合中にあるを取る。
員利鍼をもってし、大鍼をもって刺すべからず、病の注ぐがごとく下血するは、曲泉を取る。
耵聹とは耳垢のことである。
ここでは耳鳴りや聴覚障害についての簡単な弁別と
その治療法を述べる。
また足が上がらない症状についての治療法も述べる。
張景岳は類経で
「枢合中、髀枢中也、即足少陽胆経之環跳穴也。」
として「枢合中」とは「環跳穴」であると解説している。
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参考文献
「現代語訳 黄帝内経霊枢 上」東洋学術出版
「黄帝内経霊枢 三家注」中国中医薬出版
【古医書】霊枢:厥病 第二十四④
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こんにちは盧です。
今日も霊枢を読んでいきましょう。
厥心痛、与背相控、善瘈、如従後触其心、傴僂者、腎心痛也、
先取京骨崑崙、発鍼不已取然谷。
厥心痛、腹脹胸満、心尤痛甚、胃心痛也、
取之大都、太白。
厥心痛、痛如以錐鍼刺其心、心痛甚者、脾心痛也、
取然谷、太谿。
厥心痛、色蒼蒼如死状、終日不得大息、肝心痛也、
取之行間、太衝。
厥心痛、臥若徒居、心痛間動作痛益甚、色不変、肺心痛也、
取之魚際、太淵。
厥心痛、背と相ひきて、よく瘈(けい)し、
後よりその心に触るる如くにして、
傴僂(くる)する者は、腎の心痛なり、
まず京骨・崑崙に取り、鍼を発すれば立ちどころに已む
已まざれば然谷を取る。
厥心痛、腹脹り胸満ち、心尤も痛むこと甚だしきは、
胃の心痛なり、
これを大都・太白に取る。
厥心痛、痛み錐鍼(すいしん)を以て、その心を刺すが如く、
心痛むこと甚だしき者は、脾の心痛なり、
これを然谷、太谿に取る。
厥心痛、色蒼蒼として死せる状のごとく、終日大息するを
得ざるは、肝の心痛なり、
これを行間・太衝に取る。
厥心痛、臥しもしくは徒居すれば、心痛間(い)え動作すれば
痛みますます甚だしく、色変ぜざるは、肺の心痛なり。
これを魚際、太淵に取る。
●厥心痛とは何であろうか?
難経六十難には
「五臓気相干、名厥心痛。」とある。
参考:難経六十難
五臓が病んだために起こるものであるとする。
また楊玄操は
厥心痛のとき、五臓の病み方について
「諸経絡皆属於心、若一経有病、其脈逆行、逆則乗心、乗心則心痛、故曰厥心痛。」
と述べ心が自ら病むのではなく
他の四臓や経絡が病むことで
結果として
心に症状が起こることを述べている。
傴僂とは、またの名を「せむし」と言い、
背中が弓なりに曲がっていく病である。
現代で言う骨粗鬆症やくる病によって起こるもの
と考えられる。
●また脾の心痛に対してなぜ
腎経の経穴を使うのだろうか?
楊上善は
「脾是土、腎為水、土当剋水、水反乗脾、脾乃与心為病、故遠療腎輸也。」
といい、通常は五行で考えれば、土剋水であるところを
水が暴走したために「水侮土」の関係となる。
(相剋の逆の関係が起こる)
そのため水邪をさばくことで脾を建てるのである。
また古医書では「腎邪」という表現がよくみられるが、
この「水」が暴走したものを
述べているものであると思われる。
参考文献
「現代語訳 黄帝内経霊枢 上」東洋学術出版
「霊枢講義 上」学苑出版
「易経と難経」宝栄出版