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黄帝内経素問 「求」の字の解釈
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こんにちは、大原です。
最近、個人的に
『黄帝内経 素問・霊枢』の内容を学ぶ機会が増え、
原文の解釈を再度確認していくと、
今まで覚えていた解釈とは異なったニュアンスの解釈を知り、
こっちの方が正しいのでは?という内容がありました。
素問の内容をみていきます。
素問 陰陽応象大論篇(第五)より
<原文>
陰陽者、天地之道也。
萬物之綱紀。變化之父母。生殺之本始。神明之府也。
治病必求於本。
大まかな意味としては
「陰陽」というものは、天地の働きであり、
天地自然の大法則(すなわち道)が働きとなって現れ、
その働きによって万物が生存する。
陰陽の働きによって万物の変化もおこる。
遺尿は又殺生の本始である。
病を治すには、必ず本を求めるべきである。
となります。
ただ、一番最後の行の「本を求める」とは
どのような意味でしょうか?
一見、「本質・根本を探し求める」のように
考えるのが適当のように思います。
しかし、「求」の意味は、
「しっかりと引きしめておかねばならない」
ということのようです。
『孟子』という書物の中に
「君子の道は、他なし。その放心を求むるのみ。
人は鶏犬の放たるるあらば、これを求むるを知る。
しかるにいま放心あれども、これを求むるを知らず。哀しいかな。」
という句があり、
人の心について、その緊張がたるむと
心は勝手気ままに四方に散りたがる。
その「放」に対して逆にグイっと中心に引き締めることを「求」という。
と、解説されている書籍がありました。
すなわち、先の素問の原文の解釈は、
身体の病も陰陽の不調によって起こるものであるから、
この根本の原則から逸脱しないように
その本をしっかりと引き締めて、
不調和を起こさないように心がけなければならない、
という意に解釈するのが適用のようです。
<参考文献>
『鍼灸医学大系② 黄帝内経素問』 雄渾社
『黄帝内経 素問』 東洋学術出版社
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
大原
【古医書】雑病第二十六
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こんにちは盧です。
学生時代は山のように本を読んでいたのですが
ここ最近めっきり読まなくなってしまいました。
本不足による禁断症状?が出だしたので
ひさびさに梅田のマルゼンへ
小説もあり、新書もあり、
どれを読もうか迷ってしまいますね。
厥.挾脊而痛者.至頂.頭沈沈然.目䀮䀮然、腰脊強.
取足太陽膕中血絡.
厥.胸滿面腫.脣漯漯然.暴言難.甚則不能言.取足陽明.
厥.氣走喉而不能言.手足青.大便不利.取足少陰.
厥而腹嚮嚮然.多寒氣.腹中士士.便溲難.取足太陰.
厥して、脊を挟みて痛む者は、頂に至り、頭沈々然とし、
目硯硯然として、腰脊強きは、足太陽の膕中の血絡に取る。
厥して、胸滿し面腫れ、唇漯漯然として、暴かに言うこと難く、
甚だしければ則ち言うこと能わず、足陽明に取る。
厥して、気喉に走りて言うこと能わず、手足ひえ、
大便利せざるは、足の少陰に取る。
厥して、腹嚮嚮然として、寒気多く、腹中穀穀として、
便溲難きは、足太陰に取る。
䀮䀮然・・・ぼんやりとしてはっきり目がみえないさま
漯漯然・・・唇が腫れてよだれが垂れるさま
嚮嚮然・・・腹が張り、弾くと音がするさま
穀穀・・・水が流れる様子
「挾脊而痛者、至頂、頭沈沈然、目䀮䀮然、腰脊強、取足太陽膕中血絡.」
鍼灸甲乙経では
「腰痛みて脊挟み、頭に至りて几几然、目䀮䀮、委中これを主どる」とある。
「暴言難.甚則不能言」
張志総が
「喉嚨は、気のもって上下する所なり。陽明の脈は喉嚨を循り、
逆すれば気機不利、ゆえににわかに言うこと難く、
甚だしければ言うこと能わずなり。」と述べる。
「厥、氣走喉而不能言、手足青、大便不利」
同じく張志総が
「これ邪、足少陰の気病みて、厥逆するなり。足少陰腎脈、喉嚨循りて、
舌本を挟み、厥気喉に上逆し、ゆえに言うこと能わず。
腎は正気の原、気逆する故に手足ひえる。
腎は二陰に開竅する故に大便不利す。」とある。
「厥而腹嚮嚮然.多寒氣.腹中穀穀.便溲難」
張介賓は
「腹嚮嚮然、寒気 脾に滞るなり。
穀穀然、水穀分かたざるの様子なり。
便溲難、脾脈 陰気に集まるためなり。」と述べる。
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参考文献
「現代語訳 黄帝内経霊枢 上」東洋学術出版
「霊枢講義」学苑出版
【古医書】霊枢:病本第二十五②
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こんにちは盧です。
それでは霊枢の続きを見ていきましょう。
大小便不利、治其標。大小便利、治其本。
病発而標之、先治其本、後治其標。
病発而不足、標而本之、先治其標、後治其本。
謹詳察間甚、以意調之。間者並行、甚為独行。
先小大便不利、而後生他病者、治其本也。
大小便利さず、その標を治す。
大小便利するは、その本を治す。
病発して有余、本にして標にゆくは、
まずその本を治し、後にその標を治す。
病発して不足、標にして本にゆくは、
まずその標を治し、後にその本を治す。
謹んで詳らかに間甚を察し、
意を以ってこれを調える。
間は並行し、甚は独り行くと為す。
まず大小便不利して
後に他病を生じるはその本を治す。
間甚について
張介賓曰く「間とは、病の浅いことを言う。
甚とは病の重いことを言う。」とあります。
まとめると
病の浅いものは「並行」つまり同時に治療していき
病の深いものは「独行」つまり順に治療していくべきである。
と述べられています。
また基本方針は「まず本を治す」ことであるが
「大小便不利」が出た場合は例外で
危急の状態のため、標をとることが優先される。
参考文献
「黄帝内経霊枢 上」東洋学術出版
「霊枢講義 上」学苑出版