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素問を読む:其ノ三②
【生気通天論篇 第三】②
前回の記事 素問を読む:其ノ三①
今回は
陽気の変調について
以下に主だった症状を列挙していく。
▲喘喝
「喘」:呼吸困難 「喝」:呼吸困難によって発せられる声音
夏の暑さにより汗が出て、
煩燥状態になると、呼吸困難になって
息が粗くなりはあはあという音が出る。
さらに暑熱の邪が内攻すると、神明に影響して、
多言多語の症状を現し、身体は盛んな炭火のように熱くなる。
過度に煩労すると、
陽勝則陰病(ようしょうそくいんびょう)となり、
緊張が亢ぶり陰精の衰耗を引き起こし、
それが続くと以下の症状が出現する。
▲煎厥
→病因:陽実陰虚の状態で、さらに夏の暑熱に影響
症状:目がぼんやりとしてはっきりしない、耳が塞がって聞こえない
ちなみに「煎」とは、
強い火力を与え、植物などの成分を煮出すこと という意味があるが、
何かの力が働いて結果的に出現するといった経過を意味すると考えられる。
▲薄厥
→病因:陽実陰虚の状態で、大怒により陽気の逆乱が起こる
症状:昏厥
張景岳の説によると、
「薄」とは、互いに迫ること を指す。
●「厥」 とは、卒倒、人事不省、四肢が氷のように冷たい状態を指す。
実証:肝陽上亢、食物の停滞−気機が逆上−上部に鬱滞−清竅が閉塞
虚証:気虚、気血の損傷−清竅不養
▲痤疿
「痤」は一種の小セツ(※やまいだれに節)「疿」あせもの一種。
汗が出た後に湿邪の侵襲を受けると、
小セツ(※やまいだれに節)と汗疹が発生する。
新川
参考文献:『黄帝内経素問 上巻—現代語訳』 東洋学術出版
『鍼灸治療 内経気象学入門—現代に甦る黄帝内経による気象医学』 緑書房
素問を読む:其ノ三①
【生気通天論篇 第三】①
生気:人間の生命活動
通天:自然界
この篇では、「人間の生命活動と自然界は密接に関係し合っている」
ことを論じている。
そのことは、
『夫自古通天者、生之本、本於陰陽』
→昔から、人の生命活動と自然環境には、極めて親密に相い通じる関係があり,
生命の根本は陰陽にもとづくと考えられている。
と表されております。
『陽気者、若天与日。失其所、則祈寿而不彰』
→ 人体の陽気は、ちょうど天体に太陽が存在しているようなものである。
もし太陽が正常さを失えば、自然界の万物は生存出来ない。
人の身体も自然界の流れの一部である。
人間にとって太陽=陽気の存在は必要不可欠である。
『蒼天之気、清浄則志意治。順之、則陽気固。』
→人の生気は天の気と関連があるため、天の気が清浄であれば
人の意志は平静なのである。この道理に順えば、
陽気に護りの役目を果たせることができる。
自然に順応し、生活していくことは陽気を大切にしていくことに深く結びつく。
次回は陽気の変調について
新川
参考文献:『黄帝内経素問 上巻—現代語訳』 東洋学術出版
『鍼灸治療 内経気象学入門—現代に甦る黄帝内経による気象医学』 緑書房