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【鍼灸重宝記】九鍼之図説より
九鍼之図説より
鍼経に云く九鍼の宜く各もちゆべき所あり、
長短大小各々施す所あり、其用を得ざれば病らず、
病浅くして針深ければ良肉を傷って皮膚癰をなす、
病深くして針浅ければ邪気かへって後に大病を生ず、
病小にして針大なれば気泻することはなはだしく元気を傷る。
病大にして針小なれば病気漏れずして針その宜しきを失ひ
病気泄れずして針その宜しきを失ひ亦敗をなす。
今日本にもちゆるは、ぢく八分、ふとさ麦の茎ほどにし、
先を三角にして管に入れてはぢく、
腫物の血膿をとり又日腫に痃癖に刺して血をとる、
又邪気あつまり痛をなすとき刺して血をとれば邪気去ってすなはちよし、
俗に三稜針といふ。
(『鍼灸重宝記』より)
【臓象学】心・小腸
下積み修行中の宮村さんのお勉強記事です。
勉強不足で至らない内容ですが、
少しずつ学んで参りますのでお許し下さい。
不出来なところもあるかと思われますが、
成長とともに少しずつお返しして参ります。
どうか見守り 応援してやって下さい。
二月になりました。学校では1・2年生はまもなく期末試験が始まり、
3年生は国家試験に向けてラストスパートをかけているところです。
学校全体にいつもと違った緊張した空気が流れているのを感じます。
自分は2年生なので国家試験は来年ですが、3年生を見ていると、
こちらまで不安やあせりを感じてしまいます。
今は目の前の期末試験に集中!
自分はいつも最初に気負いすぎて後半に失速する傾向があるので
気を付けたいと思います。
では今回は以前アップした臓象学概要から進んで、
各臓腑の働きについて勉強した内容を書いていきたいと思います。
今回は心、小腸の臓象について書いていきます。
●心
「心は五臓六腑の大主なり。」
「心は君主の官なり、神明これより出ず。」
中医学において心は五臓六腑を統括する最高指導者であり、
「君主の官」と呼ばれる。
「心は神を蔵す。」
心は「神」を納めている。
心の機能が正常であれば、精神は充実し、意識はしっかりしている。
心の機能が損なわれると、精神、意識・思考活動の異常が現れ、
不眠・多夢・気持ちが落ち着かないなどの状態になる。
神:神は、知覚・記憶・思考・意識・判断など、
すべての精神活動を支配して、その中心となっている。
「心は血脈を主る。」
心は、脈を介して血を全身にくまなく運行させ、
臓腑や皮肉筋骨など身体諸機関を栄養する。
心の機能が損なわれると、脈拍に異常が現れ、血の巡りも悪くなる。
「心の華は顔にある。」
華とは色彩、光沢のことであり心の状態が、
顔面部の色彩、光沢の変化に反映する。
心気の充実していれば顔色が良く、つやがある。
「心は舌に開竅する。」
心は、舌の運動を支配し、味覚を主る。
心の機能が衰えると、味覚異常が現われたる、言語障害が起きたりする。
●小腸
「小腸は受盛の官なり、化物これより出ず」
「清濁の泌別を主る」
小腸は「受盛の官」と呼ばれ、胃から送られてきた糟粕を受け取り、
さらに消化し、それを人体に必要なもの(水穀の精微)である清と、
それ以外の不要なもの濁に分別する働きがある。
それを清濁泌別という。
小腸の機能が失調すると、これらの分別が不十分なまま大腸に送られ、
下腹部痛や下痢などの原因となる。
参考文献:
『中医学の基礎』
『やさしい中医学』 東洋学術出版社
『東洋医学概論』 教育執筆小委員会
白芍のはたらき
下積み修行中の大原さんのお勉強記事です。
勉強不足で至らない内容ですが、
少しずつ学び成長して参りますのでお許し下さい。
不出来なところもあるかと思われますが、
成長とともに少しずつお返しして参りますので
どうか見守り 応援してやって下さい。
修行生の大原です。
今回は、ある方剤についてまとめてみました。
(方剤とは、治療目的に合わせて2種以上の生薬を
混ぜてつくった漢方薬をいいます。)
「桂枝湯(けいしとう)」、「小建中湯(しょうけんちゅうとう)」
という方剤を耳にしたことはあるでしょうか?
この二つの方剤は、「白芍(びゃくしゃく)」や
「桂枝」「生姜」「炙甘草」など、同じような生薬を、
ほとんど同じ量だけ混ぜて作られています。
【東洋医学メモ】で書いているように、
「桂枝湯」の生薬の一つである「白芍」の量を2倍にして
「膠飴(こうい)」を加えると「小建中湯」になります。
同じような成分なのに、名前が全く違うのは
不思議だと思いませんか?
(後で述べますが、二つの方剤の働きも、微妙に異なります。)
二つの方剤の違いは、上記のように
「白芍」の量と「膠飴」の有無です。
「膠飴」とは甘さの成分ですが、
「白芍」とは何でしょうか? 調べてみました。
「白芍」とは?
キンポウゲ科の草本「シャクヤク」の根を
乾燥または蒸乾したものを「芍薬(しゃくやく)」)といい、
外皮を除去したものを「白芍」、
除去していないものを「赤芍」と分類される。
奈良県、長野県で栽培されている。
「立てばシャクヤク、座ればボタン・・・」と
俗謡でうたわれるほどの美しい花の一つ。
ここで、それぞれの方剤の主治と、
「白芍」の効果をまとめてみます。
「桂枝湯」
解表剤のひとつ。解肌発表により邪を除き、
栄衛生発の源である中焦を振奮させて、
栄衛を充実させ調和させる。風寒表証を主治とする。
酸収の「白芍」は、益陰斂栄に働いて営陰の外泄を止め、
営弱を防止する。
「小建中湯」
温裏剤のひとつ。温中補虚を主眼とし、
中焦虚寒・脾虚肝乗を主治とする。
「白芍」は陰血を滋益して、主薬を補助する。
少々難しいですが、上記から、
「白芍」の作用は「陰」を補うことだと分かります。
「桂枝湯」では、五味の一つである「辛」の
「桂枝」が表を散邪する主な成分であり、
「白芍」は、この発散中に斂汗(汗を止める)
する働きがあります。
また、「小建中湯」では、中焦である「脾」を補うため、
五味の一つである「甘」の「膠飴」が主な成分であり、
「白芍」はその補助として津液をめぐらす働きがあります。
以上のように、生薬の混ぜる量が変わるだけで、
方剤そのものや生薬の働きが変わることが
お分かりになると思います。
漢方の世界の奥深さを感じますよね。
「カゼの引き始めだから葛根湯を飲もう!」と
安直に考えていた私ですが、
もうちょっと考えてみる余地がありそうです。
最後に、「桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)」を
ご紹介します。
これは、「小建中湯」から「膠飴」を除いたもので、
(つまり、「桂枝湯」の、「白芍」の量を2倍にしたもの)
効能は和脾止痛で、裏虚腹痛を主治とします。
「桂枝湯」で中焦を振奮させ、
「白芍」で和営柔肝・止痛させます。
柔肝とは、肝の陰血を補充することにより
肝気を抑制して柔和にし、正常に疏泄が
行えるようにすることです。
参考文献:
『中医臨床のための方剤学』 医歯薬出版株式会社
『漢方薬入門』 保育社
『薬草辞典』 昭文社
*画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
ぜひ参考文献を読んでみて下さい。
大原