下野です。
冷房の室内にいることが多いので、
ここ1~2週間程
お昼休みに散歩に出て、
体を動かすようにしています。
元々 夏は体調が良い方なので、
暑さも苦になることはなく、
じんわり汗をかき気持ちが良いです。
ただ、こまめな水分補給はしないと
ばててしまいますので、気をつけます。
では『薬性の歌』に参ります。
【原文】
益智辛温、安神益気、遺濁遺精、嘔逆皆治。
甘松味香、善除悪気、浴体香肌、心腹痛已。
小茴性温、能除疝気、腹痛腰疼、調中暖胃。
大茴味辛、疝気脚気、腫痛膀胱、止嘔開胃。
乾姜味辛、表解風寒、炮苦逐冷、虚熱尤堪。
<第十七に続く>
【解説】
益智は辛・温。
心・腎を益して
遺尿、遺精、嘔逆を治す。
殻を去るように。
甘松の味は甘。
脾胃の気滞による悪気を除き、
辛香行散で心腹の痛みを已む。
小茴の性は温。
散寒止痛の作用で疝気を除き、
腹痛、腰疼にも用いる。
中焦を調え、胃を暖める。
大茴は辛。
疝気や脚気、膀胱の腫痛に用いる。
止嘔、理気開胃に働く。
乾姜は辛。
温中散寒の働きで、風寒を表解する。
炮すると冷を除く。
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◉益智仁
ショウガ科のハナミョウガ属の
成熟した果実。
性味:辛・温
帰経:脾・心・腎
効能:
①温脾止瀉・開胃摂涎唾
・脾胃の虚寒の腹痛や下痢、嘔吐、食欲不振、
よだれやツバが多い等に。
方剤例 → 益智散
②温腎固精・縮尿
・腎陽虚の遺精や遺尿、頻尿、尿に精液が混じる等に。
方剤例 → 縮泉丸
◉甘松
オミナエシ科のナルドキタシスの根。
性味:辛・甘・温
帰経:脾・胃
効能:
①行気止痛・開胃覚脾
・脾胃が寒邪を受け、それにより気滞を生じ、
胸苦しいや腹痛、食欲不振等に。
方剤例 → 大七香丸
②その他
・湿脚気の水腫に。
◉小茴香
セリ科ウイキョウ属の成熟した果実。
性味:辛・温
帰経:肝・腎・脾・胃
効能:
①散寒止痛
・寒滞肝脈の四肢厥冷や
下腹部から陰部・大腿内側部にかけての疝痛等に。
方剤例 → 暖肝煎・天台烏薬散
・睾丸の疼痛に。
方剤例 → 香橘散
・陰嚢水腫にも用いる。
②理気和胃
・胃寒の上腹部の痛みや嘔吐、食欲不振に。
方剤例 → 安中散
◉大茴香
モクレン科シキミ属の果実。
八角とも呼ばれている。
性味・効能ともに小茴香に似ているが、
薬効が劣るとされている。
薬用というよりも、
香辛料として用いられている。
◉乾姜
ショウガ科のショウガの根を乾燥したもの。
性味:大辛・大熱
帰経:心・肺・脾・胃
※本多先生による解説はこちら → 柴胡桂枝乾姜湯/腹證奇覧
日本の方剤では、
「生姜」は乾燥品のことで、乾姜を意味している。
中国では乾燥していない、新鮮な根を
生姜(ショウキョウ)と呼んでいるので、
注意が必要とされている。
<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『まんが漢方入門』 医道の日本社
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
下野