張仲景の古医書『傷寒論』の解説です。
今回の傷寒論は弁太陰病脈証并治 二百八十章。
この章では、太陰病を治療するときの注意事項について
詳しく述べております。
二百八十章
太陰爲病、脉弱、其人續自便利、
設當行大黄、芍藥者、宜減之、以其人胃氣弱、易動故也。
和訓:
太陰の病たる、脉弱、其の人続いて自ら便利すれば、
設し当に大黄芍薬を行るべきものは、宜しく之を減ずべし。
其の人胃気弱く動じ易きを以ての故なり。
・太陰爲病、脉弱、其人續自便利
太陰病の腹満時痛は必ず脈弱であり、
頻繁に下痢すれば、この脈は脾の虚寒証を表す。
胃気が本来弱く、脾陽が充実しないために虚寒となり易いのである。
・設當行大黄、芍藥者、宜減之、以其人胃氣弱、易動故也
大黄や芍薬は苦・降・散・寒の働きが強く、
容易に脾胃を傷つけ犯しやすいので
用いるのには充分な注意が必要である。
提要:
太陰病を治療するときの注意事項について。
『現代語訳 宋本傷寒論』訳を使用:
およそ太陰病で脈が弱、しかも患者の下痢は止まらず、
それでもなお大黄芍薬方を用いねばならない場合は、
薬用量を減らす必要がある。
なぜなら、患者の胃腸は虚弱で損傷を受けやすいからである。
参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』 東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』 績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社
生薬イメージ画像:為沢 画
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
為沢