京都水族館にて
京都水族館にて

下野です。
今回も『薬性の歌』の記事になります。


【原文】
威霊苦温、腰膝冷痛、積痰痃癖、風湿通用。
牡丹苦寒、破血通経、血分有熱、無汗骨蒸。
玄参苦寒、清無根火、消腫骨蒸、補腎亦可。
沙参味苦、消腫排膿、補肝益肺、退熱除風。
丹参味苦、破積調経、生新去悪、祛除帯崩。

<第十四に続く>


【解説】
威霊は苦・温。
腰、膝の冷痛、積痰、
頚から肩の痛みや引き攣り、
風湿の病に用いる。

牡丹は苦・寒。
血を破りて経絡を通し、
血熱を清して
無汗骨蒸にも有効。

玄参は苦・寒。
陰虚火盛に用い
咽喉の腫や骨蒸を治す。
腎を補うことも可能である。

沙参は味・苦。
腫を消して膿を排する。
補肝、益肺に働き、
熱を退けたり、風を除く。

丹参の味は苦。
積を破りて経絡を調え、
瘀血を去り新血を生じて
崩帯を去り除く。

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◉威霊

キンポウゲ科シナボタンヅルの地下部。
もしくは、同属植物の地下部。
性味:辛・鹹・温
帰経:膀胱
効能:
①祛風除湿・通絡止痛:風湿の痺痛や半身不随に。
方剤例 → 二朮湯・疎経活血湯 等
②消痰遂飲:痰飲積滞の咳嗽や呼吸困難、悪心、嘔吐等。
③その他:骨の軟化作用がある為、魚の骨が喉に刺さった時に。

◉牡丹

ボタン科の根皮
性味:苦・辛・微寒
帰経:心・肝・腎
◎本多先生による解説はこちら → 八味丸/腹證奇覧

春の彼岸に食べる「ぼたもち(牡丹餅)」は、
牡丹の花に似ていることから
この名前が付けられたとされています。

◉玄参

ゴマノハグサ属の根部。
性味:苦・鹹・寒
帰経:肺・胃・腎
効能:
①滋陰涼血・除煩:温熱の邪が営血に入ったことによる、夜間の熱、意識障害、斑疹等。
方剤例 → 清営湯・清宮湯・化斑湯
②滋陰降火・解毒:
・陰虚火旺の咽喉の痛みや腫れ、目の充血、のぼせ、喀血等。
方剤例 → 養陰清肺湯・両地湯
・熱毒の咽の痛みや腫れに。
方剤例 → 玄参升麻湯・玄参解毒湯
・血栓閉塞性脈管炎の壊死期に。
方剤例 → 四妙勇安湯
③清熱軟堅:頸部リンパ節腫や皮下結節に。
方剤例 → 消瘰丸
④潤腸通便:腸燥便秘に。
方剤例 → 増液湯

◉沙参

セリ科の浜防風の皮を去った根部。
性味:甘・微苦・微寒
帰経:肺・胃
効能:
①清肺熱・養肺陰:
・温・燥による咳、咽や鼻の乾燥、痰、発熱等。
方剤例 → 桑杏湯
・燥熱傷陰や肺陰虚の咳、血痰、体の熱感等。
方剤例 → 沙参麦冬湯
②養胃生津:熱病の傷津による口渇に。
方剤例 → 養胃湯・益胃湯

◉丹参

シソ科のタンジンの根部。
性味:苦・微寒
帰経:心・肝
効能:
①活血祛瘀:
・血熱瘀滞の月経不順、月経痛、無月経や、
産後瘀阻の腹痛や悪露排出不全に。
方剤例 → 丹参散
・肝鬱気滞血瘀の脇痛に。
方剤例 → 丹参飲
・子宮外妊娠破裂の腹腔内血腫に。
方剤例 → 宮外孕方
・肝腫や脾腫に。
②涼血消腫:
・皮膚化膿症に。
方剤例 → 消乳湯
・風湿熱痺の関節痛や腫れ、熱感等。
③清心除煩:熱入営分の焦燥や不眠、夜間の熱等。
方剤例 → 清営湯


<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『まんが漢方入門』 医道の日本社
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

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