下野です。
早いもので7月になり、
いよいろ夏がやってきますね。
暑いからといって、
冷たいものを取りすぎないように
気をつけないといけませんね。
今回も『薬性の歌』の記事になります。
【原文】
沢瀉苦寒、消腫止渇、除湿通淋、陰汗自遏。
木通性寒、小腸熱閉、利竅通経、最能導滞。
車前気寒、溺渋眼赤、小便能通、大便能実。
地骨皮寒、解肌退熱、有汗骨蒸、強陰涼血。
木瓜味酸、湿腫脚気、霍乱転筋、足膝無力。
<第十三に続く>
【解説】
沢瀉は苦寒。
水腫を消し、口渇を止め、
湿滞りを捌き、尿を出させる。
陰部の発汗も止まる。
木通の性は寒。
小腸の熱閉に用いる。
通利し、滞りを導く。
車前は寒。
排尿困難や眼の充血に。
小便を通し、形のある大便を出す。
地骨皮は寒。
解肌して熱を退け、
陰虚の骨蒸有汗に効果があり、
陰を強くし涼血する。
木瓜の味は酸。
湿腫の脚気や霍乱転筋、下腿の無力感に用いる。
———————————————————————————
◉沢瀉
オモダカ科のサジオモダカの
皮を取り除いた茎。
性味:甘・淡・寒
帰経:腎・膀胱
◎為沢先生による解説はこちら → 【古医書】傷寒論を読む: 弁太陽病脈証并治(中)七十章・七十一章
オモダカは観賞用に栽培されるようですが、
縁起物として食される「クワイ」は
このオモダカの栽培変種のようです。
ちなみに、豊中市のお隣
吹田市はクワイの生産地と有名で
かつては宮中にも献上されていたようです。
◉木通
アケビ科のアケビ、
及び同属植物の蔓性茎。
性味:苦・寒
帰経:心・肺・小腸・膀胱
効能
①降火利水
・心火が小腸に移り生じる焦燥や不眠、口内炎、
排尿痛、排尿困難に。
方剤例 → 導赤散
・下腿の浮腫や痛み、尿量の減少に。
方剤例 → 木通散
②宣通血脈
血瘀の無月経、乳汁分泌不全、
湿熱の痺症の関節痛や運動障害に。
◉車前
オオバコ科のオオバコやムジナオオバコ等の
成熟した種子。
性味:甘・淡・寒
帰経:肝・腎・肺・小腸
効能
①清熱利水
湿熱の水腫や尿量の減少、排尿痛、尿が濃い等に。
方剤例 → 八正散・五淋散
②滲湿止瀉
暑温狭湿の嘔吐や下痢、尿量の減少に。
方剤例 → 車前子散
③清肝明目
・肝熱による目の充血や腫脹、痛みに。
方剤例 → 車前散
・肝腎不足の視力低下や飛蚊症、流涙等に。
方剤例 → 駐景丸
④化痰止咳
肺熱の咳嗽や痰に。
◉地骨皮
ナス科のクコの根皮。
性味:甘・寒
帰経:肺・肝・腎
効能
①清虚熱
陰虚の骨蒸潮熱や盗汗に。
方剤例 → 清骨散・地骨皮湯
②清瀉肺火
肺熱の咳嗽や呼吸促迫、血痰に。
方剤例 → 瀉白散
③涼血止血
血熱の喀血や吐血、血尿に。
④その他
内熱の消渇に。
◉木瓜
バラ科のボケの成熟した果実で、
日本産はカリンの成熟した果実。
性味:酸・温
帰経:肝・脾
効能
①平肝舒筋
・血虚肝旺の筋痙攣に。
方剤例 → 補肝湯
・急激な嘔吐や下痢に伴う筋痙攣に。
方剤例 → 木瓜湯
②和中祛湿
・暑温狭湿の悪心や嘔吐、下痢等に。
方剤例 → 六和湯
・湿痺や脚気の下腿浮腫や関節痛、無力感等に。
方剤例 → 虎骨木瓜丸・鷄鳴散
③その他
胃津不足の食欲不振や口の渇きに。
<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『まんが漢方入門』 医道の日本社
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
下野