大原です。
前回は、太陽病の
「中風証(表寒虚証)」と
「傷寒証(表寒実証)」について、
頚〜背骨付近の筋がこわばった場合には、
それぞれ、
「桂枝加葛根湯」、「葛根湯」を用いて、
津液をめぐらせることが必要であると述べました。
太陽病に対する治法は、
基本的には「発汗」させることで
体表の邪を除くというものです。
では、誤って「瀉下」(腸胃に停留した邪実を
大便として排出させ取り除く)させてしまい、
体表の邪を裏に向かわせてしまった場合は
どのように考えるべきでしょうか?
・邪が胸部に陥入した場合(条文21)
(【古医書】傷寒論を読む:弁太陽病脈証并治(上)二十一章・二十二章)
太陽病の邪(風寒)が体表から裏に向かい、
胸部に陥入した場合には、
頭痛、項強、発熱といった太陽病の
主症状に加えて、
心下満、小便不利といった
症状が現れるようです。
これには、単なる桂枝湯ではなく、
桂枝湯から芍薬という生薬を除いた
「桂枝去芍薬湯」を用いるのが良いとされています。
理由は、表から落ちこんだ邪に対しては、
落ちこんだ邪を浮かすことが大切で、
「芍薬」には収斂作用(下へ下げる、引き締める)があり、
表から落ちこんだ邪に対して用いると、
さらに邪が落ちこんでしまう可能性が
あるためだそうです。
・邪が胃腸に内陥した場合(条文34)
(【古医書】傷寒論を読む:弁太陽病脈証并治(中)三十四章)
邪が表から裏に陥入し、
下痢が止まらないという症状がみられた場合、
邪は表にも残って
表にも裏にも旺盛な熱邪があることから、
この下痢を「協熱下痢」と呼ぶそうです。
この場合は「葛根黄芩黄連湯」を用いて、
裏にある熱を清し、
下痢を止めるのが良いとされています。
この二つの条文は、どちらも表邪が
裏に向かって落ち込んだというものですが、
その程度(深さ)が異なっています。
次回に続きます。
参考文献:
『基礎中医学』 燎原
『傷寒論を読もう』 東洋学術出版社
『中医臨床のための方剤学』 神戸中医学研究会
*画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
ぜひ参考文献を読んでみて下さい。
大原
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