お山で採ったハチクが
悩んだ僕を
諭す仏の手掌のようにみえた。
実は、こいつを鬼の手と僕は呼んでいたのだが、
この日のものは仏様のそれにしか見えなかった。
或いは、仏も鬼も表裏一体という示しでしょうか。
小さいながらもなんとも生気であふれる
温かくさりげない重たさを持っており、
ありがたく、このまま腐らすわけにもいかないので、
持ち帰り、食った。
僕の中で生き、導き給え、
と願いながら。
家に持ち帰り、
ハチクを持って帰ったぞ、
と息子に見せると、
「ああーーーー!!! ツチノコー!!!」
と大はしゃぎ。
彼はツチノコと何かを間違えているようだ。
仏の手をツチノコとは。
これがまさしくツチノコなら、父は報奨金として1億円ゲットだぜ、息子よ。
それもそれで悪くはないではないか、息子よ。
おっと。欲が出ましたね。失礼。
とにもかくにも、
お山には、この時期、
仏の手が土から生えてくる。
ありがたやありがたや。
それを頂けることも、またありがたし。
鍼師 林玄弌