下野です。

今回も『薬性の歌』の記事になり、
よく皆さんも
名前は聞いたことがある生薬が
出て参ります。


【原文】
升麻性寒、清胃解毒、升提下陥、牙疼可逐。
桔梗味苦、療咽痛腫、載薬上升、開胸利壅。
去芦。
紫蘇味辛、風寒発表、梗下諸気、消除脹満。
麻黄味辛、解表出汗、身熱頭疼、風寒発散。
止汗用根。
葛根味甘、傷寒発表、温瘧往来、止渇解酒。

<第七に続く>


【解説】
升麻の性は寒。
胃火を清して解毒し、気虚下陥を升提し、
歯痛を治す。

桔梗の味は苦。
咽喉腫痛の治療に用いる。
生薬の作用で肺気を開提して
胸郭を開き、壅滞を通す。

紫蘇の味は辛。
風寒の邪を発散させる。
蘇梗(紫蘇の茎枝)は理気作用で
気を動かし、脹満を消失させる。

麻黄の味は辛。
発汗解表の作用があり、
頭痛、身熱に用いる。
風寒の邪を発散する。
汗を止めるには根を用いる。

葛根の味は甘。
傷寒を表に発する。
熱病による口渇や酒毒をさばく。

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◉升麻

キンポウゲ科のサラシナショウマの根茎。
性味:甘・辛・微寒
帰経:脾・胃・肺・大腸
効能:
①発表透疹:麻疹初期、透発が不十分な時に用いる。
方剤例→升麻葛根湯、宣毒発表湯。
②清熱解毒:
・胃火亢盛による歯茎のびらん、口内炎、口臭に。
方剤例→清胃湯。
・熱毒による咽の痛み、発赤に。
方剤例→晋済消毒飲。
③昇拳陽気:気虚下陥の慢性下痢、脱肛、子宮筋腫に。
方剤例→補中益気湯、昇陥湯。

◉桔梗

桔梗
桔梗

キキョウ科のキキョウの根。
性味:苦・辛・平
帰経:肺
※為沢先生による解説はこちら→【古医書】傷寒論: 弁太陽病脈証并治(下)百四十一章
※小堀さんによる解説はこちら→お屠蘇について

紅葉の名所である
京都・東福寺にある天得院は
「桔梗の寺」と言われ、
桔梗が咲き誇る寺院として有名なようです。

◉紫蘇

シソ科のシソ。
また、近縁植物の葉。
性味:辛・温
帰経:肺・脾・胃
効能:
①散寒解表
・風寒表証の頭痛・悪寒・発熱など。
方剤例→加味香蘇散。
・胸苦、痞え、食欲不振など。
方剤例→香蘇散。
・咳嗽、息苦しいなど。
方剤例→杏蘇散。
②理気寛中
・脾胃の気滞による腹満、嘔吐、悪心などに。
方剤例→霍香正気散。
・痰凝気滞の梅核気。
方剤例→半夏厚朴湯。
③行気安胎
・気滞、気鬱の胎動不安、悪阻に。
方剤例→黄連蘇葉湯、順気飲子。
④解魚蟹毒
・魚貝類の中毒による悪心、嘔吐など。

◉麻黄

麻黄
麻黄

マオウ科のシナマオウなどの
同属植物の木質化していない地上茎。
性味:辛・微苦・温
帰経:肺・膀胱
※為沢先生による解説はこちら→【古医書】傷寒論を読む:弁太陽病脈証并治(上)十四章
※本多先生による解説はこちら→桂姜棗草黄辛附湯/腹證奇覧より

インド神話に登場する
「ソーマ」という神々の飲料は、
マオウ属の植物ないかと言われているようである。

◉葛根

葛根
葛根

マメ科のクズの周皮を除いた根。
性味:甘・辛・凉
帰経:脾・胃
※為沢先生による解説はこちら→【古医書】傷寒論を読む:弁太陽病脈証并治(上)十四章
※本多先生による解説はこちら→葛根湯/腹證奇覧

葛根を和名で「クズ」と言いますが、
これはかつて大和国(奈良県)の国栖(くず)と呼ばれる地方の人が、
この植物の根から精製した粉を売っていたことから名付けられた
と言われています。


<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『まんが漢方入門』 医道の日本社
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野


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