大原です。
前回(古典に記されている精神活動 その1)の続きです。
霊枢の本陣篇(第八)では、
人間の精神活動と、それに大きく関わるもの
(徳・気・精・神・魂・魄・心・意・志・思・智・慮)について、
岐伯が黄帝に述べていきます。
岐伯答曰、
(岐伯が答える、)
天之在我者徳也。
(天が人に賦与したものは「徳」(気候や日光、雨、露など)である。)
地之在我者気也。
(地が人に賦与したものは「気」(土地の産物)である。)
徳流気薄而生者也。
(ですから、天の徳が下り流れ、上昇した地の気と交わり、
陰陽が結合して万物を化生して、人も生存することができます。)
故生之来謂之精。
(人の生命の最初の物質、これを精といいます。)
両精相搏謂之神。
(男女が交わり二つの精が結合して成った
生命の機(しかけ)、これを神といいます。)
随神往来者謂之魂。
(神気に従って往来する精神活動、これを魂といいます。)
並精而出入者謂之魄。
(精に従う先天的本能、これを魄といいます。)
所以任物者謂之心。
(母体から離れたのち生命活動を主宰するもの、これを心といいます。)
心有所憶謂之意。
(心の中に記されるが、まだ定まらないもの、これを意といいます。)
意之所存謂之志。
(意が思慮したものを決定実行する、これを志といいます。)
因志而存変謂之思。
(志をもとに反復して思考する、これを思といいます。)
因思而遠慕謂之慮。
(思考の範囲が近くから遠くへおよぶこと、これを慮といいます。)
因慮而所物謂之智。
(考慮したのち、毅然と処理する、これを智といいます。)
(抜粋終了)
以上のように、
天の気である「徳」、地の気である「気」、
人の生命の最初の物質である「精」、
そのしかけである「神」、
それぞれの精神活動である
「魂、魄、心、意、志、思、智、慮」がどのようなものか、
思慮深く記されています。
おそらく、どの精神活動やそれに関連するものも、
すべて重要だと認識されており、
どれが欠けても広義の神は
その機能を具現化できないと
考えられていたのではないでしょうか。
参考文献:
『黄帝内経 素問 上巻』 東洋学術出版社
『黄帝内経 霊枢 上巻』 東洋学術出版社
『基礎中医学』 燎原
*画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
ぜひ参考文献を読んでみて下さい。
大原
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