下野です。
画像の書籍を読み、
心にグサッとくるものが多くあり、
色々考えさせられます。
では『薬性の歌』に参ります。
【原文】
貝母微寒、止嗽化痰、肺癰肺痿、開鬱除煩。
去心。
大黄苦寒、破血消瘀、快膈通腸、破除積聚。
酒炒、上達巓頂。酒洗、中至胃脘。生用、下行。
芒硝苦寒、実熱積聚、蠲痰潤燥、疏通便閉。
柴胡味苦、能瀉肝火、寒熱往来、瘧疾均可。
前胡微寒、寧嗽消痰、寒熱頭痛、痞悶能安。
<第六に続く>
【現代語訳・解説】
貝母は微寒。
清化熱痰、止咳の効能があり、
肺癰や肺痿に用いる。
散結作用で鬱を開き、煩を除く。
芯を去るように。
大黄は苦、寒。
行瘀破積作用で血瘀を取り除き、
また腸胃の積滞を通ので、
便秘や積、聚にも効果がある。
酒炒は上焦に、酒洗は中焦に、生は下焦に至る。
芒硝は苦、寒。
実熱積聚の痰や大便燥結に効果がある。
柴胡は苦。
肝火を瀉す効果があり、
少陽半表半裏の邪による
寒熱往来、瘧疾の主薬でもある。
前胡は微、寒。
肺熱、表証の咳嗽、痰、寒熱、頭痛に適し、
胸苦しいなどの症状にも効果がある。
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◉貝母
ユリ科のアミガサユリ属植物各種の鱗茎。
性味:
川貝母→苦・甘・微寒
浙貝母→苦・寒
帰経:心・肺
※為沢先生による解説はこちら→【古医書】傷寒論: 弁太陽病脈証并治(下)百四十一章
貝母には川貝母と浙貝母があり、
川貝母の方が小さく、高価とされている。
日本では奈良県で栽培され、
「大和貝母」とも称されているようです。
◉大黄
タデ科のダイオウ属植物。
又は、それらの種間雑種の根茎。
性味:苦・寒
帰経:脾・胃・大腸・肝・心包
※本多先生による解説はこちら→大黄甘草湯/腹證奇覧
劇的な効果を発揮することから、
「将軍」との別称がついており、
中国では戦国時代、ヨーロッパでは
『*ギリシャ本草』に記載があるようです。
※紀元前1世紀にローマ皇帝ネロの
侍医ディオスコリディスが著したとされる。
病に対する薬草(アロエ)の処方本。
◉芒硝
天然の含水硫酸ナトリウム、
または風化消。
性味:鹹・苦・寒
帰経:胃・大腸・三焦
※本多先生による解説はこちら→桃核承気湯/腹證奇覧
上記説明のように
芒硝はナトリウムであるが、
正倉院で発見された芒硝は
硫酸マグネシウムと判明し、
いつの時代に入れ替わったかは
不明とされているようです。
◉柴胡
セリ科のミシマサイコ。
又はその変種の根。
性味:苦・微辛・微寒
帰経:肝・胆・心包・三焦
※本多先生による解説はこちら→柴胡桂枝乾姜湯/腹證奇覧
静岡県三島市付近が産地として
優れていたようで、
和名は「ミシマサイコ」とされ、
現在は絶滅危惧種のようです。
◉前胡
セリ科のノダケの根。
性味:苦・辛・微寒
帰経:肺
効能:
①降気消痰:肺熱による咳嗽・粘りのある痰(黄色)・胸悶など
方剤例→前胡散
②宣散風熱:風熱表証の咳嗽・痰・呼吸促迫・咽の痛みなど
方剤例→二煎湯
<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『中医臨床のための中薬学』 東洋学術出版社
『中医臨床のための方剤学』 東洋学術出版社
『最新 医学大辞典』 医歯薬出版株式会社
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
下野
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