宮村です。
今回は臓腑弁証の脾・胃病弁証の
胃絡損傷について勉強した内容を書いていきます。
胃絡損傷
胃腑の脈絡が損傷されたために血が溢れ出し、
吐血や黒い血便を排泄するなどの症状を起こす病理で、
吐血は胃の脈絡から溢れ出した血が
胃気の上逆によって吐き出されたもので
胃から腸に入り大便として排出されれば
血便となる。
胃絡損傷の原因は様々であるが、
肝火犯胃・気虚不摂という2種類の病変がよく現れる。
肝火犯胃
肝経の火が盛んになり、
その熱が横逆して胃に波及したため、
胃絡が損傷されたもの。
熱が血を圧迫して溢れ出させたものであり
その血が気に従って逆上すれば吐血や衄血が起きる。
肝火犯胃が起きるのは
もともと肝が昂ぶりやすかったり、
感情の抑鬱や怒りのために肝を損傷したり、
肝腎の陰虚があったため、
火旺になったもので
血は気に従って上逆し吐血する。
血の色は赤黒く、食物の残滓が混じっている。
またそれ以外の症状として
頭痛・目の充血・口苦・咽の渇き・胸脇部痛・心煩
不眠・いらいらする・怒りっぽい・舌質紅・脈弦数
などの症状をともなう。
気虚不摂
労倦のために脾胃の気が損傷すれば、
脾虚のために統血の機能がうまく働かず、
血を留めておくことが出来ない。
胃に溢れ出た血が気の上下に従って
吐血や血便がでる。
脾胃の気が不足している状態から
血を失えばさらに気血は虚し、
動悸・息切れ・顔面蒼白・精神疲労
力が入らない・舌質淡・脈細弱
などの症状をともなう。
その状態が長く続けば
気虚から陽気不足に繋がり
陰寒の邪が体内で強くなるので
四肢の冷え・泥状便・脘腹部がしくしく痛む
などの症状が現れる。
参考文献:
『東洋医学概論』 医道の日本社
『針灸学 基礎編』 東洋学術出版
『中医病因病機学』 東洋学術出版
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
宮村