下野です。
もう早いもので11月ですが、
『万病回春』の記事はまだまだ始まりの部分です。
長い期間にはなると思いますが、
どうかお付き合い下さい。

では記事に参ります。


【原文】
諸風掉眩者、皆属於肝也。
諸寒収引者、皆属於腎也。
諸湿腫満者、皆属於脾也。
諸気憤鬱者、皆属於肺也。
諸痛癢瘡者、皆属於心也。
諸痿喘嘔者、皆属於上也。
諸厥固泄者、皆属於下也。
諸熱瞀瘛皆属於火、手少陽三焦経也。
瞀、昏也。瘛、跳動也。
諸禁鼓栗、如喪神守皆属於火、手少陰心経也。
禁冷也。
諸逆衝上、皆属於火、手厥陰心包絡経也。
諸痙強直、皆属於湿、足太陽膀胱経也。
諸腹脹大、皆属於熱、足太陰脾経也。
諸燥狂越、皆属於火、足陽明胃経也。
諸暴強直、皆属於風、足厥陰肝経也。
諸病有聲鼓之如鼓、皆属於熱、手太陰肺経也。
諸病跗腫酸疼驚駭、皆属於火、手陽明大腸経也。
跗腫、足背腫也。
諸転反戻、水液混濁、皆属於熱、手太陽小腸経也。
諸病水液、澄徹清冷、皆属於寒、足少陰腎経也。
諸嘔吐酸暴注下迫、皆属於熱、足少陽胆経也。
暴注、卒然瀉也。下迫、裏急後重也。

五虛者、脈細、皮寒、気少、泄利前後、飲食不入是也。
漿粥入胃、泄瀉止則生。
五実者、脈盛、皮熱、腹脹、前後不通、悶瞀是也。
瀉之、大小通利而得汗者生。
五勝者、風勝則動、熱勝則腫、燥勝則乾、寒勝則浮、湿勝則濡泄也。
五悪者、心悪熱、肺悪寒、肝悪風、脾悪湿、腎悪燥也。
六脱者、脱気、脱血、脱津、脱液、脱精、脱神也。
五労者、久視傷血、労於心也。
久臥傷気、労於肺也。
久坐傷肉、労於脾也。
久立傷骨、労於腎也。
久行傷筋、労於肝也。

<第十四に続く>


【現代語訳・解説】
風気によるふるえや眩暈は、皆肝と関連する。
寒気による拘攣は、皆腎と関連する。
湿気による脹満は、皆脾と関連する。
気による呼吸困難や胸悶は、皆肺と関連する。
痛みや痒み、できものは、皆心と関連する。
痿弱や喘ぎ、嘔吐は、皆上焦と関連する。
厥逆や大小便の不通や漏出は、皆下焦と関連する。
熱気による意識の暗み、引きつけは、皆火と関連し、
手の少陽三焦経である。
瞀は昏であり、瘛は驚風である。
口が開かず顎が震え、精神が乱れるものは、
皆火と関連し、手の少陰心経である。
禁は冷である。
気が上逆するものは、皆火と関連し、手の厥陰心包絡経である。
痙攣硬直するものは、皆湿と関連し、足の太陽膀胱経である。
体が満したり、腹が大きくふくれるものは、
皆熱と関連し、足の太陰脾経である。
発狂し常軌を逸したものは、皆火と関連し、
足の陽明胃経である。
急激に硬直するものは、皆風と関連し、足の厥陰肝経である。
病が音を伴い、叩くと太鼓のようになるものは、
皆熱と関連し、手の太陰肺経である。
体が重怠く痛みがあり、驚愕するものは、
皆火と関連し、手の陽明大腸経である。
跗腫は足背の腫である。
筋ちがいをおこしたり、排出液が濁るものは、
皆熱と関連し、手の太陽小腸経である。
排出液が冷たく清いものは、皆寒と関連し、足の少陰腎経である。
酸味の液を嘔吐し、急に下痢をするものは、
皆熱と関連し、足の少陽胆経である。
暴注は突然瀉すことで、下迫は裏急後重である。

五虛とは、脈細、皮膚は冷え、気少なく、二便が漏れ、食事が摂れないである。
おもゆが摂れ、下痢が止まれば回復する。
五実とは、脈盛、皮膚は熱く、腹脹、二便は不通、悶えるのである。
二便が通り、発汗するようになれば回復する。
五勝とは、風が勝と痙攣や揺動し、熱が勝と腫れ、燥が勝と乾を、
寒が勝と浮腫を、湿が勝と下痢を引き起こすことである。
五悪とは、心は熱を、肺は寒を、肝は風を、
脾は湿を、腎は燥を嫌悪することである。
六脱とは脱気、脱血、脱津、脱液、脱精、脱神のことである。
五労とは、
長くものを視ることは血を損い、心を労する。
長く横になりすぎると気を損い、肺を労する。
久く座りすぎると肉を損い、脾を労する。
長く立ち続けると骨を損い、腎を労する。
長く歩きすぎると筋を損い、肝を労する。
———————————————————————————
ここでは、
症状と病の性質、また臓腑との関係を記している。

ここまでの第一から第十二まで、
また今回の第十三以降を見ていくと、
割と内容が簡潔に書かれているのが
お分かり頂けるかと思います。
この書物の基本はやはり
『黄帝内経素問』となっていますので、
是非そちらも一緒に見て頂ければと思います。


<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『難経解説』 東洋学術出版社
『現代語訳◉黄帝内経素問 上巻』 東洋学術出版社
『現代語訳◉黄帝内経素問 下巻』 東洋学術出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

返事を書く

Please enter your comment!
Please enter your name here