下野です。

画像の牛像は石で造られているのですが、
春夏秋冬問わず 手を触れると
いつも温もりを感じます。
僕だけかなと思っていたのですが、
同じ感覚をお持ちの方が多いようで、
不思議な像です。

牛像
牛像

では『万病回春』の記事に参ります。


【原文】
産婦面赤舌青、母活子死也。
面青舌青沫出、母死子活也。
唇口俱青、子母俱死也。
婦人已産、宜小実、忌虛浮也。
婦人労虛、右寸数者死也。

魚口気急者死也。
循衣摸床者死也。
口臭不可近者死也。
面腫色蒼黒者死也。
髪直如麻者死也。
遺尿不知者死也。
舌捲卵縮者死也。
眼目直視者死也。
面無光者牙根黒者死也。
汗出身體不涼者死也。
頭面痛、卒視無所見者死也。
黒色、入耳目鼻、漸入口者死也。
温病大熱、脈細小者死也。
温病、汗出不至足者死也。
痩脱形発熱脈堅急者死也。
人病脈不病者、名内虛也。
脈病人不病者、名行尸也。

病若閉目不欲見人者、
宜強急而長、忌浮短而濇也。
病若開目而渴、心下牢者、
宜緊実而数、忌浮濇而微也。
病若吐血複衄血者、
宜沈細、忌浮大而牢也。
病若譫言妄語、身當有熱、
脈宜洪大、忌手足厥逆脈細而微也。
病若大腹而泄者、
宜微細而濇、忌緊大而滑也。

<第十三に続く>


【現代語訳・解説】
産婦の面が赤く舌が青きは、
母は活き子は死ぬ。
面、舌が青く沫をふくものは、
母は死に子は活きる。
口唇が共に青いものは、
母子ともに死ぬ。
産後は小実が良く、虚浮は悪い。
女性の虚労で、右寸口数は危険である。

小児で口を魚のようにつぼめ、
呼吸が急なるものは死す。
衣服や布団を弄る者は死す。
口臭がきつく、
近づくことが出来ない者は死す。
面は腫れ、色が蒼黒の者は死す。
髪がたち、まるで麻のような者は死す。
遺尿したことを知らない者は死す。
舌は巻き上がり、睾丸が萎縮する者は死す。
目 直視する者は死す。
面に輝きのない者、歯根が黒い者は死す。
汗が出ても、体が涼しくならない者は死す。
頭面が痛み、突然 見えなくなる者は死す。
耳目鼻、そして口が黒色になる者は死す。
温病で大熱し脈が細小の者は死す。
温病、汗が出て足が冷える者は死す。
肉が痩せ、発熱して脈が緊急となる者は死す。
人は病むが、脈が病まないものを内虚と言う。
脈が病んで、人が病まないものを行尸と言う。

目を閉じて人を見ないようにしている者は
強急で長ならば良く、浮短で濇は悪い。
病んで眼が開いて喉が渇き、心下が硬い者は
緊実で数ならば良く、沈濇で微は悪い。
もし病人が吐血したり、また鼻血を出す場合、
沈細ならば良く、浮大で牢は悪い。
病人が譫言や訳の分からないことを言う時は、
体には熱がある。
脈が洪大ならば良く、手足が冷たく沈細は悪い。
もし病人の腹がふくれて下痢をする場合、
微細で渋は良く、緊大で滑は悪い。

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ここでも前回と同様に、
病の順・逆が書かれている。

また本文中に
脈病人不病者、名行尸也。
と書かれているが、
これについて『難経』第十四難では
無魂者当死也、人雖能行、名曰行屍。
(魂なき者は必ず死亡し、
歩くことは出来るが生ける屍としか呼べないのである。)
と説明されている。
(『難経』の当該記事はこちら→【古医書】古医書を読み解く:『難経』第十四難③


<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『中医脉学と瀕湖脉学』 たにぐち書店
『難経解説』 東洋学術出版社
『中医学の基礎』 東洋学術出版社
『図解鍼灸脈診法 胃の気の脈診』 森ノ宮医療学園出版部

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

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