・・下野です。
・・画像は、
・・先日の台風19号が接近した際の
・・JRの駅の様子です。
・・台風で運休になったとはいえ、
・・駅のホームでは駅員さんや保線係?、清掃の方々が
・・翌日に影響の出ないように
・・見回り等を行われており、
・・頭の下がる思いでした。
・・では『万病回春』の記事に参ります。
【原文】
奇経八脈者、
陽維、陰維、陽蹻、陰蹻、衝脈、任脈、督脈、帯脈也。
陽維者、為病苦寒熱也。
陰維者、為病苦心痛也。
陽蹻者、為病陰緩而陽急也。
陰蹻者、為病陽緩而陰急也。
衝之為病、気逆而裏急也。
督之為病、脊強而厥冷也。
任之為病、其内苦結、男為七疝、女為瘕聚也。
帯之為病、腹満腰脹、溶溶若坐水中也。
中風宜遅浮、忌急実也。
傷寒宜洪大、忌沈細也。
咳嗽宜浮濡、忌沈伏也。
腹脹宜浮大、忌虛小也。
下利宜微小、忌浮洪也。
狂疾宜実大、忌沈細也。
霍乱宜浮洪、忌微遅也。
消渴宜数大、忌虛小也。
水気宜浮大,忌沈細也。
鼻衄宜沈細、忌浮大也。
心腹疼痛宜沈細、忌浮大也。
上気浮腫宜浮滑、忌微細也。
頭痛宜浮滑、忌短濇也。
喘急宜浮滑、忌濇脈也。
唾血宜沈弱、忌実大也。
金瘡宜微細、忌緊数也。
中悪宜緊細、忌浮大也。
中毒宜数大、忌微細也。
吐血宜沈小、忌実大也。
腸癖宜沈遅、忌数疾也。
内傷宜弦緊、忌小弱也。
風痺宜虛濡、忌緊急也。
温病発熱、忌微小也。
腹中有積、忌虛弱也。
病熱、忌脈静也。
病泄、忌脈大也。
翻胃宜浮緩、忌沈濇也。
咳逆宜浮緩、忌弦急也。
諸気宜浮緊、忌虛弱也。
痞満宜滑脈、忌濇脈也。
婦人帯下宜遅滑、忌虛浮也。
婦人妊娠宜洪大、忌沈細也。
<第十二に続く>
【現代語訳・解説】
奇経八脈は、
陽維、陰維、陽蹻、陰蹻、衝脈、任脈、督脈、帯脈である。
陽維の病では寒熱に苦しむ。
陰維の病では心痛に苦しむ。
陽蹻の病では陰側が弛緩して陽側が痙攣収縮する。
陰蹻の病では陽側が弛緩して陰側が痙攣収縮する。
衝の病では気が上逆し腹中が痙攣収縮する。
督の病では脊背部が強直し厥冷する。
任の病では腹中の硬結に苦しみ、
男子では七種の疝気、女子では瘕聚が発生する。
帯の病では腹部が脹満し、腰部は弛緩し、
水中に座っているかのように無力である。
中風は遅浮が良く、急実は悪い。
傷寒は洪大が良く、沈細は悪い。
咳嗽は浮濡が良く、沈伏は悪い。
腹脹は浮大が良く、虚小は悪い。
下痢は微小が良く、浮洪は悪い。
狂疾は実大が良く、沈細は悪い。
霍乱は浮洪が良く、微遅は悪い。
消渴は数大が良く、虛小は悪い。
水気は浮大が良く、沈細は悪い。
鼻衄は沈細が良く、浮大は悪い。
心腹疼痛は沈細が良く、浮大は悪い。
上気浮腫は浮滑が良く、微細は悪い。
頭痛は浮滑が良く、短濇は悪い。
喘急は浮滑が良く、濇脈は悪い。
唾血は沈弱が良く、実大は悪い。
金瘡は微細が良く、緊数は悪い。
中悪は緊細が良く、浮大は悪い。
中毒は数大が良く、微細は悪い。
吐血は沈小が良く、実大は悪い。
腸癖は沈遅が良く、数疾は悪い。
内傷は弦緊が良く、小弱は悪い。
風痺は虛濡が良く、緊急は悪い。
温病発熱では微小は悪い。
腹中に積がある場合、虛弱は悪い。
熱を病む場合、静は悪い。
泄を病む場合、大は悪い。
翻胃は浮緩が良く、沈濇は悪い。
咳逆は浮緩が良く、弦急は悪い。
諸気は浮緊が良く、虛弱は悪い。
痞満は滑脈が良く、濇脈は悪い。
婦人の帯下は遅滑が良く、虛浮は悪い。
婦人の妊娠は洪大が良く、沈細は悪い。
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ここでは奇経八脈の病症と、
各病症の脈について書かれている。
先ず奇経に関して、
古人は
正経十二経を河川に例え、
河川が氾濫した際に
その溢れたものを流すために
側溝として奇経が存在する。
と考えたようであり、
奇経は
・正経の手○○経や足○○経という
手経と足経の区別がなく、陰経と陽経の区別がないものもある。
・臓腑と直接的な属絡関係がみられない。
・督脈、任脈以外は独立した喩穴がない。
といった正経とは異なる点が存在する。
また各病症の脈の
「宜(良い)」「忌(悪い)」といった点に関しては、
岡本 一抱の『脈法指南』によると
これは病の「順・逆」を指したようであり、
治療・予後の判断となる。
<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『基礎中医学』 燎原書店
『中医脉学と瀕湖脉学』 たにぐち書店
『難経解説』 東洋学術出版社
『中医学の基礎』 東洋学術出版社
『中医病因病機学』 東洋学術出版社
『中医診断学ノート』 東洋学術出版社
『図解鍼灸脈診法 胃の気の脈診』 森ノ宮医療学園出版部
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
下野