灸穴を点せば天気よく曇らず、
風なき時窓戸をふさぎて病人の暑からず寒からざるようにして、
医者心を収め、
点すべき愈穴を思慮し、
病人の四躰少しもかたぶかず真直にして分寸を量り、
愈穴を定め手を以て穴を按すに指の下陥み、
病人の心に快く徹ゆるはこれ愈穴に的る証なり。
愈穴すこしも差えば徒に好肉を傷りて病に益なし、
坐して点するときは坐して灸すべし、
立ちて点するときは立ちて灸すべし、
左より先にして右を後に、
上部より先にして下部を後に、
背より先にして腹にすべし、
但し女は右より先にして左を後にすべし。
〜『鍼灸重宝記』より〜