鍼肉内に入ること四五分にして
出ざるときは皮肉針先に纏付きたるなり、
此の抜きようは、
息の出るとき指に力を入れて
一竸にすっと抜くべし、
又一二寸もひねり下して出ざるは、
蔵府の邪気運動して
針先に集りまとい付きたるなり、
且進退動揺せしめ
邪気をちらして指に力を入れて
心しづかに抜くべし、
出がたきとて病者も鍼者も
驚くによっていよいよ抜ぬけもの也。
あるいは其傍に別に針を刺して
気を省散して後にぬくもよし。
〜『鍼灸重宝記』より〜