どうも、下野です。
今回から『万病回春』の本文に参ります。
「巻之一 万金一統の述」は何回かに分けて
勉強して参ります。
【原文】
万金者、万象之精粋也。
一統者、総括之大幾也。
太初者、気之始也。
太始者、形之始也。
太素者、質之始也。
天者、軽清而上浮也。
地者、重濁而下凝也。
陽之精者為日、
東昇而西墜也。
陰之精者為月、
夜見而晝隠也。
天不足西北、故西北方陰也。
而人右耳目、不如左明也。
地不満東南、故東南方陽也。
而人左手足、不如右強也。
天気下降、地気上升也。
<第二に続く>
【解説】
万金一統述とは、
本書では医学総論の意味としている。
太初とは天地が開かれ始める前、
太始とは天地の開かれた時、
太素とは天地の始後の物質の始まりを
それぞれ意味しており、
天は軽く上に浮かび、地は重く下にかたまる。
太陽は陽とし、東から昇り西に沈み、
月は陰とし、夜に現れ昼は隠れる。
天の不足は西北に当たり、こちらを陰とし、
地の不足は東南に当たり、こちらを陽とする。
人の右目耳は天気不足の西北に当たり、
人の左手足は地気不足の東南に当たる。
天の気は下降し、地の気は上昇し、
それぞれ気が絶え間なく巡っている。
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この文章は医学総論でありながら、
中国古代哲学と人間の関係を説いていることから、
「自然界(天地)と人間は相応ず」ということを
再認識することが出来る。
<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『基礎中医学』 燎原書店
『中医病因病機学』 東洋学術出版社
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
下野