『万病回春』
【著者】龔延賢
【成書年代】1587年(明代)
著者の龔延賢は儒学を学び、
科挙になることを夢みていたが、
それが叶う事はなかった。
そこで父親 龔信の医学を継ぎ、
世の人々に尽くすこととなる。
龔延賢が医に携わっていた時代は誤診が多く、
反って病を重くする者が多かったようである。
そこで龔延賢は父親との共同作業で
1577年に※『古今医鑑』を編集し、
その後1587年に自ら『万病回春』を編集する。
日本は安土桃山時代にあたる。
本書は全8巻で、
薬の性質・諸病の主薬・形体・臓腑・経脈の総論に始まり、
各病の病証・証治が各科ごとに記述された総合的な医書であり、
龔延賢の生存中に6度も版を重ねたようで、
日本には江戸時代に龔延賢の弟子によって紹介され、
日本の医療にも多大な影響を与えたと言われている。
ちなみに『万病回春』の『回春』とは、
字の如く「春が回って(巡って)来る」という意味から、
「病が回復する」といった言葉を指している。
※『古今医鑑』
【著者】龔信・龔延賢
【成書年代】1577年(明代)
先述通り、龔信・龔延賢親子によって編集され、
最初に臨床理論の基礎として
脈訣・病機・薬性・運気に始まり、
各科の病証・証治が書かれた
全8巻(または16巻)の総合的医書である。
次回から、少しずつ内容を記述していきます。
<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『古典医書ダイジェスト』 医道の日本社
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
下野