たとえば足の三陽の経は頭より足にいたるまで、
針を刺すものの指を以て、
経脉を摩り上せて針鋩を上に向て、
経脉のすすむに逆らってこれを刺してその実を抜く、
これ迎て奪うの義なり。
又刺人の指をもって経を摩下して、
針鋩を下に向て、
経脉の後に随って済うの義なり、
虚して脉滞りて移らず、
故に後に随ふ、刺して脉を移らしめ気をのぶる、
たとへば牛労して車移らざるを、
人後より輪を推て力を牛に合せて車を移すがごとし、
これ随の義なり、経脉は子より午に至り、
午より子に至って、陰陽上下の分あり、
今その大概を記す。
~『鍼灸重宝記より』~