張仲景の古医書『傷寒論』の解説です。
今回の傷寒論は弁陽明病脈証并治 二百三章。
小便の多少によって、胃中に戻っていく津液について詳しく述べております。
二百三章
陽明病、本自汗出、醫更重發汗、
病已差、尚微煩不了了者、此大便必鞕故也。
以亡津液、胃中乾燥、故令大便鞕、
當問其小便日幾行、若本小便三四行、
今日再行、故知大便不久出。
今爲小便數少、以津液當還入胃中、故知不久必大便也。
和訓:
陽明病、本自汗出で、医更に発汗を重ね、病巳に差え、
尚微煩して了了たらざるものは、此れ必ず大便鞕きが故なり。
津液を亡し、胃中乾燥するを以て、故に大便をして鞕からしむ。
当に其の小便日の幾行なるかを問うべし。
若し本小便に三四行、今日に再行ならば、故に大便久しからずして出ずと知る。
今小便数少なしと為し、津液当に還りて胃中に入るべきを以て
故に久しからずして必ず大便すと知るなり。
・陽明病、本自汗出
陽明病で裏熱が壅熱していれば、本来は自汗出となる。
・更重發汗、病已差、尚微煩不了了者、此大便必鞕故也
熱が除かれて汗出すれば、気分はスッキリとするはずだが
いま依然として気分がイライラして一向にスッキリとしない場合は
医者が誤って発汗させたことにより、
津を傷つけて胃燥とし、大便を秘結させたからである。
・以亡津液、胃中乾燥、故令大便鞕
発汗により津液が傷つき、胃中が乾燥するので大便が乾いて硬くなっている。
津が燥の状態より回復するのを待てば、大便は正常に戻っていく。
そして熱邪が去ったあとで二便の津液を調節していけばよい。
・當問其小便日幾行、若本小便三四行、今日再行、故知大便不久出
小便が初め3回〜4回あったものが、2回に減ったというのは、
大便が遠からず自然に排出されるのがわかる。
・今爲小便數少、以津液當還入胃中、故知不久必大便也
これは、津液が病的に滲出したのではなく、
再び胃腸に戻りはじめたことを現すので
燥が潤って結が通りはじめたことを現している。
提要:
小便の多少によって、胃中に戻っていく津液について。
訳:
陽明病に罹ると、本来は自汗が出てしかるべきなのに、
これを医者がさらに発汗させた。病証はもうなくなったが、
まだ身体がすっきりせずしかも少しイライラする。
これは大便が硬いことと関係している。
発汗が多いと津液を損傷し、胃腸は乾燥するので大便は硬くなる。
患者に小便は一日に何回出るかを尋ねなければならない。
もともと小便が一日に三四回出ていたのに、
いま一日に二回に減ったのなら、
大便は遠からず自然に排出されるとわかる。
いま小便が減少すれば、その結果、津液は胃腸中へ
戻るはずだから、遠からずのうちに大便は排出される。
参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』 東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』 績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社
生薬イメージ画像:
『中医臨床家のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
為沢
お久しぶりです木内です。活躍されているようでうれしいです。変わらず勉学も積まれているようで自分も刺激されました。お互いがんばりましょう。
木内くん、お久しぶりです♪
コメントありがとう!
木内くんも頑張ってますか?
また、ご飯でも食べにいきましょう。