又惑人間うて曰く余曽て聞く、
針に瀉あって補なし、
と正伝にも見へたり、
故に人みな恐ると、
予が云く、針に瀉あり、
と云うは正に病の有余するところを
刺て実邪を瀉するの義にて
瀉薬の如きの義にあらず、
又正伝に補なしと云うといへども
己に鍼経に補の義を述べたり、
不足を刺して病を除くときは
元気みちを得てめぐるぞ、
是元気を生ずるにあらずや、
庸医は補の補たることを知て、
瀉の補たることを知らず、
と程明祐が妙論にて悟るべし。

~『鍼灸重宝記』より~

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