2048
2048

こんにちは、為沢です。
画像にあるのは「2048」というゲーム。
同じ数字を↑↓←→の方向キーを使って重ねていく
単純なゲームですが、なかなか面白いですよ。
プレイしてみて分かったのですが
「2048」という数字ができあがれば、ひとまずゴールのようです。
御興味のある方は暇つぶしにどうぞ。
http://gabrielecirulli.github.io/2048/
(私は結構やりこんでしまいました笑)


ここからは、張仲景の古医書『傷寒論』の解説です。

今回の傷寒論は弁太陽病脈証并治(下)百七十四章。
風邪と湿邪が身体内に侵入し、
表で衝突した場合の証治について詳しく述べております。


百七十四章

傷寒八九日、風濕相搏、
身體疼煩、不能自轉側、
不嘔、不渇、脉浮虚而濇者、桂枝附子湯主之。
若其人大便鞕、小便自利者、
去桂枝加白朮湯主之。三十六。

桂枝附子湯方
桂枝四兩、去皮 附子三枚、炮、去皮、破 生薑三兩、切 大棗十二枚、擘 甘草二兩、炙
右五味、以水六升、煮取二升、去滓、分溫三服。

去桂加白朮湯方
附子三枚、炮、去皮、破 白朮四兩 生薑三兩、切 甘草二兩、炙 大棗十二枚、擘
右五味、以水六升、煮取二升、去滓、分溫三服。
初一服、其人身如痺、
半日許復服之、三服都盡、其人如冒状、
勿怪、此以附子朮、倂走皮内、
逐水氣未得除、故使之耳。
法當加桂四兩。此本一方二法、
以大便不鞕、小便自利、去桂也。
以大便不鞕、小便不利、當加桂。
附子三枚恐多也、虚弱家及産婦、宜滅服之。

和訓:
傷寒八九日、風湿相搏ち、
身体疼煩し、自ら転側すること能わず、

嘔せず、渇せず、脉浮虚にして濇なるものは、
桂枝附子湯之を主る。

若し其の人大便鞕く、小便自利するものは、
去桂加白朮湯之を主る。三十六。

桂枝附子湯方
桂枝四両、去皮   附子三枚、炮ず、皮を去る、破る
生薑三両、切る 大棗十二枚、擘く 甘草二両、炙る

右五味、水六升を以て、煮て二升を取り、滓を去り、分かち温め三服す。

去桂加白朮湯方
附子三枚、炮ず、皮を去る、破る   白朮四両
生薑三両、切る 甘草二両、炙る  大棗十二枚、擘く

右五味、水六升を以て、煮て二升を取り、滓を去り、分かち温め三服す。
初めて一服し、其の人身痺の如く、半日許りに復た之を服し、
三服都尽くし、其の人冒状の如し。
怪しむこと勿かれ。此れ附子朮、皮内を併走し、
水気を逐い未だ除くことを得ざるを以て故に之をせしむるのみ。
法当に桂四両を加うべし。此れ本一方二法。
大便鞕く、小便自利するを以て、桂を去るなり。
大便鞕からず、小便自利するを以て、当に桂を加うべし。
附子三枚は恐らく多からんや。
虚弱家及び産婦、宜しく減じて之を服すべし。


傷寒八九日、風濕相搏
病の最初は傷寒表証によく似ているが、8〜9日も経過すると
風湿の両邪が本来持っている症状が顕著に現れるようになる。

身體疼煩、不能自轉側、不嘔、不渇、
脉浮虚而濇者、桂枝附子湯主之

脉浮虚で渋は風湿の両邪が肌表で衝突し、
営気と衛気のバランスが取れていないことを現している。
風邪は陽邪で、よく流動する特徴がある。
湿邪は陰邪で、よく停滞する特徴がある。
この両邪が同時に身体を侵襲するので、
身体はひどく痛み、自分で寝返りがうてなくなる。
病邪は表にあり、まだ裏に内伝していないので、
嘔吐や口渇の少陽、陽明病の症候はみることはない。
この治療は桂枝附子湯を用いて、肌表での衝突を解いて営衛の調和を図り、
附子により温経除湿を行っていくのである。

若其人大便鞕、小便自利者、去桂枝加白朮湯主之
便が硬く、小便の出が良い場合は、
新たに病理を考察する必要がある。
陽明と太陰は互いに内在し、太陰は湿気が本気であり、
湿を燥に変化させるように太陰脾土は働く。
寒湿が脾を困らせ、太陰の本気が病を受けると、
津液を胃に巡らせることができず、
胃中が虚燥となるので便が硬くなる。
また脾の清陽が昇らず、
津液が下焦に停まるために小便の出がよいのである。
この治療は桂枝附子湯より解表の桂枝を除き
脾を補ない清陽を昇らせる白朮を加えて、
胃に津を巡らせれば二便が自然に調っていく。

桂枝附子湯

 

桂枝
桂枝

桂枝
基原:
クスノキ科のケイの若枝または樹皮。

桂枝は辛甘・温で、
主として肺・心・膀胱経に入り、
兼ねて脾・肝・腎の諸経に入り、
辛散温通して気血を振奮し営衛を透達し、
外は表を行って肌腠の風寒を緩散し、
四肢に横走して経脈の寒滞を温通し、
散寒止痛・活血通経に働くので、
風寒表証、風湿痺痛・中焦虚寒の腹痛・
血寒経閉などに対する常用薬である。
発汗力は緩和であるから、
風寒表証では、有汗・無汗問わず応用でき、
とくに体虚感冒・上肢肩臂疼痛・
体虚新感の風寒痺痛などにもっとも適している。
このほか、水湿は陰邪で陽気を得て
はじめて化し、通陽化気の桂枝は
化湿利水を強めるので、
利水化湿薬に配合して痰飲・畜水などに用いる。

 

附子
附子

附子
基原:
キンポウゲ科のカラトリカブト、
その他の同属植物の子根。
加工・炮製して利用することが多い。

附子は辛熱壮烈であり、「走きて守らず」で十二経を通じ、
下焦の元陽(命火)を峻補して裏の寒湿を除き、
皮毛に外達して表の風寒を散じる。
それゆえに亡陽欲脱の身冷肢冷・
大汗淋漓・吐利不止・脈微欲脱てんなどには回陽救逆し、
腎陽不足の陽痿滑精・腰膝冷弱には補火壮陽し、
脾腎陽虚・陰寒内盛の心腹冷痛・吐瀉転筋には温裏散寒し、
陽虚不化水湿の身面浮腫・
腰以下種甚には助陽行水して冷湿を除き、
風寒湿痺の疼痛麻木には祛風散寒止痛し、
陽気不足の外感風寒で悪寒発熱・
脈沈を呈するときは助陽発表する。
このほか、補益薬と用いると
一切の内傷不足・陽気衰弱に使用できる。

生薑
生薑

生薑
基原:
ショウガ科のショウガの新鮮な根茎。
日本では、乾燥していない生のものを鮮姜、
乾燥したものを生姜を乾生姜という
こともあるので注意が必要である。

生薑は辛・微温で肺に入り発散風寒・祛痰止咳に、
脾胃に入り温中祛湿・化飲寛中に働くので
風温感冒の頭痛鼻塞・痰多咳嗽および水湿痞満に用いる。
また、逆気を散じ嘔吐を止めるため、
「姜は嘔家の聖薬たり」といわれ
風寒感冒・水湿停中を問わず
胃寒気逆による悪心嘔吐に非常に有効である。

大棗
大棗

大棗
基原:
クロウメモドキ科のナツメ。またはその品種の果実。

甘温で柔であり、
補脾和胃と養営安神に働くので、
脾胃虚弱の食少便溏や
営血不足の臓燥など心神不寧に使用する。
また薬性緩和にも働き、
峻烈薬と同用して薬力を緩和にし、
脾胃損傷を防止する。
脾胃を補うとともに芍薬と協同して
筋肉の緊張を緩和していく。
また、生薑との配合が多く、
生薑は大棗によって刺激性が緩和され、
大棗は生薑によって気壅致脹の弊害がなくなり、
食欲を増加し消化を助け、
大棗が営血を益して発汗による
傷労を防止し、
営衛を調和することができる。

甘草
甘草

甘草
基原:マメ科のウラルカンゾウ、
またはその他同属植物の根およびストロン。

甘草の甘平で、脾胃の正薬であり、
甘緩で緩急に働き、
補中益気・潤肺祛痰・止咳・
清熱解毒・緩急止痛・調和薬性などの性能を持つ。
そのため、脾胃虚弱の中気不足に用いられる。
また、薬性を調和し百毒を解すので、
熱薬と用いると熱性を緩め
寒薬と用いると寒性を緩めるなど
薬性を緩和し薬味を矯正することができる。
甘緩和中と諸薬の調和に働く。

去桂加白朮湯
↑上記の桂枝附子湯より桂枝を除き白朮を加える

白朮
白朮

白朮
基原:
キク科のオオバナオケラの根茎。
この他、日本薬局方では
オケラの周皮を除いた根茎を規定しており、
日本では一般にこれが流通している。

白朮は甘温で補中し苦で燥湿し、
補脾益気・燥湿利水の効能を持ち、健脾の要薬である。
脾気を健運し水湿を除いて痰飲・水腫・泄瀉を消除し、
益気健脾により止汗・安胎にも働く。
それゆえ、脾虚不運の停痰停湿・泄瀉腫満に対する主薬であり、
表虚自汗および脘腹脹満・胎動不安にも用いる。

提要:
風邪と湿邪が身体内に侵入し、表で衝突した場合の証治について。

訳:
傷寒の病に罹って八九日ともなり、
風邪と湿邪が互いにぶつかり合って、
全身が激しく痛み、自由に身体を動かせず、
嘔吐せず、口渇なく、脈象は浮虚で渋となった。
この場合は桂枝附子湯で治療する。
もし患者の大便が硬く、小便がよく出ている場合は、
去桂加白朮湯で治療する。第三十六法。

桂枝附子湯方
桂枝四両、皮を除く   附子三個、炮じる、皮を除く、割る
生薑三両、切る  大棗十二個、裂く  甘草二両、炙る
右の五味を、六升の水で、二升になるまで煮て、滓を除き、三回に分けて温服する。

去桂加白朮湯方
附子三個、炮じる、皮を除く、割る
白朮四両  生薑二両、切る  甘草二両、炙る  大棗十二個、裂く
右の五味を、六升の水で、二升になるまで煮て、滓を除き、三回に分けて温服する。
第一服目を服用すると、患者は身体がしびれたように感じ、半日ほどの間にさらに服用し、
三服すべてを服用し終えると、患者はめまいを覚えるが、驚くにはあたらない。
これは附子と白朮とが、両者とも皮内をめぐり、水気を追うがまだ水気が除かれないので、
このように感じるのである。理屈から言えば桂枝四両を加えるべきである。
これはもともと一つの処方を二通りに運用したものだ。
大便が硬くて、小便がよく出ているので、桂枝を去る。
大便が硬くなくて、小便が出にくいので、桂枝を加える。
附子三個は多すぎるのではなかろうか。
虚弱者や産婦では、服用量を減らすとよい。


参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』   東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』  績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社

生薬イメージ画像:
『中医臨床家のための中薬学』 医歯薬出版株式会社

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