喫茶店にて
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こんにちは、為沢です。
3月に入り、少しずつ暖かくなってきましたが
まだまだ寒の戻りもあるので体調管理にはお気をつけ下さいね。


ここからは、張仲景の古医書『傷寒論』の解説です。

今回の傷寒論は弁太陽病脈証并治(下)百六十九章と百七十章。
百六十九章は、百六十八章の白虎加人参湯証を受けて、さらに熱盛津傷で出現する症状について。
百七十章は、表証で白虎湯を用いてはいけない理由について詳しく述べております。


弁太陽病脈証并治(下)百六十九章

傷寒無大熱、口燥渇、心煩、背微惡寒者、白虎加人参湯主之。三十一。

和訓:
傷寒大熱なく、口燥渇、心煩し、
背に微かに悪寒するものは白虎加人参湯之を主る。三十一。


傷寒無大熱、口燥渇、心煩、背微惡寒者、白虎加人参湯主之
傷寒で表に高熱はなく、
邪が少しずつ表より裏に内伝し熱が陽明に伝入したのである。
そしてその熱が、邪を循って上方を乱したので、
口がカラカラに渇き、気分がイライラするようになった。
この「背微惡寒者」は太陽表熱によるものでも、少陰裏寒によるものでもない。
これは内にこもって外に発し、
汗出して腠理が疏になったために起こった症状である。
白虎加人参湯が主治する。

白虎加人参湯
こちらを参照→【古医書】傷寒論: 弁太陽病脈証并治(下)百六十八章

提要:
前章の白虎加人参湯証を受けて、さらに熱盛津傷で出現する症状について。

訳:
傷寒の病に罹ったが顕著な発熱はなく、口の中が乾燥して口渇があり、
いらいらして不穏で、背中に軽い悪寒を感ずる場合は、白虎加人参湯で治療する。第三十一法。


弁太陽病脈証并治(下)百七十章

傷寒脉浮、發熱無汗、其表不解者、不可與白虎湯、
渇欲飮水、無表證者、白虎加人参湯主之。三十二。

和訓:
傷寒脉浮に、發熱して汗なく、其の表解せざるものは、白虎湯を与うべからず。
渇して水を飲まんと欲し、表証なきものは、白虎加人参湯之を主る。三十二。


傷寒脉浮、發熱無汗、其表不解者、不可與白虎湯
脉浮、発熱、無汗で寒邪が表にあれば白虎湯を用いてはいけない。
表邪が解けていないのに、この湯液を用いれば
邪を内に引き込み、必ず他の変証を引き起こすようになる。

渇欲飮水、無表證者、白虎加人参湯主之
表証が全くないことと、口渇がありよく水を飲みたがる等の
陽明熱盛であることがはっきりわかる段階で
白虎加人参湯を用いていくこと。

白虎加人参湯
こちらを参照→【古医書】傷寒論: 弁太陽病脈証并治(下)百六十八章

提要:
表証で白虎湯を用いてはいけない理由を述べている。

訳:
傷寒の病で脈浮となり、発熱して汗がなく、
患者の表証がまだとれていなければ、白虎湯を使用してはならない。
もし口渇があって水を飲みたがり、そして表証がなければ、白虎加人参湯で治療する。


参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』   東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』  績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社

生薬イメージ画像:
『中医臨床家のための中薬学』 医歯薬出版株式会社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

為沢

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