大腸、上合手陽明、出于商陽。
商陽、大指次指之端也。為井金。
溜于本節之前二間。為榮。
注于本節之後三間。為腧。
過于合谷。合谷、在大指岐骨之間。為原。
行于陽谿。陽谿、在両筋間、陥者中也。為経。
入于曲池、在肘外輔骨陥者中。屈臂而得之。為合。
手陽明也。
是謂五蔵六府之腧、五五二十五腧、六六三十六腧也。
六府皆出足之三陽、上合于手者也。
大腸は、上りて手の陽明に合し、商陽に出づ。
商陽は、大指次指の端なり。井金と為す。
本節の前二間に溜る。榮と為す。
本節の後三間の注ぐ。腧と為す。
合谷を過ぐ。合谷は、大指岐骨の間にあり。原と為す。
陽谿に行る。陽谿は、両筋の間、陥なる者の中に在るなり。経と為す。
曲池に入る、肘外の輔骨の陥なる者の中に在り。臂を屈してこれを得。合と為す。
手の陽明なり。
是れ五蔵六府の腧、五五二十五腧、六六三十六腧を謂うなり。
六府は皆足の三陽に出で、上りて手に合する者なり。
商陽(井金穴)
取穴:示指爪根部近位線に引いた線と外側縁に引いた線との交点に取る。
作用:肺・大腸の清熱、降気作用。
二間(滎水穴)
取穴:第2中手指節関節の外側を触察し、その下部に触れる陥凹中、表裏の境目に取る。
作用:降気作用、陽明経の燥熱を散らす。
三間(輸木穴)
取穴:第2中手骨の外側縁を指頭で撫で下ろしたとき、指が止まるところに取る。
作用:身熱を散らす。
陽谿(経火穴)
取穴:長母指伸筋腱と短母指伸筋腱との間で、母指を十分に外転・伸展させたときにできる陥凹中、橈骨と舟状骨との間に取る。
作用:清熱作用。
曲池(合土穴)
取穴:肘を深く曲げ、肘窩横紋外端の陥凹中に取る。
作用:清熱、散風作用。理腸作用。
合谷(原穴)
取穴:第2中手骨中点の外側に取る。
作用:清肺、祛風、陽明経の邪熱を取る。
缺盆之中、任脈也。名曰天突。
一次任脈側之動脈、足陽明也。名曰人迎。
二次脈、手陽明也。名曰扶突。
三次脈、手太陽也。名曰天窓。
四次脈、足少陽也。名曰天容。
五次脈、手少陽也。名曰天牖。
六次脈、足太陽也。名曰天柱。
七次脈、頸中央之脈、督脈也。名曰風府。
腋内動脈、手太陰也。名曰天府。
腋下三寸、手心主也。名曰天池。
刺上関者、呿不能欠。刺下関者、欠不能呿。
刺犢鼻者、屈不能伸。刺両関者、伸不能屈。
左右の缺盆の中央は、任脈のめぐるところで ※①「天突」がある。
後方、第一行の動脈は足陽明胃経の ※②「人迎」
第二行の脈は手の陽明大腸経の ※③「扶突」
第三行の脈は手の太陽小腸経の ※④「天窓」
第四行の脈は足の少陽胆経の ※⑤「天容」
第五行の脈は手の少陽三焦経の ※⑥「天牖」
第六行の脈は足の太陽膀胱経の ※⑦「天柱」
第七行の脈は頚の中央で督脈のめぐるところで ※⑧「風府」
腋下部上腕の内側の動脈には、手の太陰肺経めぐるところで ※⑨「天府」
側胸部の腋の下三寸に、手の厥陰心包経のめぐるところで ※⑩「天池」
という経穴がそれぞれにある。
※⑪上関を刺すと口を開けるが閉じれない。
※⑫下関を刺すと口を閉じれるが開けない。
※⑬犢鼻を刺すと膝を曲げれるが伸ばせない。
※⑭内関と ※⑮外関を刺すと手を伸ばせるが曲げれない。
※1〜15までの経穴の取穴部位と作用を記載致します。
※1天突
取穴:左右の鎖骨内端の間で、最も凹んだところに取る。
作用:肺気を通利する。
※2人迎
取穴:甲状軟骨上縁の外方で胸鎖乳突筋の前縁、総頸動脈拍動部に取る。
作用:陽明経の散熱をおこなう。
※3扶突
取穴:下顎角の直下で胸鎖乳突筋中、人迎(胃経)の外方に取る。
作用:清熱宣肺、散結軟堅の作用あり。
※4天窓
取穴:胸鎖乳突筋の後縁、甲状軟骨上縁の高さで、胸鎖乳突筋を挟んで、
人迎(胃経)と同じ高さに取る。
作用:散熱作用がある。
※5天容
取穴:下顎角の後方で、胸鎖乳突筋との間に取る。
作用:頚部の捻挫など、穴の所在する部位の病症を治する。
※6天牖
取穴:下顎角の後方で、胸鎖乳突筋の後方に取る。
作用:風邪内侵、陽熱内盛を抑える。
※7天柱
取穴:瘂門(督脈)の外方で、頭半棘筋膨隆部の外縁に取る。
作用:去風解表、舒筋活絡の作用がある。
※8風府
取穴:項窩のほぼ中央で後髪際の情報、風府の下方5分に取る。
作用:あらゆる風症を治する。
※9天府
取穴:腋窩横紋の前端と尺沢とを結ぶ線を3等分し、腋窩横紋前端から3分の1のところ、
上腕二頭筋の外側縁に取る。
作用:利肺、安神作用がある。肺気不利による疾患を治する。
※10天池
取穴:乳頭の外方1寸で第4肋間、乳中(胃経)と天谿(脾経)との中点に取る。
作用:心・肺など上焦の病症を治する。
※11上関
取穴:頬骨弓中央の上際に取る
作用:開竅醒神、通経活絡の作用がある。
※12下関
取穴:頬骨弓下顎中点と下顎切痕との間、口を閉じれば深い陥凹ができ、
口を開けば下顎骨関節突起が前に移動して陥凹がなくなるところに取る。
作用:顎関節痛など、穴の所在する部位の病症を治する。
※13犢鼻
取穴:膝を軽く曲げたとき、膝蓋骨外下方にできる陥凹中に取る。
作用:膝関節痛など、穴の所在する部位の病症を治する。
※14内関
取穴:大陵の上方2寸で、橈側手根屈筋腱と長掌筋腱との間に取る。
作用:通絡疎通、散熱作用、清熱瀉火の作用がある。
※15外関
取穴:陽池の上方2寸で、総指伸筋腱と小指伸筋腱との間に取る。
作用:表寒・表熱を治する。
※経穴の作用については、
記載している参考文献より一部引用させて頂いており、
著者である先生方独自の見解も含まれております。
参考文献:
『経穴解説』 メディカルユーコン
『穴性学ハンドブック』 谷口書店
『臨床経穴学』
『鍼灸学(経穴篇)』
『中医学の基礎』
『現代語訳◉黄帝内経霊枢 上巻』 東洋学術出版社
本多