下積み修行中の宮村さんのお勉強記事です。
勉強不足で至らない内容ですが、
少しずつ学んで参りますのでお許し下さい。
不出来なところもあるかと思われますが、
成長とともに少しずつお返しして参ります。
どうか見守り 応援してやって下さい。


今回は胎毒について調べたので
その内容を御紹介したいと思います。

胎毒は母の胎内で胎児が受ける毒とされ、
もともと痘瘡、瘡癤などの原因とされていましたが、
のちに子供の病全般に関わるものと考えられるようになったものです。

胎毒とは母親が妊娠中に辛いもの、脂っこいものを多食した結果、
内生した湿が化熱し湿熱が発生したり、
妊婦の情緒不安定によって肝火が発生したりして、
胎内に熱毒を生じ、胎毒として胎児に影響をあたえるとされる。

胎毒の症状
湿疹、乳を飲みたがらない、癇癪、夜泣きなど

治療に時間を要するものとされ、
湿熱として現れることが多いようです。

近世(江戸時代~明治にかけて)では予防法として生後間もないうちに
「まくり」「五香」「脾肝薬王圓」といった薬をもちいたとあります。
これらの薬は下剤であり新生児の最初の便、胎便を
下すことで胎毒を下すとされています。
現在でも生薬として使用される①黄連②甘草なども
この「まくり」として処方されていました。

近世の産育書に胎毒と胎便に関する記載があり、

『小児の癖ハ。産下て(うまれおちて)。
胎糞まだ下さるに。はやく乳をつけるにより。
胎毒と乳とが。相混(あいまじり)て癖(つかえ)となる。』
千村真之「養生録」より

『小児初て生まれ黒き大便を通ずるなり
これを蟹糞といひ又蟹ばこといふ此
黒大便沢山に通じたる小児は無病なるものなり』
香月牛山「必用記」より

『出産して間もなく、
大便黒きあめのやうなるを通ず
其を俗に蟹糞とも又はかにここともいふ。
これハ産れぬさきに母の胎内にて受けたる胎毒なれバ
随分沢山に通ずるがよし。』
石田鼎貫「金礎」より

このように複数の産育書で「胎便」に「胎毒」が含まれる。
もしくは「胎便」=「胎毒」であるしている。
また千村真之「養生録」では母乳と胎毒が混じることで
『癖(つかえ)』つまり消化不良が生じるとされています。
そのため当時下剤の使用は子供の病を防ぐ必須の処方として重視されていた。

また胎内に胎毒を貯めない為の養生法にも記載があり
母親は妊娠中だけでなく母乳によって育てる間は、
味の濃いものや脂っこいものを避け、
品行正しく過ごし、熱毒を身体に貯めないよう
心がける必要があるとされています。

①黄連(オウレン)
キンポウゲ科オウレンの根茎から根を取り除いたもの。
性味 苦・寒
帰経 心・脾・胃・肝・胆・大腸

②甘草(カンゾウ)
マメ科カンゾウの根を乾燥したもの
性味 甘・平
帰経 脾・胃・肺


参考文献:
『近世産育書における胎毒とその看護』 日本看護歴史学会誌第25号 2012年
『中医基礎用語辞典』  東洋学術出版
『中医病因病機学』  東洋学術出版
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
『中医臨床のための方剤学』 医歯薬出版株式会社

※文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

宮村

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