こんにちは、為沢です。
最近、運動のため夜に淀川沿いの河川敷を走ってるんですが
夜の河川敷って すごい暗いんです。(画像は明るい方です)
走りながら暗闇に慣れてくると、心が鎮まり
静と動を同時に体感しているような得も言われぬ感覚になるのですが、とても心地良かったりもします。
何kmか走り、心が鎮まったせいでしょうか、帰路は足取りが軽く 全然息があがらないことに気付き、
“なんでや??”と不思議に思いながら帰ってます。ちょっと今後も続けて検証してみます。
※夜道は危ないので気をつけて下さい。
ここからは、張仲景の古医書『傷寒論』の解説です。
今回の傷寒論は弁太陽病脈証并治(下)百六十四章・百六十五章。
百六十四章では心下痞証で、表が解けていない場合の証治について。
百六十五章では心中痞鞕で裏に熱実をみる場合の証治について詳しく述べております。
百六十四章
傷寒大下後、腹發汗、心下痞、惡寒者、表未解也。
不可攻痞、當先解表、表解乃可攻痞。
解表宜桂枝湯、攻痞宜大黄黄連瀉心湯。二十六。
和訓:
傷寒大いに下して後、復た発汗し、心下痞、
悪寒するものは、表未だ解せざるなり。
痞を攻むべからず、当に先ず表を解すべし。
表解すれば乃ち痞を攻むるには大黄黄連瀉心湯に宜し。
・傷寒大下後、腹發汗、心下痞、惡寒者、表未解也
傷寒時に峻下したあと、また発汗させたために
裏が虚して邪が内陥し、心下痞が生じ、悪寒を発するようになったのは
表証がまだ解けていないからである。
・不可攻痞、當先解表、表解乃可攻痞
この場合、すぐに痞を治そうとしてはいけない。
まず表に対して治療を行い、表が解けたあとで痞証に治療を行っていくのである。
・解表宜桂枝湯、攻痞宜大黄黄連瀉心湯
このような誤治で表を治療するのには桂枝湯がよく、
そのあとで大黄黄連瀉心湯で痞証に対して治療すればよい。
桂枝湯
こちらを参照→【古医書】傷寒論を読む:弁太陽病脈証并治(上) 十二章・十三章
大黄黄連瀉心湯
こちらを参照→【古医書】傷寒論: 弁太陽病脈証并治(下)百五十三章・百五十四章
提要:
心下痞証で、表が解けていない場合の証治について。
訳:
傷寒の病に罹った患者に猛烈な攻下を行ったあと、
さらに発汗法を用いたところ、心下部の痞満が現れ、
そして悪寒するようになったなら、まだ表証は除かれていない。
痞の治療を急いではならず、
まず解表を行うべきで表証が取れてから痞を治療すればよい。
解表には桂枝湯を、痞を治療するには
大黄黄連瀉心湯を用いるのがよい。第二十六法。
百六十五章
傷寒發熱、汗出不解、心中痞鞕、
嘔吐而下利者、大柴胡湯主之。二十七。
和訓:
傷寒発熱し、汗出ずるも解せず、心中痞鞕し、
嘔吐して下利するものは、大柴胡湯之を主る。二十七。
・傷寒發熱、汗出不解、心中痞鞕
傷寒時に発熱して汗出すれば、表証は治っていくが
いま汗出しても表が解けず、痞鞕が「心下」ではなく「心中」にある。
胸は表より裏へ、裏から表へ通じている部位であるので
つまり邪が半表半裏にあり、汗法ではその病理に合わないのである。
・嘔吐而下利者、大柴胡湯主之
この心中痞鞕は嘔吐、下痢を同時にみる。
これは小柴胡湯の嘔而発熱と程度の差があるだけである。
邪が胸郭に拒まれて、枢の気機が失調し
上方で鬱滞したことにより心中痞鞕となる。
気欝で胆火が胃を攻撃して胃気上逆となるので嘔吐が生じる。
この胆火が陽明の燥化を助長させ、
燥熱が津に迫り下痢となったのでこれは熱性の下痢である。
従って、大柴胡湯で熱結を攻下し、
枢の気機を回復させて表裏を通じさせ、
内外・上下全般を治療していくのである。
大柴胡湯
こちらを参照→【古医書】傷寒論: 弁太陽病脈証并治(下)百三十五章・百三十六章
提要:
心中痞鞕で裏に熱実をみる場合の証治について。
訳:
傷寒の病に罹り発熱していたが、汗は出たのに病は治癒せず、
しかも心下部が痞満して硬くなり、嘔吐と下痢がある場合は大柴胡湯で治療する。
第二十七法。
参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』 東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』 績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社
生薬イメージ画像:
『中医臨床家のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
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為沢