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どうも、新川です。
クリスマスも終わり、
今年も残りわずかとなりました。
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この時期になると、
年末年始の特別な空気感が漂ってくるように感じます。
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しかし、
いつものペースは乱されずに
過ごしたいものです。
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今回は、本病論篇について綴って参ります。
本来ならここにまとめてある以上の内容がありますが、
なるべく分かりやすくするため、
一部を抜粋して表現させて頂いております。
この七十三篇は
古代の素問には、ただ篇名があるのみで、
本文の内容に関しては不明であった。
後の時代になり、補い加えられたので
『遺篇』といわれている。
【本病論篇 七十三】
【原文】
黄帝問曰、天元九窒、余已知之。願聞気交。何名失守。
岐白曰、謂其上下升降、遷正退位、各有経論。
上下各有不前。故名失守也。是故気交失易位、気交之変。
変易非常、即四時失序、万化不安。変民病也。
帝曰、升降不前、願聞其故。気交有変、何以明知。
岐白曰、昭乎哉問。明乎道矣。気交有変、是謂天地機。
但欲降而不得降者、地窒刑之。又有五運太過、而先天而至者、即交不前。
但欲升而不得其升、中運抑之。
但欲降而不得其降、中運抑之。於是有升之不前、降之不下者。有降之不下、升而至天者。
有升降倶不前。作如此之分別、即気交之変。変之有異常、各各不同、災有微其者也。
帝曰、願聞気交遇会勝抑之由。変成民病、軽重何如。
岐白曰、勝相会、抑伏使然。
是故辰戌之歳、木気升之。主逢天柱、勝而不前。
又遇庚戌、金運先天、中運勝之、忽然不前。木運升天、金之抑之。
升而不前、即清生風少、粛殺于春、露霜復降、草木乃萎。
民病温疫早発、咽嗌乃乾、四肢満、肢節皆痛。
久而化鬱、即大風摧拉、折隕鳴紊。民病卒中偏痹、手足不仁。
是故巳亥之歳、君火升天。
主窒天逢、勝之不前。又厥陰未遷正、則少陰未得升天。
水運以至其中者、君火欲升、而中水運抑之。升之不前、即清寒復作、冷生旦暮。
民病伏陽、而内生煩熱、心神驚悸、寒熱間作。
日久成鬱、即暴熱乃至、赤風瞳翳、化疫。
温癘暖作、赤気彰而化火疫。皆煩而躁渇、渇甚。治乃以泄之可止。
是故子午之歳、太陰升天。主窒天衝、勝之不前。又或遇壬子、木運先天而至者、中木運抑之也。
升天不前、即風埃四起、時挙埃昏。
雨湿不化。民病風厥、涎潮、偏痹不随、脹満。
久而伏鬱、即黄埃化疫也。民病夭亡、瞼肢府黄疸満閉。湿令弗布、雨化乃微。
是故丑未之年、少陽升天。主窒天蓬、勝之不前。
又或遇太陰未遷正者、即少陰未升天也。水運以至者、升天不前。
即寒雰反布、凜冽如冬。水復涸、冰再結、喧暖乍作、冷復布之、寒暄不時。
民病伏陽在内、煩熱生中、心神驚駭、寒熱間争。以久成鬱、即暴熱乃生、赤風気瞳翳、化成疫癘。
乃化作伏熱内煩、痹而生厥、其則血溢。
是故寅申之年、陽明升天。
主窒天英、勝之不前。又或遇戊申戊寅、火運先天而至。
金欲升天、火運抑之、升之不前。即時雨不降、西風数挙、鹹鹵燥生。
民病上熱、喘嗽血溢。久而化鬱、即白埃翳霧、清生殺気。民病脇満悲傷、寒鼽嗌乾、手坼皮膚燥。
是故卯酉之年、太陽升天。主窒天芮、勝之不前。
又遇陽明未遷正者、即太陽未升天也。
土運以至、水欲升天、土運抑之、升之不前。
即湿而熱蒸、寒生両間。民病注下、食不及化。
久而成鬱、冷来客熱、冰雹卒至。
民病厥逆而噦、熱生于内、気痹于外、足脛痠疼、反生心悸懊熱、暴煩而復厥。
黄帝曰、升之不前、余已尽知其旨。願聞降之不下。可得明乎。
岐伯曰、悉乎哉問也。是謂天地微旨。可以尽陳斯道。
所謂升已必降也。至天三年、次歳必降。
降而入地、始為左間也。如此升降往来、命之六紀也。
是故丑未之歳、厥陰降地。
主窒地晶、勝而不前。又或遇少陰未退位、即厥陰未降下。金運以至中、金運承之、降之未下、抑之変鬱。
木欲降下、金運承之、降而不下、蒼埃遠見、白気承之、風挙埃昏。
清燥行殺、霜露復下、粛殺布令。久而不降、抑之化鬱、即作風燥相伏、喧而反清。
草木萌動、殺霜乃下、蟄虫未見。懼清傷蔵。
是故寅申之蔵、少陰降地。
主窒地玄、勝之不入。又或遇丙申、丙寅、水運大過、先天而至。
君火欲降、水運承之、降而不下。即彤雲纔見、黒気反生、暄暖如舒、寒常布雪、凜冽復作、天雲惨悽。
久而不降、伏之化鬱、寒勝復熱。赤風化疫、民病面赤、心煩、頭痛、目眩也。赤気彰、而温病欲作也。
是故卯酉之歳、太陰降地。主窒地蒼、勝之不入。
又或少陽未退位者、即太陰未得降也。
或木運以至、木運承之、降而不下。
即黄雲見、而青霞彰。鬱蒸作而大風。霧翳埃勝、折隕乃作。
久而不降也、伏之化鬱。天埃黄気、地布湿蒸。民病四肢不挙、昏眩、肢節痛、腹満填臆。
是故辰戌之歳、少陽降地、主窒地玄、勝之不入。
又或遇水運太過、先天而至也、水運承之、降而不下。
即彤雲纔見、黒気反生。暄暖欲生、冷気卒至、甚即冰雹也。
久而不降、伏之化鬱、冷気復熱、赤風化疫、民病面赤、心煩、頭痛、目眩也。
赤気彰而熱病欲作也。
是故巳亥之歳、陽明降地。
主窒地彤、勝而不入。又或遇太陽未退位、即陽明未得降。
即火運以至、火運承之不下。即天清而粛、赤気乃彰、暄熱反作。
民皆昏倦、夜臥不安。咽乾引飲、懊熱内煩。
天清朝暮、暄還復作。久而不降、伏之化鬱、天清薄寒、遠生白気。
民病掉眩、手足直而不仁、両脇作痛、満目[目荒(くさかんむりとる)][目荒(くさかんむりとる)]。
是故子午之年、太陽降地。
主窒地阜、勝之降而不入。
又或遇土運大過、先天而至、土運承之、降而不入。
即天彰黒気、瞑暗悽惨、纔施、黄埃而布湿。
寒化令気、蒸温復令。久而不降、伏之化鬱。
民病大厥、四肢重怠、陰萎少力。
天布沈陰、蒸湿間作。
帝曰、升降不前、晰知其宗。
願聞遷正。可得明乎。
岐伯曰、正司中位、是謂遷正位。司天不得遷正者、即前司天、以過交司之日。
即遇司天大過、有余之日也、即仍旧治天数、新司天未得遷正也。
厥陰不遷正、即風暄不時。
花卉萎瘁、民病淋溲、目系転、転筋、喜怒、小便赤。
風欲令而寒由不去。湿暄不正。春正失時。
少陰不遷正、即冷気不退、春冷後寒、暄暖不時。
民病寒熱、四肢煩痛、腰脊強直、木気雖有余、而位不過於君火也。
太陰不遷正、即雲雨失令、万物枯焦、当生不発。
民病手足肢節腫満、大腹水腫、塡臆、不食、飱泄、脇満、四肢不挙。
雨化欲令、熱猶治之。温煦於気、亢而不沢。
少陽不遷正、即炎灼勿令、苗莠不栄。
酷暑於秋、粛殺晩至、霜露不時。
民病痎瘧、骨熱、心悸、驚駭、甚時血溢。
陽明不遷正、則暑化於前、粛殺於後、草木反栄。
民病寒熱、鼽嚏、皮毛折、爪甲枯焦。
甚則喘嗽息高、悲傷不楽。熱化乃布、燥化未令、即清頸未行、肺金復病。
太陽不遷正、即冬清反寒、易令於春、殺霜在前、寒冰於後。
陽光復治、凜冽不作、雰雲待時。
民病温癘至、喉閉嗌乾、煩躁而渇、喘息而有音也。
寒化待燥、猶治天気。過失序、与民作災。
帝曰、遷正早晩、以命其旨。願聞退位。可得明哉。
岐伯曰、所謂不退者、即天数未終。
即天数有余。名曰復布政、故名曰再治天也。即天令如故、而不退位也。
厥陰不退位、即大風早挙、時雨不降、湿令不化。
民病温疫、疵廃。風生民病、皆肢節痛、頭目痛、伏熱内煩、咽喉乾引飲。
少陰不退位、即温生春冬、蟄虫早至、草木発生。
民病膈熱、咽乾、血溢、驚駭、小便赤渋、丹瘤[疒軫]、瘡瘍、留毒。
太陰不退位、而取寒暑不時。埃昏布作、湿令不去。民病四肢少力、食欲不下。
泄注淋満、足脛寒、陰痿、閉塞、失溺、小便数。
少陽不退位、即熱生於春、暑乃後化。
冬温不凍、流水不冰、蟄虫出見。
民病少気、寒熱更作、便血上熱、小腹堅満、小便赤沃、甚則血溢。
陽明不退位、即春生清冷、草木晩栄、寒熱間作。
民病嘔吐、暴注、食欲不下、大便乾燥、四肢不挙、目瞑掉眩。
帝曰、天歳早晩、余已知之。願聞地数。可得聞乎。
岐伯曰、地下遷正、升天及退位不前之法、即地土産化万物、失時之化也。
帝曰、余聞天地二甲子、十干十二支、上下経緯天地、数有迭移、失守其位。可得昭乎。
岐伯曰、失之迭位者、謂雖得歳正、未得正位之司。
即四時不節、即生大疫。注玄珠密語云、陽年三十年、除六年天刑、計有大過二十四年。
除此六年、皆作太過之用。令不然之旨、今言迭支迭位、皆可作其不及也。
仮令甲子陽年、土運太窒。
如癸亥天数有余者、年雖交得甲子、厥陰猶尚治天。
地已遷正、陽明在泉、去歳少陽以作右間。
即厥陰之地陽明。故不相和奉者也。癸已相会、土運大過、虚反受木勝。
故非大過也。何以言土運大過。況黄鐘不応太窒、木既勝而金還復、金既復而少陰如至、即木勝如火而金復微。
如此則甲已失守、後三年化成土疫。
晩至丁卯、早至丙寅、土疫至也。
大小善悪、推其天地、詳乎太乙。
又只如甲子年、如甲至子而合、応交司而治天。
即下己卯未遷正、而戊寅少陽退位者、亦甲己下有合也。
即土運未大過、而木乃乗虚而勝土也。金次又行復勝之、則反邪化也。
陰陽天地殊異爾。故其大小善悪、一如天地之法旨也。
仮令丙寅陽年太過。如乙丑天数有余者、雖交得丙寅、太陰尚治天也。
地已遷正、厥陰司地、去歳太陽以作右間。
則天太陰而地厥陰、故地不奉天化也。
乙辛相会、水運太虚、反受土勝。
故非太過。則太簇之管、太羽不応。
土勝而雨化、木復即風。
此者丙辛失守其会、後三年化成水疫。
晩至已巳、早至戊辰、甚即速、微即徐。
水疫至也、大小善悪、推其天地数、乃太乙游宮。
又只如丙寅年、丙至寅且合、応交司而治天。
即辛巳未得遷正、而庚辰太陽未退位者、亦丙辛不合徳也。
即水運亦小虚而小勝、或有復。
後三年化癘。名曰水癘。其状如水疫。治法如前。
仮令庚辰陽年、太過。
如已卯天数有余者、雖交得庚辰年也、陽明猶尚治天。
地已遷正、太陰司地、去歳少陰以作右間。
即天陽明而地太陰也。故地不奉天也。
乙已相会、金運太虚、反受火勝。
故非太過也。即姑洗之管、太商不応。
火勝熱化、水復寒刑。
此乙庚失守、其後三年化成金疫也。
速至壬午、徐至癸未。金疫至也、大小善悪、推本年天数及太乙也。
又只如庚辰、如庚至辰、且応交司而治天。
即下乙未未得遷正者、即地甲午少陰未退位者、且乙庚不合徳也。
即下乙未、干失剛、亦金運小虚也、有小勝或無復。
後三年化癘、名曰金癘。其状如金疫也。治法如前。
仮令壬午陽年、太過。
如辛巳天数有余者、雖交得壬午年也、厥陰猶尚治天。
地已遷正、陽明在泉、去歳丙申少陽以作右間。即天厥陰而地陽明。
故地不奉天者也。丁辛相合会、木運太虚、反受金勝。
故非太過也。即蕤賓之管、太角不応。
金行燥勝、火化熱復。甚即速、微即徐。
疫至大小善悪、推疫至之年天数及太乙。
又只如壬至午、且応交司而治之。
即下丁酉未得遷正者、即地下丙申少陽未得退位者、見丁壬不合徳也。
即丁柔干失剛、亦木運小虚也、有小勝小復。
後三年化癘、名曰木癘。其状如風疫也。治法如前。
仮令戊申陽年、太過。
如丁未天数大過者、雖交得戊申年也、太陰猶尚司天。
地已遷正、厥陰在泉、去歳壬戌大陽以退位作右間。
即天丁未、地癸亥、故地不奉天化也。
丁癸相会、火運太虚、反受水勝。故非大過也。
即夷則之管、上太微不応。此戊癸失守其会、後三年化疫也。
速至庚戌、大小善悪、推疫至之年天数及太乙。
又只如戊申、如戊至申、且応交司而治天。
即下癸亥未得遷正者、即地下壬戌太陽未退位者、見戊癸未合徳也。
即下癸柔干失剛、見火運小虚、有小勝、或無復也。
後三年化癘、名曰火癘也。治法如前。治之法、可寒之泄之。
黄帝曰、人気不足、天気如虚、人神失守、神光不聚、邪鬼干人、数有夭亡。可得聞乎。
岐伯曰、人之五蔵、一蔵不足、又会天虚、感邪之至也。
人憂愁思慮、即傷心。又或遇少陰司天、天数不及、太陰作接間至、即謂天虚也。
此即人気天気同虚也。又遇驚而奪精、汗出於心、因而三虚、神明失守。
心為君主之官、神明出焉。神失守位、即神游上丹田、在帝太乙帝君泥丸宮下。
神既失守、神光不聚。却遇火不及之歳、有黒尸鬼見之、令人暴亡。
人飲食労倦、即傷脾。
又或遇太陰司天、天数不及、即少陽作接間至。即謂之虚也。
此即人気虚而天気虚也。又遇飲食飽甚、汗出於胃、酔飽行房、汗出於脾、因而三虚、脾神失守。
脾為諫議之官、智周出焉。神既失守、神光失位而不聚也。
却遇土不及之年、或已年或甲年失守、或太陰天虚、青尸鬼見之、令人卒亡。
人久坐湿地、強力入水、即傷腎。
腎為作強之官、伎巧出焉。因而三虚、腎神失守、神志失位、神光不聚。
却遇水不及之年、或辛不会符、或丙年失守、或太陽司天虚、有黄尸鬼至、見之令人暴亡。
人或恚怒、気逆上而不下、即傷肝也。
又遇厥陰司天、天数不及、即少陰作接間至。是謂天虚也。
此謂天虚人虚也。又遇疾走恐惧、汗出於肝。
肝為将軍之官、謀慮出焉。神位失守、神光不聚。
又遇木不及年、或丁年不符、或壬年失守、或厥陰司天虚也、有白尸鬼見之、令人暴亡也。
以上五失守者、天虚而人虚也。
神游失守其位、即有五尸鬼干人、令人暴亡也。
謂之曰尸厥。人犯五神易位、即神光不円也。
非但尸鬼、即一切邪犯者、皆是神失守位故也。
此謂得守者生、失守者死。得神者昌、失神者亡。
●正位に遷る
黄帝がいう。
「〜どうか〔司天が〕正位に遷ることについて、
お聞かせ願いたい。
明確にすることができるだろうか。」
岐伯がいう。
「正司天が位に着くのを、
正位に遷ると呼びます。
司天が正位に遷れないのは、
前年の司天が、新旧交替の大寒の日を過ぎて、
〔なお司天の位に止まって〕いるからです。
つまり司天大過による有余の日が続いていて、
旧〔司天〕治が天の気を治めているため、
新司天が正に遷れないわけです。」
『黄帝内経素問 下巻—現代語訳』
以下、正位に遷れない状況
厥陰
・風木の温暖の気が時令を行えない
・花は枯れる
・小便不利、目系の転、転筋、易怒、小便赤 になりやくなる
・寒気が去らない→気候が正常に温暖にならない
→春の正常な気候を失う
少陰
・冷気が退かず、春なのに最初冷えて寒くなり、暖かい気候にならない
・寒熱、四肢煩痛、腰脊強直 になりやすい
太陰
・雲や雨がやってこず、万物は枯れて、繁茂すべきなのに発育しない
・手足の節々の腫れ、腹水、胸がふさがって腫れる、食欲低下、
完穀下痢、脇満、四肢が動かない になりやすい
・太陰 湿 土が令を行うべきだが、少陰君火が退かず、
熱令を行っているため、気候は暖かいとはいえ、
日照り続きで雨が降らない
少陽
・炎熱の気候が令を行えず、成長期の苗でさえ繁茂できなくなる
・秋に酷暑となる
・〔秋の〕粛殺の気は後からやってきて、霜や露も降るべき時に降れない
・瘧疾、骨中の発熱、胸さわぎ、驚きおそれやすくなる になりやすい
陽明
・炎暑の気候が先に来て、それから粛殺の気候がやってくる
・草木は〔枯れるはずが〕逆に生い茂る
・寒熱の病変、鼻水、くしゃみ、皮膚の色艶が失せる、爪の損傷 になりやすい
・炎熱の気候が広がり、燥気の時令が行われないので、涼しく厳しい気候になる
太陽
・厳しく寒い冬の気候が、春に令を布き、
万物を殺す霜露が先ず降って、やがて冷たい氷が張る
・陽光がまた新たに令を行えば、厳しい寒気は生ずることができず、霧や雲が現れる
・温病疫癘、咽の閉塞、咽の乾き、いらいらして水を欲する、息が詰まり大きな咳が出る
・太陽 寒 水の気候は、燥 金の気が去って、初めてその気化の令をゆきわたらせることができるが、
もし燥気がいつまでも去らないと、季節の秩序は乱れ、人々に災いが生じる
●位を退く
「〜天数がまだ終わらないことであり、
つまり天数が余っているのです。
『復た政を布く』、と名づけ、
『再び天を司る』、とも呼びます。
つまりは天令が前のままで、
位を退かないということです。」
●在泉の法則
「地下における
正に遷る、天に昇る、及び位を退く 〔の三者〕が
うまく前進できなかった場合には、
大地の上の万物の生育が、
その季節ごとのあるべき変化をしなくなってしまいます。」
●疫癘の発病について
疫癘が発病する際が、
三つの条件が必要になってくることが
記されている。
①その季節、時候にふさわしくない天気
②人の正気の虚弱
③精神が守りを失うこと
黄帝がいう。
「人の体の正気が不足し、
天気も異常になると、
精神の活動はにぶり、
神明は集まらず、
病邪が人を犯し、若死にするに到る。
こうしたことについて教えてはくれまいか。」
岐伯がいう。
「人の五蔵の内、もし一蔵に不足が生じ、
更に天虚に遇うと、邪がひどく犯されます。
人が過度に憂愁思慮すると、
心蔵を傷つける可能性があります。
その上また少陰司天の年に遇うか、
天数が不足で、隣の太陰が代わりに天を司っていれば、
これはいわゆる天虚であり、
とりもなおさず人気と天気がいずれも虚であるわけです。
もしその上驚き恐れて、心精を損傷し、
汗が出て心液を傷つけると、三虚となり、
〔心〕蔵は神明を失ってしまいます。
心は君主の官で、神明が出てくる所です。
神明がその位を守ることを失うことは、
神明が上丹田の泥丸宮の下に離れて遊びにいってしまうことです。
神明がその位を失うと、精神の活動はにぶり、
更にまた火運不及の年歳に遇うと、
水疫の邪が病をもたらし、人を突然死亡させます。」
「人の飲食に節度がなかったり、
過度に労働したりすると、脾蔵を傷つけます。
またその上、
太陰司天の年に遇って、天数が足らないと、
少陽が司天の左側で代わりの役を果たし、
これも虚といいます。
人気も虚、天気も虚です。
また食べすぎ飲みすぎで胃を傷つけて汗が出たり、
酔って性交して、脾を傷つけ汗が出るといったことになると、
三虚となり、脾神が蔵から失せてしまいます。
脾は諌議の官で、智慧をあまねくめぐらします。
脾神がその位を失うと精神の活動はにぶります。
更にまた土運不及の年歳に遇ったり、
甲年と己年に失守があったり、
太陰司天の天数が不足だったりすると、
木疫の邪が病をもたらし、人を突然死亡させます。」
「人が長いこと湿った土地に居たり、
大いに体力を使った後で水の湿を受けたりすると、
腎を傷つけます。
腎は作強の官で、技巧が出てくる所です。
今、三虚となると、
腎神が蔵から失せ、
精は衰え志は失われて、
精神活動はにぶります。
更にまた水運不及の年歳に遇ったり、
〔上の〕辛が〔下の丙と〕和合しなかったり、
丙年に失守に遇ったり、
或いは太陽司天の不及に遇ったりすると、
土疫の邪が病をもたらし、
人を突然死亡させます。」
「人が怒りいきどおって、
気分が上逆して降れなくなると、
肝蔵を傷つけます。
その上また厥陰司天の年に遇い、
天数が足らないと、
少陰が司天の左側で代わりの役を果たすことになり、
これを天虚と呼びます。
天と人の双方が虚になります。
また駆けめぐったり恐れたりすると、
汗が出て肝を傷つけます。
肝は将軍の官で、思慮が出る所ですから、
精神が蔵から失せると、神明の活動はにぶります。
更に木年の不及に遇ったり、
或いは丁年に〔上丁と下壬が〕和合しなかったり、
壬年に守りが失われたり、
或いは厥陰司天が不及だったりすると、
金疫の邪が病をもたらし、
人を突然死亡させます。」
「〜精神を離散させますと、蔵を守らなくなって、
五種の病邪が襲い、人を突然死亡させます。
これを戸厥と呼ぶのです。
五蔵の神がその常位を失う病を人が患うと、
神明は完全でなくなります。
この状況の下では、ただ疫邪が患をなすばかりでなく、
一切の邪気が襲いかかってくる可能性があります。
これはすべて精神がその位を守らなかったためです。
だからこそ、精神が蔵を守る者は生き、
守れない者は死ぬ、といわれるのです。
精神が充足していれば、
健康を保つことができ、
精神がなくなってしまえば死んでしまいます。」
『黄帝内経素問 下巻—現代語訳』より
参考文献:
『黄帝内経素問 上巻—現代語訳』
『黄帝内経素問 中巻—現代語訳』
『黄帝内経素問 下巻—現代語訳』
『中医基本用語辞典』 東洋学術出版
『臓腑経絡学』 アルテミシア
『鍼灸医学事典』 医道の日本社
『内経気象学入門』 緑書房
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
新川