こんにちは、為沢です。
動画は最近、私の頭の中でループして止まないBeatlesのFree as a Birdという曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=ODIvONHPqpk
と言うのも最近、高校受験を控えている中学生の患者さんを診る機会が多く
彼らの話をじっくり聞いていると、15歳の頃の自分の記憶がフラッシュバックして
勉強中ラジオでよくこれ流れとったなぁと 思い出すわけです。
当時ラジオキッズでよくラジオを拝聴してたんですが、
”Beatles四半世紀振りの新曲!!”とこの時期に騒がれていたんですよ。あぁ…懐かしい。
受験生の皆さま、御勉強頑張って下さい。
ここからは、張仲景の古医書『傷寒論』の解説です。
今回の傷寒論は弁太陽病脈証并治(下)百六十二章と百六十三章。
百六十二章では、攻下を行ったあと、熱邪が肺を塞いだ場合の証治について。
百六十三章では、誤って攻下したために中焦が虚して内寒が生じ
そして表証もまだ残っている場合の証治について詳しく述べております。
弁太陽病脈証并治(下)百六十二章
下後、不可更行桂枝湯、若汗出而喘、
無大熱者、可與麻黃杏子甘草石膏湯。方二十四。
麻黄四兩 杏仁五十箇、去皮尖 甘草二兩、炙 石膏半斤、砕、綿裹
右四味、以水七升、先煮麻黄、減二升、去白沫、
内諸薬、煮取三升、去滓、溫服一升。本云黃耳杯。
和訓:
下して後は更に桂枝湯を行るべからず。若し汗出でて喘し、大熱なきものは、
麻黄杏子甘草石膏湯を与うべし。方二十四。
麻黄四両 杏仁五十個、皮尖を去る 甘草二両、炙る 石膏半斤、砕く、綿で裹む
右四味、水七升を以て、先ず麻黄を煮て、二升を減じ、白沫を去り、
諸薬を内れ、煮て三升を取り、滓を去り、一升を温服す。本に黃耳杯と云う。
・下後、不可更行桂枝湯、若汗出而喘、
無大熱者、可與麻黃杏子甘草石膏湯
「下後、不可更行桂枝湯」より、
邪はすでに内陥して熱化していることがわかる。
表には大熱がないが、裏では熱盛である。
そして表では津液が蒸され、
上方では肺気が塞がれているので「汗出而喘」が出ている。
この場合、治療は麻黄杏子甘草石膏湯で
清熱宣肺を行って喘証を治療していく。
麻黃杏子甘草石膏湯
・麻黄
基原:
マオウ科のシナマオウをはじめとする
同属植物の木質化していない地上茎。
去節麻黄は節を除去したもの。
辛温・微苦で肺・膀胱に入り、
辛散・苦降・温通し、肺気を開宣し腠理を開き
毛窮を透して風寒を発散するので、
風寒外束による表実無汗や
肺気壅渇の喘咳の常用薬である。
また、肺気を宣発して水道を通調するとともに、
膀胱を温化して利水するので、
水腫に表証を兼ねるときにも適する。
辛散温通の効能により、
散風透疹・温経散寒にも使用できる。
・杏仁
基原:
バラ科のホンアンズ、アンズなどの種子。
苦味のあるものを苦杏仁、
苦味がなく甘味があるものを
甜杏仁と称するが
植物形態的な違いはない。
杏仁は苦辛・温で、肺経気分に入り、
苦降・辛散により下気・止咳平喘するとともに
肺経の風寒痰湿を疏散するので、
外邪の侵襲や痰濁内阻による
肺気阻塞で咳喘・痰多を呈するときに適する。
熱には清熱薬を、寒には温化薬を、
表邪には解表薬を、燥邪には潤燥薬を、
それぞれ加えることにより邪実に対処することができる。
また、質潤で油質を含み、
滑腸通便の効能をもつので、腸燥便秘にも有効である。
・甘草
基原:
マメ科のウラルカンゾウ、
またはその他同属植物の根およびストロン。
甘草の甘平で、脾胃の正薬であり、
甘緩で緩急に働き、
補中益気・潤肺祛痰・止咳・
清熱解毒・緩急止痛・調和薬性などの性能を持つ。
そのため、脾胃虚弱の中気不足に用いられる。
また、薬性を調和し百毒を解すので、
熱薬と用いると熱性を緩め
寒薬と用いると
寒性を緩めるなど薬性を緩和し薬味を矯正することができる。
・石膏
基原:
含水硫酸カルシウム鉱石。
組成はほぼCaSO4・2H2Oである。
石膏は辛甘・大寒で、肺・胃の二経に入り、
甘寒で生津し、辛で透発し、
大寒で清熱し清熱瀉火するとともに散熱し、
外は肌表の熱を透発し内は肺胃の熱を清し、
退熱生津により除煩止渇するので、
肺胃二経の気分実熱による高熱汗出・煩渇引飲・脈象洪大、
肺熱の気急鼻扇・上気喘咳、
胃火熾盛の頭痛・歯齦腫痛
口舌生瘡などに、
非常に有効である。
提要:
攻下を行ったあと、熱邪が肺を塞いだ場合の証治について。
訳:
攻下したあと、さらに桂枝湯を用いることはできない。
もし汗が出て息が喘ぎ、顕著な発熱がなければ、
麻黃杏子甘草石膏湯で治療すればよい。
麻黄四両 杏仁五十個、皮尖を除く 甘草二両、炙る 石膏半斤、砕く、布で包む
右の四味は、七升の水で、まず麻黄を、[水が]二升減るまで煮て、泡を除いてから、
残りの諸薬を入れ、三升になるまで更に煮て、滓を除き、一升を温服する。
別本には黃耳杯で一杯分とある。
弁太陽病脈証并治(下)百六十三章
太陽病、外證未除、而數下之、遂協熱而利、
利下不止、心下痞鞕、表裏不解者、桂枝人参湯主之。方二十五。
桂枝四兩、別切 甘草四兩、炙 白朮三兩 人参三兩 乾薑三兩
右五味、以水九升、先煮四味、取五升、内桂、
更煮取三升、去滓、溫服一升、日再夜一服。
和訓:
太陽病、外証未だ除かず、而るに数之を下し、遂に協熱して利し、
利下りて止まず、心下痞鞕し、
表裏解せざるものは、桂枝人参湯之を主る。方二十五。
桂枝四両、別に切る 甘草四両、炙る 白朮三両 人参三両 乾薑三両
右七味、水九升を以て、先ず四味を煮て、五升を取り、桂を内れ、
更に煮て三升を取り、滓を去り、一升を温服し、日に再夜に一服す。
・太陽病、外證未除、而數下之、遂協熱而利、
利下不止、心下痞鞕、表裏不解者、桂枝人参湯主之
太陽病で表証がまだ解けていなければ、
桂枝湯でその表を解いていけばよい。
しかしいま医者はたびたび攻下薬を用いたため、
脾胃がひどく虚して内寒が生じた。
そして その内寒と表熱が合わさり、
瀉下薬により下痢が引き起こされたのである。
このように裏が虚して、しかも表邪が残っている場合は
その裏虚を治療しながら表を固めていくようにする。
桂枝人参湯は、中焦を温め、虚を補い、表を固めていく薬である。
この薬を作る際、桂枝をあとから入れるのは、
先ず四味より薬中の気味を越し出させるためで、
それにより解邪を行っていくのである。
桂枝人参湯
・桂枝
基原:
クスノキ科のケイの若枝または樹皮。
桂枝は辛甘・温で、
主として肺・心・膀胱経に入り、
兼ねて脾・肝・腎の諸経に入り、
辛散温通して気血を振奮し営衛を透達し、
外は表を行って肌腠の風寒を緩散し、
四肢に横走して経脈の寒滞を温通し、
散寒止痛・活血通経に働くので、
風寒表証、風湿痺痛・中焦虚寒の腹痛・
血寒経閉などに対する常用薬である。
発汗力は緩和であるから、
風寒表証では、有汗・無汗問わず応用でき、
とくに体虚感冒・上肢肩臂疼痛・体虚新感の
風寒痺痛などにもっとも適している。
このほか、水湿は陰邪で陽気を得てはじめて化し、
通陽化気の桂枝は
化湿利水を強めるので、
利水化湿薬に配合して痰飲・畜水などに用いる。
・甘草
基原:
マメ科のウラルカンゾウ、
またはその他同属植物の根およびストロン。
甘草の甘平で、脾胃の正薬であり、
甘緩で緩急に働き、補中益気・潤肺祛痰・止咳・
清熱解毒・緩急止痛・調和薬性などの性能を持つ。
そのため、脾胃虚弱の中気不足に用いられる。
また、薬性を調和し百毒を解すので、
熱薬と用いると熱性を緩め
寒薬と用いると
寒性を緩めるなど薬性を緩和し薬味を矯正することができる。
・白朮
基原:
キク科のオオバナオケラの根茎。
この他、日本薬局方ではオケラの周皮を除いた根茎を規定しており、
日本では一般にこれが流通している。
白朮は甘温で補中し苦で燥湿し、
補脾益気・燥湿利水の効能を持ち、健脾の要薬である。
脾気を健運し水湿を除いて痰飲・水腫・泄瀉を消除し、
益気健脾により止汗・安胎にも働く。
それゆえ、脾虚不運の停痰停湿・泄瀉腫満に対する主薬であり、
表虚自汗および脘腹脹満・胎動不安にも用いる。
・人参
基原:
ウコギ科のオタネニンジンの根。
加工調整法の違いにより種々の異なった生薬名を有する。
人参は甘・微苦・微温で中和の性を稟け、脾肺の気を補い、
生化の源である
脾気と一身の気を主る肺気の充盈することにより、
一身の気を旺盛にし、
大補元気の効能をもつ。
元気が充盈すると、益血生津し安神し智恵を増すので、
生津止渇・安神益智にも働く。
それゆえ、虚労内傷に対する第一の要薬であり、
気血津液の不足すべてに使用でき、
脾気虚の倦怠無力・食少吐瀉、
肺気不足の気短喘促・脈虚自汗、
心神不安の失眠多夢・驚悸健忘、
津液虧耗の口乾消渇などに有効である。
また、すべての大病・久病・大吐瀉による
元気虚衰の虚極欲脱・脈微欲絶に対し、もっとも主要な薬物である。
・乾薑
基原:
ショウガ科のショウガの根茎を乾燥したもの。
古くは皮を去り水でさらした後に晒乾した。
乾姜は生姜を乾燥させてもので
辛散の性質が弱まって
辛熱燥烈の性質が増強され、
無毒であり、温中散寒の主薬であるとともに、
回陽通脈・燥湿消痰の効能をもつ。
陰寒内盛・陽衰欲脱の肢冷脈微、
脾胃虚寒の食少不運・脘腹冷痛・吐瀉冷痢、
肺寒痰飲の喘咳、風寒湿痺の肢節冷痛などに適し、
乾姜は主に脾胃に入り温中寒散する。
提要:
誤って攻下したために中焦が虚して内寒が生じ
そして表証もまだ残っている場合の証治について。
訳:
太陽病に罹り、表証がまだとれていないうちに、
何度も攻下法で治療した結果、
表熱があって下痢もみられる状態となった。
もし下痢が止まらず、心下部は痞満して硬くなり、
表証も裏証もまだとれていないなら、
桂枝人参湯で治療すればよい。処方を記載。第二十五法。
桂枝四両 甘草四両、炙る 白朮三両 人参三両 乾薑三両
右の五味は、九升の水で、まず[桂枝を除く]四味を、五升になるまで煮てから、
桂枝を入れ、三升になるまで更に煮て、滓を除き、一回に一升を、日中に二回温服する。
参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』 東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』 績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社
生薬イメージ画像:
『中医臨床家のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
為沢
奇遇だね。
俺も好きな曲です。
ラジオはまったく聴いてなかったけども、
たまたま買ったアルバム、『アンソロジー』に収録されていて
Free as a Birdばかり聴いて、
恥ずかしいので家族にばれないように、
ぼそぼそ歌ってました。
コメントありがとうございます。
学生時はお金も無かったのでCDが買えず、
ラジオばかり聞いては、お気に入りの曲がかかるとカセットに録音してました。
その中でもFree as a Birdは思い出深い曲です。
本来なら、受験勉強中にラジオを聴いている場合では無いのですが(笑)