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【お知らせ】年末年始の鍼灸治療
明けましておめでとうございます。為沢です。
2014年ですね。今年も宜しく御願い致します。
お正月ぽく、小学生以来の凧揚げをしてみました。
最初は風を読む難しさに苦闘し、途中から風に乗っかった時の楽しさや
操作性の難しさなど色々学びました。
ここからは、張仲景の古医書『傷寒論』の解説です。
今回の傷寒論は弁太陽病脈証并治(下)百五十九章。
心下痞で下痢が止まらない場合の証治について詳しく述べております。
弁太陽病脈証并治(下)百五十九章
傷寒服湯藥、下利不止、心下痞鞕。
服瀉心湯已、復以他藥下之、利不止、醫以理中與之、利益甚。
理中者、理中焦、此利在下焦、赤石脂禹餘糧湯主之。
復利不止者、當利其小便。赤石脂禹餘糧湯。
赤石脂 一斤、砕 太一禹餘一斤、砕
右二味、以水六升、煮取二升、去滓、分溫三服。
和訓:
傷寒湯薬を服し、下利止まず、心下痞鞕す。
瀉心湯を服し已り、復た他薬を以て之を下し、利止まず、
医理中を以て之を与え、利益甚し。理中とは、中焦を理し、此の利下焦に在り、
赤石脂禹餘糧湯之を主る。復た止まざるものは、当に其の小便を利すべし。赤石脂禹餘糧湯
赤石脂一斤、砕く 太一禹餘一斤、砕く
右二味、水六升を以て、煮て二升を取り、滓を去り、分かち温め三服す。
・傷寒服湯藥、下利不止、心下痞鞕
傷寒で湯薬を服用し、下痢が止まらず心下痞が現れた。
下痢が止まらなくなったということは、この薬は瀉下薬であることが分かる。
この時、脾胃が傷つき、心窩へ邪が内陥し、寒熱が入り混れて塞がり
気機が阻害され心下痞が形成された。
・服瀉心湯已、復以他藥下之、利不止、醫以理中與之、利益甚
瀉心湯を与えるべき状況であるが、
医者は”裏に結実があるため”と診断し、さらに瀉下薬を与え下痢が止まらなくなった。
そして、下痢が止まらないのは”中焦に寒邪があるため”と診断し
理中湯で中焦を温めたたが、下痢は益々ひどくなった。
・理中者、理中焦、此利在下焦、赤石脂禹餘糧湯主之
理中湯は中焦を調える薬湯である。
この場合は下痢の原因は下焦にあり、
度重なる攻下によって中焦脾胃だけでなく、
下焦腎の陽気が損傷→大腸の精気が自然に漏れ出て失禁している滑脱なのである。
この場合、赤石脂禹余粮湯を用いて下焦を補填し、
渋腸止痢して治療していくとよい。
・復利不止者、當利其小便
もし下痢が止まなければ、清濁を分けることができず
津液が大腸に入っているためであるから
下痢の治療に利尿法を用いれば、下痢を止める方法になる。
赤石脂禹余粮湯
・赤石脂(しゃくせきし)
基原:
酸化第二鉄 Fe2O3を多量に含む雲母源の粘土塊、
カオリナイト Al2O3・2SiO2・4H2Oを主成分とする。
赤石脂は甘酸渋・温で、
甘温で調中偏補し酸渋で収斂固脱し、質重下降する。
中・下焦の体虚滑脱不禁の久瀉久痢・崩帯便血・遺精滑泄・胞衣不下などに適する。
外用すると収湿斂瘡生肌に働き、瘡瘍の久不収口や湿疹湿瘡膿水浸淫に適する。
・太一禹余餘(たいつうよりょう)
基原:
褐鉄鉱(Limonite)
酸化第二鉄およびハロサイト
(halloysite AL2Si2O5(OH)4・4H2O)が主な鉱物成分
褐鉄鉱の特殊な自然産出状態で、
中心に砂を抱いて殻状に固まった形をする。
外殻が卵の殻のようにすべすべしたものから、
荒い砂をつけたもや、珪質の礫を膠着したものなどがある。
水飛によって細末として用いる。
有毒物質が混じっているので慎重に用いなければならない。
味は甘・渋、性は平で胃・大腸経に帰経する。
渋腸止瀉・収斂止血の効能があり
赤石脂に類似し、止瀉・止血作用がある。
提要:
心下痞で下痢が止まらない場合の証治について。
訳:
傷寒の病に罹り服薬したが、下痢は止まらず、心下が痞満して硬くなった。
もし瀉下薬を服用すると病は改善するのに、医者は誤って別の薬で攻下したので、
下痢は一向に止まらない。そこで医者は今度は理中湯で投与したら、下痢はますますひどくなった。
そもそも理中湯は中焦を調理する薬であり、今ここに現れている下痢はその病位が下焦なので
赤石脂禹餘糧湯で治療する。それでもなお下痢が止まらない場合は、
小便を利して支流を開くという方法で治療する。
それでもなお下痢が止まらない場合は、小便を利して支流を開くという方法で治療する。
赤石脂禹餘糧湯。処方を記載。
赤石脂一斤、砕く 太一禹餘一斤、砕く
右の二味を、六升の水で、二升になるまで煮て、滓を除き、一日に三回温服する。
参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』 東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』 績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社
生薬イメージ画像:
『中医臨床家のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
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是非参考文献を読んでみて下さい。
為沢