梨 / オイルパステル
梨 / オイルパステル

こんにちは、為沢です。
秋ということで梨を描いてみましたが、まだまだ色艶が課題やのぅ と思った一枚です(゚ロ゚;


ここからは、張仲景の古医書『傷寒論』の解説です。

今回の傷寒論は弁太陽病脈証并治(下)百四十八章。
陽微結と陰結の脉象について詳しく述べております。


弁太陽病脈証并治(下)百四十八章

傷寒五六日、頭汗出、微惡寒、手足冷、心下滿、
口不欲食、大便鞭、脉細者、此爲陽微結、必有表、復有裏也。
脉沈、亦在裏也、汗出爲陽微。
假令純陰結、不得復有外證、悉入在裏、此爲半在裏半在外也。
脉雖沈緊、不得爲少陰病、所以然者、陰不得有汗、
今頭汗出、故知非少陰也、可與小柴胡湯。
設不了了者、得屎而解。十四。

和訓:
傷寒五六日、頭に汗出で微かに悪寒し、手足冷え、心下満し、
口食を欲せず、大便硬く、脉細なるものは、此れ陽微結と為し、必ず表あり、復た裏あるなり。
脉沈も、亦裏に在るなり、汗出ずるは陽微と為す。仮令純陰結せば、復た外証あるを得ず、
然る所以のものは、陰汗あるを得ず、今頭に汗出で、故に少陰に非ずと知るなり。
小柴胡湯を与うべし。設し了了たらざるものは、屎を得て解す。十四。


傷寒五六日、頭汗出、微惡寒
傷寒の五〜六日目、病は少陽に内伝し鬱滞、熱化して上方に迫るので、「頭汗出」をみる。
そして表証が完全に解けないので、「微惡寒」が起こる。

手足冷、心下滿、口不欲食、大便鞭
邪が少陽にあり、肝胆の気が鬱滞し、疏泄が十分に行われないと
陽気も活発に動かず上記の症状が出現する。

脉細者、此爲陽微結、必有表、復有裏也
脉が細というのは裏の熱が欝して外達せず、
四肢末端まで到達しないためで、少陽の枢機が働かず
内外陰陽が調和していないことを示す。
熱邪が裏に移行してるが、表邪も存在しており、邪気の裏の集結もひどくはない。
それゆえにこの証を「陽微結」といっている。

脉沈、亦在裏也、汗出爲陽微
裏証を示唆する沈脉があるが、発汗は陽病である陽微結の特徴である。

假令純陰結、不得復有外證、悉入在裏、此爲半在裏半在外也。
脉雖沈緊、不得爲少陰病、所以然者、陰不得有汗、今頭汗出、故知非少陰也

仮に沈緊の脉を呈しても、頭部の発汗がみられれば、
これは少陰病ではなく、陰結とはいえない。

可與小柴胡湯。設不了了者、得屎而解
この場合の治療は小柴胡湯で枢解して、少陽の気機を回復させ
肝胆の気の鬱滞を取り除いてスムーズに通し、上下・表裏の和を図るようにする。
もし服用しても鬱滞が取れず、裏気が調えられない。「得屎而解」はこのことを述べている。

小柴胡湯
こちらを参照→【古医書】傷寒論を読む:弁太陽病脈証并治(中)三十六・三十七章

提要:
陽微結と陰結の脉象について。

訳:
傷寒の病に罹って五六日が経ち、頭部の発汗、軽微な悪寒、手足の冷え、心下部の膨満、
食欲不振、大便が硬くて秘結、脉細などの症状が出現すれば、これは「陽微結」である。
頭部にのみ汗が出て、往来寒熱があり、イライラして落ち着かないなどの症があれば、
必ず表証があり、そしてまた裏証もみられる。
脉沈はまた病変が裏に存在することを示唆し、頭部の発汗は陽微結の兆候である。
もし純粋な「陰結」証なら、表証がなくて、すべて裏証でなければならないが
これは病邪の半分が裏にあり、半分が外にある証候である。
脉象が沈緊であっても、少陰病とは考えられない。
なぜなら、陰証では汗が出ることなく、いま頭に汗が出ていることから、
少陰病ではないことがわかる。これは小柴胡湯で治療する。
もし服薬したあと身体がスッキリしなければ、
大便がよく出るような処置さえすれば病は癒える。第十四法。


参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』   東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』  績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社

生薬イメージ画像:
『中医臨床家のための中薬学』 医歯薬出版株式会社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

為沢

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