【鍼灸重宝記】四知之論 病證を見たつる法 工
夫れ五味は口に入、
胃に納るといへども是をとろかしこなして脾に渡せば、
すなわちこれを五蔵六府に散ずるなり、
口酸きは肝に熱あり、口苦きは心熱なり、
口甘きは脾の熱なり、口辛きは肺に熱あり、
しほつぱゆきは腎に熱なり、口淡きは胃熱としる、
此のごとく病人のきらひこのむ味を問いわきまへて
五蔵の病のおこるところを知り、
又病人つねに何を食しいづれの日、やみはじめ、
いかやうにして病を受けたるぞ、
と委しく病因を問うて病の源をしるを
問といひ工と云うなり。
(鍼灸重宝記より)