胃出于厲兌。厲兌者、足大指内、次指之端也。為井金。
溜于内庭。内庭、次指外間也。為榮。
注于陥谷。陥谷者、上中指内間、上行二寸、陥者中也。
為腧。過于衝陽。衝陽、足胕上五寸、陥者中也。為原。揺足而得之。
行于解谿。解谿、上衝陽一寸半、陥者中也。為経。
入于下陵。下陵、膝下三寸、胻骨外、三里也。為合。
復下三里三寸、為巨虚上廉。復下上廉三寸、為巨虚下廉也。
大腸属上、小腸属下。足陽明胃脈也。
大腸小腸、皆属于胃。是足陽明也。

胃は厲兌より出づ。厲兌なる者は、足の大指の内、次指の端なり。井金と為す。
内庭に溜る。内庭は、次指の外間なり。榮と為す。
陥谷に注ぐ。陥谷なる者は、中指の内間を上り、上行すること二寸、陥なる者の中なり。腧と為す。
衝陽を過ぐ。衝陽は、足胕の上五寸、陥なる者の中なり。原と為す。足を揺らして之を得。
解谿に行る。解谿は、衝陽を上ること一寸半、陥なる者の中なり。経と為す。下陵に入る。
下陵は、膝下三寸、胻骨の外、三里なり。合と為す。
復た三里下ること三寸、巨虚上廉となす。
復た上廉下ること三寸、巨虚下廉と為すなり。
大腸は上に属し、小腸は下に属す。足の陽明胃脈なり。
大腸・小腸、皆胃に属す。是れ足の陽明なり。

 

足陽明胃経(井滎輸原経合)
足陽明胃経(井滎輸原経合)

厲兌(井金穴)
取穴:足の第2指、末節骨外側、爪甲角の近位外方1分、爪甲外側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点。
作用:開竅醒神、退熱鎮驚の作用あり。

内庭(滎水穴)
取穴:足背、第2・3中足指間、みずかきの後縁、赤白肉際。
作用:胃火を静降。陽明経気を清宣する。

陥谷(輸木穴)
取穴:足背、第2・3中足骨間。第2中足骨間、第2中足指節関節の近位陥凹部。
作用:利水作用あり。

解谿(経火穴)
取穴:足関節前面。足関節前面中央の陥凹部。長母指伸筋腱と長指伸筋腱の間。
作用:脾胃の内熱を瀉し、清熱作用がある。

下陵(別名:足三里)(合土穴)
取穴:下腿前面、犢鼻と解谿を結ぶ線上、犢鼻の下方3寸。
作用:脾胃の気虚、脾虚湿生などを治する。

衝陽(原穴)
取穴:第2中足骨底と中間楔状骨の間で、足背動脈拍動部に取る。
作用:降気作用あり。


三焦者、上合手少陽、
出于関衝。関衝者、手小指次指之端也。為井金。
溜于液門。液門、小指次指之間也。為榮。
注于中渚。中渚、本節之後、陥中者也。
為腧。過于陽池。陽池、在腕上、陥者之中也。為原。
行于支溝。支溝、上腕三寸、両骨之間、陥者中也。為経。
入于天井。天井、在肘外大骨之上、陥者中也。為合。
屈肘乃得之。三焦下腧、在于足大指之前、少陽之後、出于膕中外廉。
名曰委陽。是太陽絡也。手少陽経也。
三焦者、足少陽太陰之所将、太陽之別也。
上踝五寸、別入貫腨腸、出于委陽、
並太陽之正、入絡膀胱、約下焦。
実則閉癃、虚則遺溺。遺溺則補之、閉癃則写之。

三焦なる者は、上りて手の少陽に合し、
関衝に出づ。関衝なる者は、手の小指次指の端なり。井金と為す。
液門に溜る。液門は、小指次指の間なり。榮と為す。
中渚に注ぐ。中渚は、本節の後、陥なる者の中なり。腧と為す。
陽池を過ぐ。陽池は、腕上の陥なる者の中に在る也なり。原と為す。
支溝に行る。支溝は、腕を上ること三寸、両骨の間、陥なる者の中なり。経と為す。
天井に入る。天井は、肘外の大骨の上、陥なる者の中に在るなり。合と為す。
肘を屈すればすなわちこれを得。三焦下腧は、足の大指の前、少陽の後に在り、膕中の外廉に出づ。
名づけて委陽と曰う。是れ太陽の絡なり。手の少陽経なり。
三焦なる者は、足の少陽・太陽の将うる所、太陽の別なり。
踝を上ること五寸、別れて入りて腨腸を貫き、委陽に出でて、
太陽の正に並び、入りて膀胱を絡い、下焦に約す。
実なれば則ち閉癃し、虚すれば則ち遺溺す。
遺溺すれば則ちこれを補い、閉癃すれば則ちこれを写す。

 

手少陽三焦経(井滎輸原経合)
手少陽三焦経(井滎輸原経合)

関衝(井金穴)
取穴:薬指爪根部近位縁に引いた線と、内側縁に引いた線との交点。
作用:清上焦火。清少陽鬱熱の作用あり。

液門(滎水穴)
取穴:手を握り、第4・第5中手指節関節間の直下の陥凹部。
作用:利水作用あり。

中渚(輸木穴)
取穴:手を握り、第4中手指節関節の上の内側陥凹部中。
作用:通経活絡、散風止痛の作用あり。

支溝(経火穴)
取穴:陽池と肘頭とを結ぶ線を4等分し、陽池から4分の1のところ。
作用:気滞不通による気機を通じる。

天井(兪土穴)
取穴:肘頭の上方1寸で、肘関節をやや屈曲したときにできる陥凹部。
作用:瀉火安神・通絡散結の作用あり。

陽池(原穴)
取穴:手関節後面横紋のほぼ中央で、総指伸筋腱と小指伸筋腱との間の陥凹中。
作用:元気を通調し、陽気を健てる。


手太陽小腸者、上合於太陽、
出于少沢。少沢、小指之端也。為井金。
溜于前谷。前谷、在手外廉本節前、陥者中也。為榮。
注于後谿。後谿者、在手外側本節之後也。為腧。
過于腕骨。腕骨、在手外側腕骨之前。為原。
行于陽谷。陽谷、在鋭骨之下、陥者中也。為経。
入于小海。小海、在肘内大骨之外、去端半寸、陥者中也。
伸臂而得之。為合。手太陽経也。

手の太陽小腸なる者は、上りて太陽に合し、
少沢に出づ。少沢は、小指の端なり。井金と為す。
前谷に溜る。前谷は、手の外廉本節の前、陥なる者の中に在るなり。榮となす。
後谿に注ぐ。後谿なる者は、手の外側の本節の後に在り。腧と為す。
腕骨を過ぐ。腕骨は、手の外側の腕骨の前に在り。原と為す。
陽谷に行る。陽谷は、鋭骨の下、陥なる者の中なり在るなり。経と為す。
小海に入る。小海は、肘内の大骨の外、端を去ること半寸、陥なる者の中に在るなり。
臂を伸してこれを得。合と為す。手の太陽経なり。

 

手太陽小腸経(井滎輸原経合)
手太陽小腸経(井滎輸原経合)

少沢(井金穴)
取穴:小指爪根部近位縁に引いた線と、内側縁に引いた線との交点。
作用:表熱を清する。

前谷(滎水穴)
取穴:小指の中手指節関節の内側を触察し、その下部に触れる陥凹中。、
または、こぶしを軽く握り、小指の中手指節関節にできる掌側横紋の尺側端。表裏の境目にあたる。
作用:神志の病症、主に癲・狂・癇症時に用いる。

後谿(輸木穴)
取穴:こぶしを軽く握り、小指の中手骨の内側縁を指頭で撫で下ろしたとき、指が止まるところ。
または、こぶしを軽く握り、手掌の横紋の尺側端。表裏の境目にあたる。
作用:表熱を散らし、陽気を調節する。風寒を散じる。

陽谷(経火穴)
取穴:手関節の後面で、尺骨茎状突起直下の陥凹中、尺側手根伸筋腱の内側。
作用:自経の火を清する。

小海(兪土穴)
取穴:肘関節を軽く屈曲し、尺骨神経溝中。
作用:心火を清する。痰濁を除去する。

腕骨(原穴)
取穴:小指の中手骨の内側を指頭で撫で上げ、底を超えたところにある陥凹中、表裏の境目。
作用:太陽経気の宣通する。虚邪散滞する。

※経穴の作用については、
記載している参考文献より一部引用させて頂いており、
著者である先生方独自の見解も含まれております。


参考文献:
『経穴解説』 メディカルユーコン
『穴性学ハンドブック』 谷口書店
『臨床経穴学』
『鍼灸学(経穴篇)』
『中医学の基礎』
『現代語訳◉黄帝内経霊枢 上巻』 東洋学術出版社

画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

本多

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