完全に私事ですが、
鍼灸師になってから住み始めた吹田市から
引っ越すことになりました。
丁度こちらに越してきた時に 近所の駅前の再開発が始まり、
完成したところを見れるかな?と思っておりましたが、
まだまだ時間がかかるようで、それは叶いそうにはありません。

坂が多い街でしたので
一鍼堂までの道のりは、
丘を越えて来るような感じで、
良いトレーニングになりました(笑)
一鍼堂の「近所」と言ってもいいような距離なので、
また時間がある時に 再び訪れようと思います。

街のシンボル
街のシンボル

では『難経』の記事に参ります。


【原文】
五十七難曰、泄凡有幾。
皆有名不。

然。
泄凡有五、其名不同。
有胃泄、有脾泄、有大腸泄、有小腸泄、有大瘕泄、名曰後重。
胃泄者、飲食不化、色黃。
脾泄者、腹脹満、泄注、食即嘔吐逆。
大腸泄者、食己窘迫、大便色白、腸鳴切痛。
小腸泄者、溲而便濃血、少腹痛。
大瘕泄者、裏急後重、数至セイ而不能便、茎中痛。
此五泄之要法也。


【現代語訳】
泄瀉はいくつ種類があり、それぞれに名称があるのか。

答え。
泄瀉は五種類に分けられ、名称は各々であり、
胃泄、脾泄、大腸泄、小腸泄、大瘕泄、またの名を後重と言う。
胃泄は、飲食物が消化不良の状態で排泄され、便の黃色を呈す。
脾泄は、腹が脹って突然下し、飲食物が入ると直ぐに嘔吐をし
胃気が嘔逆し下がらない。
大腸泄は、食事後に腹が急にさしこむような痛みで便意をもよおし、
排泄された便の色は白い。腸は音が鳴り、刀で切られたように痛む。
大瘕泄は、腹中がひきつれて痛み、肛門が下がるような感覚になり、
トイレに何度も行くが便は出ない。その結果、陰茎まで痛くなる。

これらが五泄の大要である。


【解説】
ここでは、泄(泄瀉)と痢疾について説明している。

・泄(泄瀉、腹瀉)
[標準]中医内科学(東洋学術出版社)によると
『泄瀉とは、排便回数が増加し、大便が希薄になって、
はなはだしいと水様の大便が噴出するもの』
と書かれており、先人達はその中でも
・大便が泥状のもので勢いの緩やかなものを「泄」
・大便が水のようで勢いのあるものを「瀉」
としていたようである。
本難では、胃泄、脾泄、大腸泄が泄瀉に分類される。

泄瀉の病因は以下があげられる。
外邪:中でも寒湿湿熱の邪が原因となるものが多い。

飲食の不摂生:過食や冷飲食物、脂っこいものや甘い物を取り過ぎたもの。

感情の乱れ:脾胃が弱った者が、過度のストレスや怒り、悩みで
木乗土(肝気犯脾)となり、脾胃を弱らせるもの。

脾胃虚弱:脾胃での水穀の受け入れ、吸収、運化が出来なくなり、
その結果 水穀が停滞し泄瀉が起きる。

腎陽虚衰:久病により腎陽を傷つけたり、高齢のために体力が衰え、
陽気が不足したりすると、脾が温煦されず泄瀉が起こる。
泄瀉は明け方に起こることが特徴である。

治療としては、虚実陰陽を見極めることが大切であり、
治療以外にも平素から冷たい物・脂っこい物の摂りすぎには
要注意が必要な疾患である。

・痢疾
【標準】中医内科学(東洋学術出版社)によると
『腹痛・裏急後重・赤白の膿血便を主症状とする病証であり、
夏〜秋に多発する。』と書かれている。
本難では、小腸泄、大瘕泄が痢疾に分類される。

痢疾の病因は以下があげられる。
外邪:湿熱、疫毒(伝染性の強く、重篤な発病因子)が多い。

飲食の不摂生:過食や冷飲食物、脂っこいものや甘い物を取り過ぎたもの。

痢湿も泄瀉同様に、陰陽虚実(寒熱)が重要になり、
また平素からの食事には注意が必要である。


<参考文献>
『難経鉄鑑』 たにぐち書店
『難経解説』 東洋学術出版社
『中医基本用語辞典』 東洋学術出版社
『[標準]中医内科学』 東洋学術出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

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