こんにちは、為沢です。
上の動画は、ドイツにある「ミニチュアワンダーランド」という
鉄道模型のジオラマテーマパークです。
最近ジオラマ風の写真とか流行ってますが、動画に出てくるものは全部ミニチュアです(笑)
もう鉄道関係ないやん!というものまで多数あります。すご過ぎ。


ここからは、張仲景の古医書『傷寒論』の解説です。

今回の傷寒論は弁太陽病脈証并治(下)百三十九章と百四十章。
百三十九章では、太陽病に誤って攻下法を行った結果、
結胸証或いは協熱利の変証になった場合について。

百四十章では、誤って攻下した場合に回復する兆しがある脉象と、
脉より現れる症状を推測し具体例を挙げている。


弁太陽病脈証并治(下)百三十九章

太陽病、二三日、不能臥、但欲起、心下必結、脉微弱者、此本有寒分也。
反下之、若利止、必作結胸。未止者、四日復下之、此作協熱利也。

和訓:
太陽病、二三日、臥すること能わず、但だ起きんと欲し、心下必ず結し、
脉微弱なるものは、此れ本寒分あるなり。反して之を下し、若し利止まば、必ず結胸を作さん。
未だ止まざるものは、四日にして復た之を下せば、此れ協熱利を作すなり。


太陽病、二三日、不能臥、但欲起、心下必結、脉微弱者、此本有寒分也
太陽病に罹患して2〜3日目、表証であるが裏証はない。
しかし横になって寝られず、起きようとするのは、
心窩に痰飲があって阻塞しているからであるので、
病人の呼吸は速く短く喘いでいる。
この場合、本来の脈は沈実であるが、微弱を示しているということは
邪がまだ熱化せずに内伝し、痰飲と結集しているからである。

反下之、若利止、必作結胸
誤って下法を行うと、表邪が内陥し痰飲と凝結して結胸証が生じる。
これは一種の変証である。

未止者、四日復下之、此作協熱利也
下法を行ったあと、熱邪となって内伝したが、
痰飲と凝結する前に裏水を瀉下薬で攻下したことで、
表熱と合わさって下方より協熱下痢となって出たのである。
これも変証の一種である。

提要:
太陽病に誤って攻下法を行った結果、
結胸証或いは協熱利の変証になった場合について。

訳:
太陽病に罹って、すでに二三日が経ち、患者は安らかに臥床しておれないのに、
起き上がろうとするのは、きっと心下部に凝結した邪気があるからだ。
脉象が微弱を呈するのは、この患者にはもともと裏に寒痰冷飲があるためだ。
もし医者がこの患者を理に反して攻下法で治療し、下痢がおこりこの下痢が自然に止まるなら、
必ずや結胸証となるだろう。しかし下痢が自然に止まらず、
さらに第四日に再び攻下すれば、ついに協熱利という状態となる。


百四十章

太陽病、下之、其脉促、不結胸者、此爲欲解也。
脉浮者、必結胸也。脉緊者、必咽痛。脉弦者、必兩脇拘急。
脉細數者、頭痛未止。脉沈緊者、必欲嘔。
脉沈滑者、協熱利。脉浮滑者、必下血。

和訓:
太陽病、之を下し、其の脉促に結胸せざるものは、此れ解せんと欲すと為すなり。
脉浮なるものは、必ず結胸す。脉緊なるものは、必ず咽痛す。脉弦なるものは、必ず両脇拘急す。
脉細数なるものは、頭痛未だ止まず。脉沈緊なるものは、必ず嘔せんと欲す。
脉沈滑なるものは、協熱利す。脉浮滑なるものは、必ず下血す。


この章では、太陽病を誤って攻下した際に生じる結胸を含めた
諸種の変証について、脉証からそれらを鑑別診断しようというものであるが
このまま読むと辻褄が合わない箇所が多数でてくる。
後人によって手を加えられたのではないかという説あり。

提要:
誤って攻下した場合に、回復する兆しがある脉象と
脉より現れる症状を推測し具体例を挙げている。

訳:
太陽病で邪が表に在るものを、誤って攻下法で治療した場合、
脉象は急促であるが、結胸証が起こらなければ、病はやがて癒えるはずだ。
もし脉象が浮ならば、必ず結胸証となるだろう。脉象が緊であれば、必ず咽喉が痛む。
脉象が弦であれば、必ず両脇が拘急して痛む。脉象が細数なら、頭痛はまだおさまっていない。
脉象が沈緊であれば、必ず嘔吐したがる。脉象が沈滑であれば、必ず協熱利がおこる。
脉象が浮滑であれば、必ず下血が現れる。


参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』   東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』  績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社

生薬イメージ画像:
『中医臨床家のための中薬学』 医歯薬出版株式会社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

為沢

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