防風通聖散
[効能]疎風解表・瀉熱通便
[主治]風熱壅盛・表裏倶実
某製薬会社が「脂肪を分解・燃焼して、脂肪を落とす」
というキャッチコピーで販売している漢方薬(商品名は違いますが)で、
患者さん、知人でも「痩せたい」という理由から
飲まれている方が多くいます。
話を聞くと、順調に体重の落ちている方もおれば、
体重が落ちないや体調が今ひとつという方など、
その効果は千差万別のようです。
では、なぜこれほど差があるのかと言うと、
たしかに方剤の書籍を見ていても
肥満の処方で「防風通聖散」の名前が挙がってはいますが、
これは【実証】の肥満に用い、中医学でいうと
ストレスが原因となる肝気鬱結からおき、
長期的な肝気鬱結から生じた熱が脾胃に影響し、
その結果食欲旺盛・過食になり肥満になる
ものに用いると記載されています。
ただ東洋医学では、
病の原因が陰陽虚実の違いにより
治療方法(漢方であれば処方)は異なってきます。
上記の原因に当てはまる方であれば効果はみられるかと思いますが、
それ以外の方では・・・といった感じです。
これは決して、
体重が落ちない=漢方薬が悪いというのではなく、
ただその方の原因と漢方薬が一致しないということですので
勘違いなさらないようにして下さい。
※因みに勉強のため僕も試してみましたが、
僕の体にはあいませんでした(^_^;)
【参考文献】
『中医臨床のために方剤学』 東洋学術出版社
『いかに弁証論治するか 「疾患別」漢方エキス製剤の運用』 東洋学術出版社
『症状による中医診断と治療』 燎原書店
下野
すごーく興味深いお話です。
肥満は病気・・・・なのでしょうか?
って簡単に言いすぎか(汗)
漢方薬だと、飲むのを止めてもリバウンドしたりしないのですか。
ということは、自分の体質に合う薬がわかれば肥満は改善できる?
漢方薬でもできるなら、鍼灸でもそれができる?
一鍼堂さんは病気治療の鍼灸ですが、そういえば美顔や痩身をうたった鍼治療をするところもありますね。
まあ、元をたどれば同じところに行きつきますけど・・・
個人的には自分が努力や節制をせずに治療してもらうだけでなおしたい、というのは難しいのではと思っていますが。
一昔前にセンナが便秘に良い、体にもやさしそうと使用する人がいましたがやはりこういう素人判断が一番危ないってことですね。
それにしても最近のTVコマ―シャルの健康サプリメントの宣伝の多いこと・・・辟易しています。
おかげで成分の名前だけはたくさん覚えました。(笑)
おコメさん
ご質問ありがとうございます。
肥満を「病気」と言い切るのは難しいかもしれません。
そもそも「病気」という言葉自体が非常に曖昧なもので、
なにをもって「病気」というのか?
これは人によって見解は様々なようです。
ただ、肥満=自分の生活習慣が悪いというのは間違いであり、
中には西洋医学で言う「疾患」でなる方もおられますので、
これは忘れないで頂きたいですね。
(これを一般的には「病気」と表現するのでしょうね。)
では東洋医学的には肥満をどう考えるのか?
そちらを簡単ではありますが、以下に記します。
一つは、五臓六腑という物を処理する工場に、
食べ過ぎ・飲み過ぎなどで必要以上に物を入れて、
それが原因で肥満になってしまうタイプ。
このタイプの場合でも
勿論 鍼灸・漢方薬で改善はできますが、
おコメさんが仰るように 御自身で節制をしてもらうことも必要になります。
かたや五臓六腑が弱っている場合、
物が入ってきても、上手く処理をすることが出来ない為に
不必要な物が溜まってしまい肥満になるもの。
これは節制しても肥満になってしまうタイプ。
此のてのものに関しては、
鍼灸・漢方薬が有効で、当院の患者さんでも多くの改善例があります。
こうやってみると、
どちらも鍼灸、漢方薬は有効になります。
これは双方とも病・症状に当てはめて治療をするのではなく、
古来からの診断方法(四診)を用いて、
そこから治療方法を導き出し、
それを生薬を用いて表現したものが漢方薬であり、
はり・きゅうを用いて表現したものが鍼灸になりますので、
漢方薬で改善が出来るのであれば、鍼灸でも十分対応出来るということになります。
言い換えれば、肥満=この漢方薬(鍼灸の場合は経穴)と安易に考えてはならないということです。
また、双方共に御体を根本から変えるようにしますので、
御体が調えばリバウンドの心配はないかと思います。
ただ、規則的な生活を送ることが大前提とはなりますので、その点はお忘れなく!
随分と長文、乱文になってしまいましたが、
どうかお許し下さい。