昨年から開催されている古都奈良での音楽祭です。
お寺での演奏あり、オーケストラあり、はたまたストロー笛での演奏があったり、
実に様々な音楽の楽しみ方が出来るようです♪
予約が必要な会場もあるので、確認が必要ですね。
今回は、繆刺論篇について綴って参ります。
本来ならここにまとめてある以上の内容がありますが、
なるべく分かりやすくするため、
一部を抜粋して表現させて頂いております。
【繆刺論篇 六十三】
【原文】
黄帝問曰、余聞繆刺、未得其意。何謂繆刺。
岐伯対曰、夫邪之客於形也、必先舍於皮毛。留而不去、入舍於孫脈。
留而不去、入舍於絡脈。留而不去、入舍於経脈。内連五蔵、散於腸胃、陰陽倶感、五蔵乃傷。
此邪之従皮毛而入、極於五蔵之次也。如此、則治其経焉。
今邪客於皮毛、入舍於孫絡、留而不去、閉塞不通、不得入於経。
流溢於大絡、而生奇病也。夫邪客大絡者、左注右、右注左、上下左右、与経相干、而布於四末、其気無常処、不入於経兪、命曰繆刺。
帝曰、願聞繆刺、以左取右、以右取左奈何。其与巨刺、何以別之。
岐伯曰、邪客於経、左盛則右病、右盛則左病、亦有移易者。左痛未已而右脈先病。
如此者、必巨刺之。必中其経、非絡脈也。故絡病者、其痛与経脈繆処。故命曰繆刺。
帝曰、願聞繆刺奈何。取之何如。
岐伯曰、邪客於足少陰之絡、令人卒心痛、暴脹、胸脇支満。無積者、刺然骨之前出血、如食頃而已。
不已、左取右、右取左。病新発者、取五日已。
邪客於手少陽之絡、令人喉痺舌卷、口乾心煩、臂外廉痛、手不及頭。刺手中指次指爪甲上、去端如韭葉、各一痏。
壮者立已、老者有頃已。左取右、右取左。此新病、数日已。
邪客於足厥陰之絡、令人卒疝暴痛。刺足大指爪甲上、与肉交者、各一痏。
男子立已、女子有頃已。左取右、右取左。
邪客於足太陽之絡、令人頭項肩痛。刺足小指爪甲上、与肉交者、各一痏、立已。
不已、刺外踝下三痏。左取右、右取左、如食頃已。
邪客於手陽明之絡、令人気満、胸中喘息、而支胠胸中熱。
刺手大指次指爪甲上、去端如韭葉、各一痏。
左取右、右取左、如食頃已。
邪客於臂掌之間、不可得屈。刺其踝後。
先以指按之痛、乃刺之。以月死生為数。月生一日一痏、二日二痏、十五日十五痏、十六日十四痏。
邪客於足陽蹻之脈、令人目痛従内眥始。
刺外踝之下半寸所各二痏。左刺右、右刺左、如行十里頃而已。
人有所墮墜、悪血留内、腹中満脹、不得前後、先飲利薬。
此上傷厥陰之脈、下傷少陰之絡。刺足内踝之下、然骨之前血脈出血、刺足跗上動脈。
不已、刺三毛上各一痏。見血立已。左刺右、右刺左。善悲驚不楽、刺如右方。
邪客於手陽明之絡、令人耳聾、時不聞音。刺手大指次指爪甲上、去端如韭葉、各一痏。立聞。
不已、刺中指爪甲上、与肉交者、立聞。
其不時聞者、不可刺也。耳中生風者、亦刺之如此数。左刺右、右刺左。
凡痺往来、行無常処者、在分肉間、痛而刺之、以月死生為数。
用鍼者隨気盛衰、以為痏数。鍼過其日数則脱気、不及日数則気不写。左刺右、右刺左、病已止。
不已、復刺之如法。月生一日一痏、二日二痏、漸多之、十五日十五痏、十六日十四痏、漸少之。
邪客於足陽明之経、令人鼽衄、上歯寒。刺足中指次指爪甲上与肉交者、各一痏。左刺右、右刺左。
邪客於足少陽之絡、令人脇痛不得息、咳而汗出。刺足小指次指爪甲上、与肉交者、各一痏。不得息立已、汗出立止。
咳者温衣飲食、一日已。左刺右、右刺左、病立已。不已、復刺如法。
邪客於足少陰之絡、令人嗌痛、不可内食。
無故善怒、気上走賁上。刺足下中央之脈、各三痏、凡六刺、立已。
左刺右、右刺左。嗌中腫、不能内唾、時不能出唾者、刺然骨之前、出血立已。左刺右、右刺左。
邪客於足太陰之絡、令人腰痛、引少腹控[月少]、不可以仰息。刺腰尻之解、両胂之上。是腰兪。
以月死生為痏数。発鍼立已。左刺右、右刺左。
邪客於足太陽之絡、令人拘攣背急、引脇而痛。刺之従項始、数脊椎侠脊、疾按之応手如痛、刺之傍三痏、立已。
邪客於足少陽之絡、令人留於枢中痛、髀不可挙。刺枢中以毫鍼、寒則久留鍼。以月死生為数、立已。
治諸経刺之、所過者不病、則繆刺之。耳聾、刺手陽明。
不已、刺其通脈出耳前者。歯齲、刺手陽明。
不已、刺其脈入歯中、立已。
邪客於五蔵之間、其病也、脈引而痛、時来時止。視其病、繆刺之於手足爪甲上、視其脈、出其血。
間日一刺、一刺不已、五刺已。繆伝引上歯、歯脣寒痛、視其手背脈血者去之、
足陽明中指爪甲上一痏、手大指次指爪甲上各一痏、立已。左取右、右取左。
邪客於手足少陰太陰足陽明之絡、此五絡皆会於耳中、上絡左角。五絡倶竭、令人身脈皆動、而形無知也。
其状若尸、或曰尸厥。刺其足大指内側爪甲上、去端如韭葉、後刺足心、後刺足中指爪甲上各一痏、
後刺手大指内側、去端如韭葉、後刺手心主、少陰鋭骨之端、各一痏、立已。
不已、以竹管吹其両耳、鬄其左角之髮、方一寸、燔治、飲以美酒一杯。不能飲者、潅之、立已。
凡刺之数、先視其経脈、切而従之、審其虚実而調之。不調者、経刺之。有痛而経不病者、繆刺之。
因視其皮部有血絡者尽取之。此繆刺数也。
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【繆刺】
●繆刺〔ビュウシ〕とは・・
→古代刺鍼法の一種。
身体の一側に病があるとき、
反対側に(健側)取穴して治療する方法である。
狭義には絡脈の病証に対してこの方法で取穴することを指す。
●何故、反対側に刺鍼するのか?
→「邪気が皮毛に侵入し、
孫絡まで至ってそこに留まったまま去らず、
またそのときに絡脈が閉塞して流れなければ、
邪気は経脈に伝わることができず、
大絡に流溢して異常な病変を生じます。
邪気が大絡に入ってからは、
それが左から入ったものであれば右に流れていき、
右から入ったものであれば左に流れていき、
上下にいったり左右にいったりしますが、
経脈に影響することはなく、
また経兪に入るということもありません。
したがって病気〔邪気〕が右にあれば症は左に現れ、
邪気が左にあれば症は右に現れるので、
右が痛ければ左を刺し、左が痛ければ右を刺せば命中するのです。」
『黄帝内経素問 中巻—現代語訳』より
●巨刺との違い
巨刺→病が経脈にあればその経穴を刺す
繆刺→病が絡脈にあればその皮絡を刺す
「邪気が経脈に侵入した場合、
邪気が左側において盛んであればそれが影響して右側が病み、
邪気が右側において盛んであればそれが影響して左側が病みます。
また左右相互に転移するものもあり、
左の疼痛がまだよくなっていないのに右の脈が病み始めているということもあるのです。
このような場合には、
必ず巨刺を用いなければなりません。
巨刺法を用いるのは邪気が経脈に中っているときでなければならず、
絡脈に留まっているものではけっしてありません。
なぜならば絡が病んでいるときの疼痛部位と
経脈が病んでいるときの疼痛部位は異〔繆〕なっているからです。
ですからこれを繆刺というのです。」『黄帝内経素問 中巻—現代語訳』より
参考文献:
『黄帝内経素問 中巻—現代語訳』
『中医基本用語辞典』 東洋学術出版
『臓腑経絡学』 アルテミシア
『鍼灸医学事典』 医道の日本社
『図説 東洋医学〈基礎篇〉』 学研
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新川