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こんにちは、為沢です。今回は私の好きな音楽・映像を紹介。
仕事帰りに、昂ぶった神経を落ち着かせる時によく聴いております(英語なんで何言ってるか分かりません)
映像は中盤より幻想的かつ涼しげです(後半また魚出ます)


ここからは、張仲景の古医書『傷寒論』の解説です。

今回の傷寒論は弁太陽病脈証并治(下)百三十一章。結胸と痞証の病機について。
また、結胸証で経気が巡らない場合の証治について詳しく述べております。


弁太陽病脈証并治(下)百三十一章

病發於陽、而反下之、熱入因作結胸。
病發於陰、而反下之、因作痞。所以成結胸者、以下之太早故也。

結胸者、項亦強、如柔痙狀、下之則和、宜大陷胸丸。方一。
大黄半升 葶藶子半升、熬芒硝半升 杏仁半升、去皮尖、熬黒
右四味、擣篩二味、内杏仁芒硝、合研如脂、和散、取如彈丸一枚、
別擣甘遂末一錢匕、白蜜二合、水二升、煮取一升、溫頓服之、
一宿乃下、如不下、更服、取下爲効、禁如藥法。

病陽に発し、而るに反って之を下し、熱入りて、因って結胸を作す。
病陰に発し、而るに反って之を下し、因って痞を作すなり。
結胸を成すゆえんのものは、之を下すこと太だ早きを以ての故なり。
結胸は、項も亦強り、柔痓の状の如く、之を下せば則ち和し、大陥胸丸に宜し。方一。
大黄半斤葶藶子半升、熬る 芒硝半升 杏仁半升、皮尖を去る、熬りて黒くす
右四味、二味を搗きて篩い、杏仁芒硝を内れ、
合せ研りて脂の如くし、散に和し、弾丸一枚の如くを取る。別に甘遂末一銭匕を搗き、白蜜二合、水二升、煮て一升を取り、
温め之を頓服し、一宿にして乃ち下る。如し下らずんば、更に服せ。下るを取るを効と為し、禁は薬方の如くす。


病發於陽、而反下之、熱入因作結胸
病が太陽病表証にあるのに、発汗法を行わず下法を用いたため
邪熱が内陥し、胸膈内で邪熱と痰飲が結合して、結胸が生じた。

病發於陰、而反下之、因作痞
痞証は病が陰にある裏証を、誤って攻下することによって生じる。
陰病は特別な場合を除き、下してはならないのに、
これを攻下すると脾胃の気を損傷して働きを阻害し
脾胃の昇降を失調させるので、心下痞「つかえ」を形成する。

所以成結胸者、以下之太早故也
陰寒証は、初期でも末期でも下法を行ってはいけない。
時期の早い遅いは関係ないことを述べている。

結胸者、項亦強、如柔痙狀、下之則和、宜大陷胸丸
水熱が衝突し結合して胸陽が阻害され、
太陽の出入に影響が及び、内では気結、外では経脈が循らず太陽経気が不利となり
項頸が強ばる柔痙が現れたものである。
痙病とは、項背の強張り、角弓反張を主症とする疾病で
有汗ならば柔痙、無汗であれば剛痙という。
この場合、大陥胸丸を用いて上焦に留まっているものを緩和し
水熱が結しているものを総じて下方に行かせ、裏が整理されれば、
表の経気も整理され、項頸の強張りも解けていく。

大陥胸丸

 

大黄
大黄

大黄
基原:
タテ科のダイオウ属植物、
およびそれらの種間雑種の根茎。しばしば根も利用される。

大黄は苦寒沈降し気味ともに厚く、
「走きて守らず」で下焦に直達し、胃腸の積滞を蕩滌するので、
陽明腑実の熱結便秘・壮熱神昏に対する要薬であり
攻積導滞し瀉熱通腸するため、
湿熱の瀉痢・裏急後重や食積の瀉痢・大便不爽にも有効である。
このほか、瀉下泄熱により血分実熱を清し清熱瀉火・凉血解毒に働くので
血熱吐衄・目赤咽腫・癰腫瘡毒などの上部実熱にも用い、
行瘀破積・活血通経の効能をもつために、
血瘀経閉・産後瘀阻・癥瘕積聚
跌打損傷にも適し、
湿熱を大便として排出し清化湿熱にも働くので、
湿熱内蘊の黄疸・水腫・結胸にも使用する。
外用すると清火消腫解毒の効果がある。

 

 

葶藶子
葶藶子

葶藶子
基原:
アブラナ科のクジラグサ、ヒメグンバイナズナなどの成熟種子。
数種の異物同名品がある。

葶藶子は辛散苦泄し、肺経の気分薬であり、
肺気の実を専瀉して下気平喘し、肺気を通じて
水道を利し下行逐水するとともに、大腸を通泄して大便を下泄する。
李時珍が「肺中の水気賁欝満急するは、
これにあらざれば除くことあたわず」

と述べているように、瀉肺の効能が強いため、
肺気壅塞・痰飲喘咳・水腫脹満・肺壅初起などに適する。

芒硝
基原:
天然の含水硫酸ナトリウムNa2 SO4・10H2O
または風化消Na2SO4・2H2O。
なお古来の芒硝は結晶硫酸マグネシウム MgSO4・7H2Oである。

芒硝は鹹渋・寒で、鹹で軟堅し苦で降下し寒で清熱し、
瀉熱通便・潤燥軟堅の効能をもち、胃腸三焦の実熱を蕩滌し燥屎を除去する。
それゆえ、実熱積聚の大便燥結・譫語発狂などを呈する陽明腑実証や、
陽明の熱が水飲と結した結胸に適する。外用すると清熱消腫に働き、
癰腫瘡毒・目赤喉腫口瘡などに有効である。

 

杏仁
杏仁

杏仁
基原:
バラ科のホンアンズ、アンズなどの種子。

苦味のあるものを苦杏仁、苦味がなく甘味があるものを甜杏仁と称するが
植物形態的な違いはない。
杏仁は苦辛・温で、肺経気分に入り、
苦降・辛散により下気・止咳平喘するとともに
肺経の風寒痰湿を疏散するので、外邪の侵襲や痰濁内阻による
肺気阻塞で咳喘・痰多を呈するときに適する。
熱には清熱薬を、寒には温化薬を、表邪には解表薬を、燥邪には潤燥薬を、
それぞれ加えることにより邪実に対処することができる。
また、質潤で油質を含み、滑腸通便の効能をもつので、腸燥便秘にも有効である。

提要:
結胸と痞証の病機について。
また、結胸証で経気が巡らない場合の証治について。

訳:
陽からおこった疾病を、理に反して攻下法で治療すると、
陽熱の邪を裏に入らせ、その結果、結胸証がおこる。
陰からおこった疾病を、理に反して攻下法で治療すると、その結果、心下の痞証が発生する。
なぜ結胸証がおこるかというと、攻下を用いるのが早すぎたからである。
結胸証の患者にはさらに、柔痙のような項のこわばりもみられるが、
この場合には大陥丸で瀉下しさえすれば、項部のこわばりは和ぐ。処方を記載。第一法。
大黄半升葶藶子半升、熬芒硝半升 杏仁半升、去皮尖、熬黒
右の四味のうちの、二味を搗いて篩にかける。杏仁と芒硝とを、合わせて研り、
脂状にして、先に得た散とよく混和し、弾丸一個の大きさの丸薬を作る。
別に甘遂を末に搗いたもの一銭匕を丸薬と、二合の白蜜とともに、二升の水で、
一升になるまで煮て、これを温いうちに頓服すれば、一晩で下痢する。
もし下痢しなければ、もう一度服用すれば効果がある。服薬後の注意事項は一般のそれと同じくする。


参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』   東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』  績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社

生薬イメージ画像:
『中医臨床家のための中薬学』 医歯薬出版株式会社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

為沢

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