下積み修行中の冠木のお勉強記事です。
勉強不足で至らない内容ですが、
少しずつ学んで参りますのでお許し下さい。
不出来なところもあるかと思われますが、
成長とともに少しずつお返しして参ります。
どうか見守り 応援してやって下さい。
こんにちは、冠木です。
先日、行こうと思い行けていなかった
大阪市立美術館で開催されている
「ボストン美術館展」に足を運んできました。
平日にも関わらず多くの人が来られていました!!
当帰
[処方用名]
当帰・全当帰・西当帰・当帰身・当帰尾など
*当帰は婦人病薬として知られ、
名前も実家に帰ってきた嫁が夫のもとへ
「まさ(当)に帰るべし」と母に言われたというのが語源とも言われている。
[基原]
セリ科UmbelliferaeのAngelica sinensis Dielsの根。
根頭部を帰頭、主根部を当帰身、支根を当帰尾、
帰身・帰尾を含めたものを全当帰という。
[性味]
甘・辛・苦・温
[帰経]
心・肝・脾
「当帰、一名乾帰。味は甘、温。
川谷に生ず。
欬逆上気、温瘡寒熱洗洗、皮膚中に在り、婦人漏下絶子、
諸悪瘡瘍、金創を治す。煮て之を飲む。」
*「温瘡」=マラリア、「漏下」=性器出血、「絶子」=不妊症。
(神農本草経解説 源草社より抜粋)
[効能と応用]
①補血調経
●血虚による顔色につやがない・頭のふらつき・眩暈・
目がかすむ・動悸・月経不順などに
熟地黄・白芍・川芎などと用いる。
〈方剤例〉
☆四物湯(しもつとう)
[組成] 当帰・川芎・白芍・熟地黄
「当帰は甘で厚くその性は微温です。
熟地黄は気味ともに厚くて薬質潤重で微寒です。
当帰は上中焦の陰を補い血を生じ、熟地黄は下焦の陰を補い精を生じます。」
(医学三蔵弁解 たにぐち書店より)
[効能] 補血調血
[主治] 肝血虚・血滞
目がかすむ・目の異物感・眩暈・爪がもろくつやがない・月経が遅れる
[病機]
出血などにより肝血が不足し、営血虚滞を引き起こした状態。
*補血剤
血虚に対する方剤であり、養血剤ともいう。
●大出血のあと、あるいは気虚をともなうときは、
補気の黄耆・人参などを配合して生血を強める。
〈方剤例〉
☆当帰補血湯(とうきほけつとう)
[組成] 黄耆・当帰
[効能] 補気生血・生肌
[主治]
①血虚陽浮
大出血のあとなどに生じる顔面紅潮・体表部の熱感など
②血虚発熱
月経期や産後あるいは化膿症が潰破したのちに生じる発熱・頭痛など
③瘡瘍久潰不癒
癒合しがたい慢性の皮膚潰瘍
[病機]
大量の出血により急激な血虚が生じ、気がよりどころを失って上浮した状態。
●虚寒の腹痛・冷えなどをともなうときも、
桂枝・生姜などと使用する。
〈方剤例〉
☆当帰生姜羊肉湯(とうきしょうきょうようにくとう)
[組成] 当帰・生姜・羊肉
[効能] 温経養血・散寒止痛
[主治] 血虚兼寒で、腹痛・冷えなどをともなうもの
「寒疝腹中痛、及脇痛裏急者、当帰生姜羊肉当主之。」
寒邪が強くて血もまた虚している寒疝病の主証は、
腹中に痛みがあり、また拘急の感覚があり、
脇肋部にも痛みがある。
これは血虚のために経脈が営まれず、
寒が多くて経脈が逼迫し、
その結果としてこのような現象が現れる。
当帰生姜羊肉湯は、温養し補虚して、血虚を治す方剤である。
また、産後の血虚または寒邪のある腹痛にも用いられる。
②活血行気・止痛
●気滞血瘀の疼痛・腹腔内腫瘤などに、
桃仁・紅花・川芎・赤芍・牡丹皮などと用いる。
〈方剤例〉
☆膈下逐瘀湯(かくかちくおとう)
[組成] 炒五霊脂・当帰・川芎・桃仁・牡丹皮・赤芍・烏薬・延胡索・香附子・紅花・枳殻
[効能] 活血祛瘀・行気止痛
[主治] 瘀在膈下による腹中腫塊・両脇~腹部の固定性で脹った痛みなど。
●打撲外傷による腫脹・疼痛にも、
乳香・没薬・桃仁・紅花などと使用する。
〈方剤例〉
☆活絡効霊丹
[組成] 当帰・丹参・乳香・没薬
[効能] 活血祛瘀・通絡止痛
[主治] 気血凝滞
[病機] さまざまな原因による気血凝滞で、腫瘤を形成する状態である。
●痺証のしびれ痛みにも、
羗活・独活・防風などと使用する。
●癰疽瘡瘍にも、金銀花・赤芍・牡丹皮・穿山甲などと使用する。
③潤腸通便
腸燥便秘に、麻小仁・生首鳥・桃仁・杏仁などと用いる。
〈方剤例〉
☆潤腸丸
[組成] 当帰・熟地黄・桃仁・麻子仁・枳殻
[効能] 滋陰補血・潤腸通便
[主治] 陰血不足・腸燥便秘
[病機] 虚弱者・老人・産後・慢性病の衰弱などで陰血が虚し、
陰けるによる濡養が不足して腸燥が生じ、大便が硬くなり便秘する。
【まとめ】
当帰は、補血活血・行気止痛の効能があり
心(血を主る)、肝(血を蔵す)、脾(統血する)に入る。
そのため、血病の要品であり、婦人病の良薬でもある。
また、潤腸通便の効能もあるため腸燥便秘にも有効である。
反対に、湿が盛んな場合や大便泄瀉・崩漏過多には禁忌である。
参考文献:
『中医臨床のための中薬学』
『中医臨床のための方剤学』 神戸中医学研究会
『医学三蔵弁解』
『読みもの 生薬学』 たにぐち書店
『金匱要略解説』 東洋学術出版
『入門金匱要略』 南山堂
『神農本草経解説』 源草社
『生薬単』 NTS
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
冠木