夜の水槽 / 木炭
夜の水槽 / 木炭

こんにちは、為沢です。
木炭画に挑戦。絵は、家の近所にある居酒屋さんの水槽です。う〜む…。難しい(;-_-)


ここからは、張仲景の古医書『傷寒論』の解説です。

今回の傷寒論は弁太陽病脈証并治(中)百二十五章・百二十六章・百二十七章。
百二十五章では前章を受けて、
小便がよく出る場合は瘀血証であるということについて。

百二十六章では瘀血証を徐々に攻下する方法について。
百二十七章では停水部位を、
小便の出方から調べる方法について詳しく述べております。


弁太陽病脈証并治(中)百二十五章

太陽病、身黄、脉沈結、少腹鞭、小便不利者、爲無血也。
小便自利、其人如狂者、血證諦也。抵當湯主之。六十五。用前方。

和訓:
太陽病身黄ばみ、脉沈結に、少腹鞭く、
小便利せざるものは、血無しと為すなり。

小便自利し、其の人狂の如きものは、血証諦かなり。
抵当湯之を主る。六十五。前方を用う。


太陽病、身黄
太陽病が内伝して身黄が現れている。
湿熱によるものか?瘀血によるものか?鑑別する必要がある。

脉沈結、少腹鞭、小便不利者、爲無血也
脈は沈結、少腹は硬く、小便が出にくい。

”湿熱発黄”の場合は、少腹が膨満して、小便がよく出ない。
これは三焦の気機が失調したことで無汗となり、
熱で発散できず小便不利のため、
湿を下すことができないのである。

そして湿熱になって内にこもり、
肝胆の疏泄作用を失調させてことにより生じる。

この場合は、瘀血証ではない。

小便自利、其人如狂者、血證諦也
”蓄血発黄”の場合は、脈沈結で少腹が膨満し、小便がよく出る。
これは三焦の気機とは関係なく、
熱が血に影響を与えて、血を溶解させたことにより

生じているのである。この場合は瘀血証として治療を行っていく。

抵當湯
こちらを参照→【古医書】傷寒論:弁太陽病脈証并治(中)百二十三章・百二十四章

提要:
百二十四章を受けて、小便がよく出る場合は瘀血証であるということ。

訳:
太陽病に罹って身体が黄色になり、脈は沈結で少腹は硬く、
小便が出にくければ、これは瘀血が無いことを示唆している。
もし小便がよく出ていて、患者は狂の如き様相を呈しているなら、
明らかに蓄血証であり、抵当湯で治療する。第六十五法。前法の処方を用いる。


弁太陽病脈証并治(中)百二十六章

傷寒有熱、少腹滿、應小便不利、
今反利者、爲有血也、當下之、
不可余藥、宜抵當丸。方六十六。

水蛭二十箇、熬 蝱蟲二十箇、去翅足、熬 桃仁二十五箇、去皮尖 大黄三兩
右四味、搗分四丸、以水一升、煮一丸、取七合服之、晬時當下血、若不者更服。

和訓:
傷寒熱あり、少腹満すれば、応に小便利せざるべし。
今反って利するものは、血ありと為すなり。

当に之を下すべし。余薬すべからず、抵当丸に宜し。方六十六。
水蛭二十箇、熬る 蝱蟲二十箇、翅足を去る、熬る 桃仁二十五箇、皮尖を去る 大黄三両
右四味、搗きて四丸に分かち、水一升を以て、一丸を煮て、
七合を取りて之を服し、晬時に当に血を下すべし。若し不らざるものは更に服せ。


傷寒有熱、少腹滿、應小便不利
「傷寒有熱」は表証がまだあることを現している。
少腹の膨満感が下焦の水蓄により生じたのであれば
小便はよく出ないはずである。

今反利者、爲有血也、當下之、不可余藥、宜抵當丸
しかし、小便がかえってよく出る場合は
瘀血により少腹満が生じたのであるから、
治療は瘀血を除いてやればよい。

その際、症状が急症で激しくなく、
さらに表熱がまだ除かれていなければ

さらに表熱もまだ除かれていなければ、
強い攻下法を用いると正気を傷つけ

邪気の侵入を許してしまう恐れがあるので、抵当湯の分量を減じ、
さらにこれを丸薬に変じて徐々に攻下していけばよい。

抵當丸
抵當湯の分量を減じたもの。
抵當湯はこちらを参照→【古医書】傷寒論:弁太陽病脈証并治(中)百二十三章・百二十四章

提要:
瘀血証を徐々に攻下する方法について。

訳:
傷寒の病に罹って発熱し、少腹が膨満している。
この場合、小便の出は悪いはずだが、
いまこれに反して小便が通利していれば、蓄血があり、

瘀血を攻下して治療せねばならない。
抵当丸を煎じて、煎じ滓も余さず服用する。

処方を記載。第六十六法。
水蛭二十四匹、焙る 蝱蟲二十四匹、羽と足を除く、焙る 桃仁二十五個、皮尖を除く 大黄三両
右の四味を、搗いて四個の丸薬にして、一升の水で、一丸を煮て七合にしてこれを服用すると、
二時間以内に下血をみるはずだが、下血しなければ更に服用する。


弁太陽病脈証并治(中)百二十七章

太陽病、小便利者、以飮水多、必心下悸。
小便少者、必苦裏急也。

和訓:
太陽病、小便利するものは、水を飲むこと多きを以て、必ず心下悸す。
小便少なきものは、必ず裏急を苦しむなり。


太陽病、小便利者、以飮水多、必心下悸。
太陽病で小便がよく出る場合、下焦に停水はなく、
膀胱気化作用はスムーズに作用している。

しかし太陽病経過中、水を多量に飲み過ぎると
膀胱の気化作用が正常であっても

中焦脾胃から過剰な水飲を吸収し運化できない結果、
心下に水気が溢れ、必ず心窩に動悸を見るようになる。

小便少者、必苦裏急也
水を多く飲んでも小便の出が少ない場合、
水が下焦に集まって膀胱の気化作用が失調し小便がスッキリ出ないので
少腹部に膨満感が生じ、急に腹部が痛んで、
排尿ができず苦しむようになる。

提要:
停水部位を、小便の出方から調べる方法について。

訳:
太陽病に罹り、小便が通利していれば膀胱の気化作用に障害はないが、
もし水を多量に飲んで脾がこれを運化しないと、水は中焦に停り、
その結果、心下に悸動の証候が出現する。
もし飲水が多くて小便が少ないならば、水は下焦に停り、
その結果、少腹の拘急という証候が出現する。


参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』   東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』  績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社

生薬イメージ画像:
『中医臨床家のための中薬学』 医歯薬出版株式会社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

為沢

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